見出し画像

『マイクロカウンセリング技法』(A. Ivey)の中でエージェントの実務に役立つと感じた「感情の反映」「意味の反映」

面談中、求職者に転職理由を聞いても、「なんか本音を聞き出せていない気がするな」ってこと、まあまあある。
そんなときはアレン・アイヴィ(Allen Ivey)のマイクロカウンセリング技法における「感情の反映」「意味の反映」が役に立つかな、と思う。

感情の反映、意味の反映を使って転職のきっかけを聞き直すと「あー、そうかもなんですけど、それに加えて・・・」とプラスの要素が聞ける。自分から発した言葉を人から反復して聞かされると頭の中での確認作業が発生する感じ。コーチングでもオウム返し、はよく行われていると思う。

感情の反映

感情の反映は転職活動に踏み切った「何か」が起きたときの気持ちを確認する。例えば評価が下がってしまった、自分の頑張りが認められず悲しい。→ 評価が下がったことはあなたにとって悲しいという気持ちなんですね、その時悲しいと思ったんですねと確認していく。希望の仕事へ向けて社内でも前向きに仕事に取り組み、昇格試験でもいい評価を出したのに、同僚がそのポストについてしまって妬ましい。やる気が起きない → 同僚が先に昇格し、自分が希望していたポジションに就いてあなたは妬ましく思ったんですね、と確認していく。

意味の反映

意味の反映は出来事がその人にとってどういう意味を持つのか、を確認する。例えば今の会社に誘ってくれた上司が退職してしまった場合、誘ってくれた上司の退職はあなたにとって裏切られたという意味を持つのですね、と確認。

感情が先で、意味が後、というのも興味深かった。人はまず感情で反応する生き物なのだ。
何かが発生したときにどんな感情になったか。振り返って、それはあなたにとってどんな意味をもっている出来事か。
シュロスバーグの転機(イベントとノンイベント)の話にもなるね。

「感情の反映」「意味の反映」を転職エージェントの実務に落とし込むことによって、求職者の転職理由を深堀りすることができる。だいたいのケースにおいては不満を聞き出すことになる。その不満を解決するような仕事、企業の求人を提案することが重要なのだが、不満が解決されただけでは人は幸せに働けない。
ハーズバーグの『二要因性理論』で言うところの衛生要因だけ見てもダメ、という話。

最後に復習も兼ねて木村本(『キャリアコンサルテイング理論と実際』)でのマイクロカウンセリング技法を読み直す。

技法は次の4つに大別
1.かかわり行動(非言語コミュニケーションや声の感じ)
2.かかわり技法(開かれた質問、閉ざされた質問、感情の反映、意味の反映)
3.積極技法(情報の提供、フィードバック、対決)
4.技法の統合(ラポールの形成から問題の特定、目標を設定して実行するまでの一連の流れ)

普段からやっていることであるが、改めて理論家の言葉を借りると頭がスッキリする。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?