
選択的夫婦別姓制度ってなんだろう?賛成・反対の理由と各政党のスタンスを知ってみよう!
あたらしい結婚のあり方として関心を集めている選択的夫婦別姓制度。2020年10月には、自民党の橋本聖子・男女共同参画担当大臣が取りまとめに向けた議論を進めていく意向を発表し、話題になりました。
選択的夫婦別姓「若い世代の声、配慮必要」 橋本男女相:朝日新聞デジタル
20年以上議論が続くこの制度、賛成・反対の理由と各政党の考え方について知ってみましょう!
「選択的夫婦別姓制度」ってなに?
選択的夫婦別姓制度とは、結婚した夫婦が望む場合は、結婚前の姓(名字)を名乗ることを認める制度のこと。日本の法律では『夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。』と定められており、現在、日本人同士で結婚した場合は夫婦どちらかが姓を変えなくてはなりません。(これを『夫婦同姓制度』といいます。)
厚生労働省の統計によると、結婚した夫婦のうち女性が姓を変える夫婦は96%にのぼります。 世界的に見ても夫婦同姓を義務付けている国は日本だけとされていることからも選択的夫婦別姓制度の導入について議論していくべきという声は高まっています。
制度の導入に賛成する理由は?
① 名義変更のコストが省ける
姓を変更すると、さまざまな機関で氏名の変更手続きが必要になります。
【手続きが必要なもの】※一例
・国民健康保険、国民年金
・マイナンバーカード
・パスポート
・運転免許証
・銀行口座
・クレジットカード
・国家資格など
・会社で使う名刺、メールアドレスなど
手続きのためには仕事を休んだり、費用が発生したりするため、選択的夫婦別姓制度の導入でこうした手間やコストを省けるというメリットがあります。
② キャリアや社会的な信用を維持できる
姓を変えることによって仕事でネガティブな影響を受ける人がいます。研究職がその一つ。専門分野における業績や論文は研究者の姓名に紐づいているため、姓が変わると結婚前の業績や論文が自分のものだと気付いてもらいにくくなってしまいます。
また、研究職以外でも会社によっては旧姓を使い続けられないことがあります。これまで築いてきた社会的信用やキャリアを守り続けるために、選択的夫婦別姓制度の導入を求める声があるのです。
③ 代々受け継がれてきた姓を大切にしたい
これまで名乗り続けてきた姓に愛着があったり、代々受け継がれてきた自分の姓を守りたいという理由から姓を変えることを悩む人もいます。選択的夫婦別姓制度が導入されれば、そういった悩みを持つ人が減ると言われています。
制度の導入に反対する理由は?
① 家族の一体感が失われる
夫婦同姓制度は、夫婦別姓よりも家族の絆が深く一体感のある家族関係を築けるという考え方があります。結婚後に生まれてきた子どもが健全な心を持って成長していくためには夫婦・家族が一体感を持つ夫婦同姓であることが望ましいという考え方です。
また、夫婦で姓が分かれていると生まれてきた子どもがどちらの姓を名乗るべきか混乱するという理由から制度の導入に反対する声もあります。
② 個人主義的な思想を認めることになる
結婚して夫婦どちらか一方の姓を名乗ることは日本の伝統的な家族観であり、疑問や不都合を感じない制度であるという理由から反対する人もいます。結婚により姓が変わることは喜ばしいと感じる人も多くいることから、夫婦別姓を選べるようにする必要がないという考え方もあります。
また、「別姓を望む人は家族や親族といった共同体よりも個人の考えを優先する個人主義的な思想を持っているため、政府や社会として考えを認めることができない」という反対意見も挙げられています。
③ けじめのない結婚・離婚が増える可能性
夫婦別姓によって家族の絆が弱まり、離婚する夫婦が増えるという考え方があります。夫婦同姓制度には、姓が変わることで結婚や離婚が周囲に伝わりやすいという特徴があります。夫婦別姓を選ぶと周囲に結婚や離婚がわかりにくくなるため、安易な結婚や離婚が増える可能性があることを理由に選択的夫婦別姓制度の導入に反対する人もいるのです。
各政党のスタンスは?
【賛成】
■公明党
「選択的夫婦別姓制度実現に向けて議論を進める」
■立憲民主党
「選択的夫婦別姓制度を導入する」
■共産党
「選択的夫婦別姓制度を実現する民法改正を行う」
■国民民主党
「選択的夫婦別姓制度を実現する」
■社民党
「選択的夫婦別姓制度の実現など民法を改正する」
■れいわ新撰組
「好きなように選択できるのが個人の自由」
【やや反対】
■自民党
「旧姓の幅広い使用を認める」
■日本維新の会
「同一姓・旧姓に法的な効力を持たせて対応」
※2019年参議院議員選挙のマニフェストをもとに作成
まとめ
【参考文献】
厚生労働省:平成28年度「婚姻に関する統計」
参議院:「選択的夫婦別姓の法制化反対に関する請願 」