♪家庭内ミュージカル『ワンマンドゥリーム』

男がため息を一つ。
皿にまだ韓国餃子ワンマンドゥが三つ。
昼食には五つ――妻と約束した数だった。

某韓国俳優の来日イベント。
それに参加するのが妻の夢。
チケット当選のために応募ポイントを稼がなくてはならない。
男も協力して毎日マンドゥっていた。もう二週間。

「そろそろ追い込み。夜もワンマンドゥでお願いしマンドゥ！」
LINEに男は噎せる。
妻は焦っていた。冷凍庫に溢れるほど買えど一向に当たらない。中には一度の応募で得た人もいるというのに――
ああ神様、早く妻の夢を叶えて下さいっ

無心になって残りを口に詰め込んだ。
……おや？　まだある？
口を拭ったティッシュの残骸がマンドゥに見えた時、男はいよいよかと慄いた。

午後は書きかけのマンドゥもとい原稿を休止し脳を休めることに。
気分転換に部屋干ししていたマンドゥを畳んだ。六歳息子のマンドゥをマンドゥって「夢は叶うよ！」と踊りマンドゥりだす。
♪ ワンマンドゥリーム～

大雪や応募締切日の近し

（たいせつやおうぼしめきりびのちかし）

季語（仲冬）： 大雪（たいせつ）

※二十四節気の一つで、十二月七日頃

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※日記を小説風に表現しています__🖋
ちなみに事の発端はこちらの記事よりどうぞ。