見出し画像

気持ちはオフ・ブロードウェイ

午後からデート。
彼女と待ち合わせして劇場へ。

何年ぶりだろう。
小劇場出身(※)の二人、昔はよくこういう観劇デートをした。
終演後は居酒屋に移動して芝居を語らう。
「飲んでく?」
が付き合うきっかけになった。

いけない、待ち合わせ。
慌てて廊下へ。彼女はキッチンで洗い物をしていた。
いきなり現実感。
「迎えに来たよ、急いで」
設定をやや変更して押し通す。
「劇場はすぐそこだけど」

察した妻が付き合う。
「お待たせ。何着てくか迷っちゃって」
劇場は自室。観るのは、配信(録画)演劇。

されども懐かしい感覚。
室内いや劇場を暗くして本編へ。
二本立てだったので、途中で10分の休憩も入れた。
語らう二人。
彼女が冷蔵庫からアイスを持ってきた以外は、あの頃と同じ。

観劇後はもちろん――
「飲んでく?」
彼女は少し考えて言った。
「息子を迎えに行かなくちゃ……結婚してるの」

設定が違っていた。


氷菓子

幕間の語らひ溶けし氷菓子

(まくあいのかたらいとけしこおりがし)
【季語(夏): 氷菓(ひょうか)、氷菓子、アイスキャンデー】

---------------------

※関連の過去記事
「芝居仲間と……」

「演劇への思い」


この記事が参加している募集

リモートワークの日常

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?