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2月の十七音(俳句)まとめと雑感

いつも読んでいただいてありがとうございます。
今月もまとめを貼っておきます。
気になる句があれば、それに至った日記(400文字)も読んでみて下さい。

[ 毎日の俳句まとめ ]

「日常に付箋を貼る」を意識して作句しています。
⇒ 日付をクリックするとその当該エピソード(400文字)が開きます。

1日 空っぽのアドレスデータ寒波来る
2日 スパッタリングのはみ出す冬銀河
3日 ともに来る影はともだち冬茜
4日 鬼よりも憎きものの名豆を打つ
5日 立春の検査結果の胸騒ぎ
6日 小道具に汚しをかける春浅し
7日 手を取りて歩きし畦の草萌ゆる
8日 陰か陽か待つ十分の余寒かな
9日 膝に土補助輪なしの風光る
10日 子に合わせ大縄回す落椿
11日 果皮剥けば兎のかたち春の雪
12日 斑雪はしゃぐ子の声響きけり
13日 へんてこなスキップ春日のアスファルト
14日 冴返るシャンプーの詰め替えもなく
15日 包装を荒らかに解くバレンタイン
16日 「久しぶり」と声掛ける朝亀鳴きぬ
17日 本棚に春愁なりたかつたもの
18日 ハナモゲラ語に口遊ぶ春月夜
19日 -----
20日 春風の吾子や丈母の古希祝ひ
21日 梅の花友とゐるとき別の顔
22日 春の夢「ゴッドファーザー」三部作
23日 春水に瞬間光る泳跡波
24日 ありもので作るラーメン春炬燵
25日 絶叫やすべり台の子追うて東風
26日 聞こえ出す異性五歳の木の芽時
27日 粗大ごみの隙間の陽射し名草の芽
28日 塩でいく太切り蕎麦の春一番

※太字 は妻のお気に入りベストスリーと五歳息子のベスト(「膝に土~風光る」)です。

<講評>
息子 「影がともだちの冬茜と迷ったけれど……やっぱり補助輪の自転車のやつが一番かな。でもどっちもいいと思うよ。」
妻 「うわ被った。ほんと一緒。冬茜の句は、一瞬寂しいけれど季語によって温かみがでたこと。風光るは句全体がキラキラ光ってる感じが春のベスト! 春一番は蕎麦の美味しさと勢いが際立っていた。」


[雑感]

大嫌いな二月。
寒すぎるのに加えて五年前には大病を患い。
毎年この月に体調を崩すように。
俳句を始めて一番違和感があったのも二月。
立春を迎えるや春の句を詠み出すのだけれど
実感そぐわず自分でも嘘くさいなあって。

歳時記二周目。
変化は、寒い中にそれでも外に出て「春」を探そうとする意識。
季語をより知ったからだろうか。
初春を代表する「梅」を見つけておっとなり。
僅かな陽射しに「春めく」ねえと言ったり。
兆しを見つけようとする「春」ならあるか、と。

「止まない雨はない」って言葉が好きで。
今、絶望の底にいてもどこかに希望を見つけようとする。
で言うと、二月ほど詠み手の腕が鳴る月もないわけで……
少しだけ前向きにはなりました。

世の中に溜息の理由はいくらでも探せる。
それでも日常の些細なことに喜びを見出してゆく。
この二月は共感を得ない個人的な句も多かったけど、
他者評価を求めてきた私にはとてもエポックなこと。
この感じをしばらく続けていこうと思っている今日です。

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※先月のまとめはこちら


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