見出し画像

ポップコーンは買わない派です。vol.30

パラサイト半地下の家族

アカデミー4部問受賞!
作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞

画像1

予告編

あらすじ

キム一家は家族全員が失業中で、その日暮らしの貧しい生活を送っていた。そんなある日、長男ギウがIT企業のCEOであるパク氏の豪邸へ家庭教師の面接を受けに行くことに。そして妹ギジョンも、兄に続いて豪邸に足を踏み入れる。正反対の2つの家族の出会いは、想像を超える悲喜劇へと猛スピードで加速していく……。

地上、半地下

この三段階の地形による視覚効果は貧困の段階を示していて、全てこれがセットで撮影されている点は非常に驚いたが、こだわりのセットによって韓国の格差社会の体系を見てわかるように示している。

隣国、アメリカとの関係

本作は半地下の家族が中心の物語なのだが、そこを中心としてスケールを広げていく。まずは韓国の状況、強い学歴社会による格差。良い学校に行けば、良い企業、IT企業に就職することが生き抜いてための術なのだろう。

そして、隣国ネタは言わずもかなでの北朝鮮、アメリカ、日本のネタも盛り込んでいる。韓国という国を中心にして、緻密な自国と世界情勢のネタ。それは各国によってその色は異なっていく。格差ということを描きながらも、国によって置かれている状況は様々なのである。

イギリス版のパラサイト的なお話を描いているのが「家族を想うとき」

ダウンロード

この作品も貧しい状況の中でも、家族が幸せな暮らしを求めてそれぞれで奮闘しているのだが、噛み合わず、全くうまくいかない。最後は皆さん考えてください的な終わり方をするのだが、モヤモヤはするけども、必死に考えざるをえない感じ。

こういう風に各国で状況は違えども、苦しみは同じというのが世界とつながっている感じ、共生への一歩なんじゃないのかなと思う。自分の国だけでなく、他国を本当に想うことこそが、自国の幸せにつながる事実を証明していく必要がある。それは小さな存在であるが、我々から。

パラサイトから見るムダ話

韓国映画って観たことなくて、字幕なのだが、英語に慣れている身としては韓国語がどうも耳に違和感を覚えたのは慣れてないだけである。しかし、すごいことが起こった。今年の作品賞が外国語映画が取ったのだから。

画像3

これで世界中のどの作品にもチャンスがあるということがわかった。しかしながら今回の受賞はたまたまだったのか?

決してそうではない。

韓国は国を挙げて映画の制作に力を入れていたのだ。

ハリウッドにスタッフを送り込んで技術を習得し、韓国で映画を撮っているのだ。中身は韓国の内面を描いているのだが、技術が一流なので世界に通用するのだ。

あと、今回のパラサイトは制作費をしっかりかけている。その額なんと、12億円。ここで重要なのは予算がかなりかかっていること。
日本では脚本、原案は非常に優れた物を持っているのだが、どうしても予算がかけられないから、せっかくの脚本がもったいないことになっているものが多いらしい。

しかしながら日本の脚本はなかなか社会を扱うものが少ない。個人の物語を昇華させて訴えるものが少ない。ジョーカーやパラサイトなどは各社社会の中で生きる個人の物語を言葉や行動で社会へのメッセージを訴えかけてきた。

それを膨大な予算と技術を集結させて作り上げたものがきっとオスカーの受賞対象となるのだろう。

「映像研には手を出すな!」と「トイストーリー」

でも、それがすべてではない。いい映画はお金をかけないと作れないものではない。しかしながら多くの人の胸を打つ作品というものはお金がかかっている。
しかし日本は低予算で高品質の作品をたくさん作ることに力を入れてきている。それは映画にとどまらず、アニメにも代表される部分がある。
私は今映像研には手を出すなというアニメにハマっていて、この作品は簡単いうと映像制作に情熱を注ぐ3人の女子高生の話なのだが、映像制作、流通の裏側がよくわかって非常に面白い。

ダウンロード (1)

そんな中で作中では3人のうちの1人、「金森氏」がプロデューサー的な立場にいて、なるべく無駄、経費を削減し低予算で高クオリティの作品を作るというふうにディレクションしている。

ダウンロード (1)

これが日本の映像制作の現実であり、本位であると考える。
一方、海外、ピクサーの作品はフルCGの高単価の高クオリティ!これが人の手で作られたとは思えない、凄すぎる。

この間、トイストーリーの1と2を金曜ロードショーでやってましたが、クオリティの進化が著しく向上していて、びっくりした。ぜひYouTubeなどに場面を切り取った動画あるかもしれないので見比べてみて欲しい。人の描き方の違いが明らかに違う。明らかに安っぽいw

スクリーンショット 2020-03-16 13.21.55

これが日本と海外の映像制作の現場である。これが良し悪しと言っているのではない。

日本の映像作品は海外でも評価を受けている。日本と海外のそれぞれの正解があるのだろう。

日本の映像作品、映画がアカデミー賞を獲得するには今は高い技術(○)を詰め合わせて、たくさんの予算(△)をかけて、いくことが大切なのだろうが、それだけではない方法はこれからテクノロジーの進化とともに多様化してくるのではないだろうか。そうすることで世界中の様々な作品がノミネートされ、様々な主張がより良い社会を構築する一歩になっていくのではないかと考える。

映画の持つ力、価値、そんなことを考えさせられた今回のパラサイトでした。おめでとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?