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私の薬

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#双極症

私の薬⑥レボトミン(レボメプロマジン)

 レボトミンは定型抗精神病薬、つまり古くからある薬です。レボトミンとヒルナミンは商品名の違いだけで、同じレボメプロマジンです。レボトミンは睡眠薬ではなく統合失調症の薬ですが、少量で強い不眠に使われます。レボトミンはコントミン(クロルプロマジン)より鎮静作用が強い、つまりより眠れます。レボトミンは躁病の適応もあります。
 レボトミンは錐体外路症状の他にも副作用が多いです。特に口の渇きとろれつが回りに

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私の薬⑤デエビゴ(レンボレキサント)

 デエビゴは2020年に発売された新しい薬です。オレキシン受容体拮抗薬に分類される睡眠薬です。ベンゾジアゼピン系睡眠薬と比較して、耐性(だんだん睡眠薬の効きが悪くなる)が生じにくく、依存性(精神的に睡眠薬を頼ってしまう)が低いです。入眠困難と中途覚醒の両方に効きます。自然な眠気を促します。副作用に悪夢がありますが、1%ちょっとです。
 耐性と依存性の問題がほとんどないので、不眠を訴える患者さんには

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私の薬④ラツーダ(ルラシドン)

 ラツーダは非定型抗精神病薬です。
 昔からある定型抗精神病薬(セレネースなど)は副作用として錐体外路症状(パーキンソン症状など)が多いことが課題でした。対して1996年のリスパダールに始まる非定型抗精神病薬は錐体外路症状の副作用が減ったため、定型(錐体外路症状が出る)でないという意味で「非定型」抗精神病薬と呼ばれています。つまり非定型抗精神病薬は新しい薬で、副作用が少ないということです。
 ラツ

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私の薬③ジプレキサ(オランザピン)

 ジプレキサは非定型抗精神病薬です。抗躁・抗うつ・再発予防効果があります。
 精神科医はジプレキサが好きです。よく効くからです。患者はジプレキサが嫌いです。太るからです。私は精神科医としてはジプレキサが結構好きで、患者としてもジプレキサはわりと好きです。特に抗躁効果に優れ、他の薬では効かない場合でも、ジプレキサを使ったら躁状態が治った経験が多くあります(私でも患者さんでも)。
 糖尿病の患者さんに

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私の薬②エビリファイ(アリピプラゾール)

 エビリファイは非定型抗精神病薬です。精神病とは幻覚・妄想を特徴とした疾患を指し、統合失調症だけでなく、双極症も精神病の概念に含まれます。精神病という医学用語はあまり使われなくなりつつありますが、精神病症状(幻覚・妄想などの症状)とか抗精神病薬(精神病に抗する薬)などの用語に残っています。抗精神病薬は統合失調症だけでなく、双極症の薬でもあります。抗精神病薬と間違いやすい用語に向精神薬があり、こちら

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私の薬①リーマス(炭酸リチウム)

 私は2、3年前からリーマスを毎日内服しています。リーマスは古くからある気分安定薬で、双極症の第一選択薬です。有効血中濃度に達すると、抗躁・抗うつ・再発予防効果があります。加えてリーマスは自殺予防効果がある薬です。さらにリーマスは認知症を予防する可能性があるという研究がいくつかあります。
 脱水と痛み止めのNSAIDs(ロキソニンなど)はリチウムの血中濃度を上げて、リチウム中毒になりやすくなるので

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