[リミット] (2010年/スペイン) ネタバレあり感想 ツッコミどころが溢れ出す脱出スリラー
※2019/12/7に『趣味と向き合う日々』で投稿した感想記事の加筆修正版です。
ライアン・レイノルズを90分間眺める映画。
『 [リミット] 』
(BURIED)
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
目覚めたら棺の中で拘束されていた男が、何故か手元に残されていた携帯電話を駆使して必死に脱出を試みる。
■感想
イラクで物資輸送トラックの運転手をしていたポール・コンロイ(ライアン・レイノルズが演じています)が過激派の襲撃に遭い、拘束された状態で棺の中に閉じ込められる、というシチュエーションで描かれる全編一人しか出てこない系映画。
「何故閉じ込められているのか」という理由は序盤も序盤で明かされるので、この映画の見所は「助かるかどうか」という方向で描かれていきます。
財布の中身は全部スったくせに携帯電話は取り上げず、サイリウムやペン、懐中電灯などを支給する犯人の行動に対する疑問の方が、ポールが放り込まれた状況よりも謎として際立ってしまっているのが印象的でした。
一応そこには「助かりたいならケータイで動画を撮れ」という犯人側の意図があるんですけど、ケータイが充電できるようなツールを準備せず電池切れ寸前になっているという致命的なミス。
そのせいで、電池切れしちゃわないかどうかでハラハラする謎の状況になるんですが、なんだかんだ最終盤までしっかり電池は保ってました。
ケータイは手元にあるので片っ端から助けを求めて電話しまくるポール。
妻に電話をすれば留守電で、緊急通報の電話は塩対応され、ようやく繋がった人質救出のプロはどこか信用しきれない雰囲気で、ポールのストレスがどんどん高まっていく様が堪能できます。
状況が状況なのでいくらポールが失礼な言動と対応をしても、なんとなく仕方ないなと納得するしかないんですが、もっと冷静になっておけば良かったのにって場面が多々あります。
しらふで状況を観察できる観客側ならではの苛立ちではあるので、狙い通りなのかもしれません。
ポール結局最後は助かりませんでした。
一瞬助かったかに思える幻覚を挟み直ぐに砂に埋もれるポールを映した後、電話が鳴り出てみれば「もうすぐ助けられる!」と言われるポール。
希望的な結末を予感させて結局それは誤った情報であり、ポールを救い出すはずだった救出部隊は、遺体となったマーク・ホワイトなる男の棺を発見し、ポールは生き埋めにされてこの映画は終わります。
バンジージャンプで上下に振るだけ振って最後に命綱カットされるみたいな終わり方。
それまで謎に蛇と睨み合う展開とかぶち込んでいて、正直ちょっとシチュエーション的な盛り上がりの限界を感じさせる中、最後に一気に揺さぶりをかけてくるような強引さ。
マーク・ホワイトという人物、中盤辺りで名前が出てきた人物です。救出の専門家さんへポールが問いかけた際に出てきた、彼の救助者実績の内のひとりとして名前が挙がります。
そのホワイトさんが死体で発見されるので当然彼の話は虚言だった事が分かります。
それが最後の最後、ポールが救われないと分かった瞬間に発覚するので、ポール的にはあらゆる希望が潰える形になるのがとんでもないエグさを醸し出していました。
エンドロール後に再度ホワイトさんの名前(ポールが棺にメモったもの)が意味深に写るのですが、ホワイトさんの存在理由って絶望の中にポールを叩きこむ以上の何かがあるって事でしょうか?
ホワイトさんが本当は助かって無かった人という部分を考えると、結局この映画の主人公であるポールは最初から助かる術は無かったみたいな事を暗示しているんですかね。
■〆
個人評価:★★☆☆☆
棺の中で必死に救いを求めて電話しまくる男の末路を90分間堪能する映画です。
救いの無い話ですし、展開を作る為に無理やりイベントが発生するみたいな違和感のあるシーンが多々あります。
ただ、それでも面白いと思える部分もあり、それなりに楽しめました。
ではまた。
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