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ポップコーンは買わない。vol.102

サマーフィルムにのって

伊藤万理華演じるハダシのキャラが最高すぎる。

ほぼほぼ「お耳に合いましたら」の高村美園だけどね。笑

双方のキャラクターを知ってる人にとっては同一人物に相応しい2人が頭をよぎってしまったことだろう。なんならハダシは本名よくわからないし、美園の高校時代として観ても全然いけると思う。笑

ハダシのいつメンとして最初から登場する、ビート板(河合優美)とブルーハワイ(祷キララ)もいいキャラしてる。あだ名にしてもなぜビート板とブルーハワイなんだというところは劇中で言及がなかったので気になるところである。笑

さて、

時代劇オタクのハダシは高校の映画部に所属し活動しているのだが、部で撮る映画といえば専らキラキラした青春映画ばかりだった。

ハダシ自身は時代劇の脚本も書いていて、自分でも時代劇を撮りたいと思っていた。自分の好みとは真反対の部の雰囲気に彼女はヤキモキしていた。

そこに突如現れたイケメン、凛太郎。彼は未来からタイムマシンに乗ってハダシたちの生きる時代に現れた。ハダシは凛太郎に出会った瞬間、自分の撮ろうとしている時代劇の理想的な主人公として一目惚れしてしまう。で、彼に映画の出演を懇願するが、凛太郎は頑なにそのオファーを断り続ける。

実は彼の生きる未来の世界ではハダシは偉大な映画監督として君臨しており、彼はハダシの大ファンだったのだ。ハダシの撮った作品を全てを見尽くしたはずだったのだが、デビュー作となる「武士の青春」はなぜか作品として形に残っていないのだった。

そのわけが、クライマックスに全て凝縮されている。

このクライマックスの畳み掛けがアッパレ!思わずおぉ〜!と声をあげてしまった。笑

序盤からいろんな風呂敷を広げていって、これどうやって収集するんだろうって思いながらなんとなくクライマックスを迎えて、最後の10〜15分、怒涛の収集に思わず、元から大きな風呂敷が下を覆ってたのかなと感じるくらいだった。

上映時間も長すぎず、短すぎずの約1時間半。
展開のテンポもよく、程よいインディーズ感も心地よい。

特に気に入っている展開があって、

それが、ハダシが敵対視していたキラキラ青春映画と時代劇との共通点を見つけた瞬間。

ハダシと敵対する関係にある甲田まひる演じる花鈴という人物。彼女の撮る作品はもうブリブリの恋愛映画。とにかく相手に「好き」を伝え続ける男女の恋愛物語。観ているこちらが恥ずかしくなるくらいの内容である。

しかし、花鈴という人物もウケを重視するだけではない様子もうかがえる場面があって、

好きは伝えないと相手には伝わらないということを示したくてクドイくらいの好き好き感を出している目的があるらしいということを知った時は、花鈴の作家性も悪くないなと思ったし、ハダシもそれを受けて、時代劇の決闘はただ殺陣をみせつけるだけではなくて、何かを伝えるためのコトであることだと気づいた時に、違うジャンルでも共通する何かがあると気づいた時に全てが調和し、素晴らしいクライマックスに向かっていく流れは最高だったと思う。

この感覚、三島由紀夫vs東大全共闘のドキュメンタリーの中でも、右翼と左翼の対立構造と、互いに意識する共通事項が見えてきた時に調和し、結果として折衷できたディベートだったことを本作をみて思い出し、納得したところだ。

大変重要なことに気づかせてくれた作品だった。

今年のベストかもなあ〜!

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