脚本術① 〜書けと言われても……
脚本を書いたことない人に、「書いて」と言いましたが、書けた人はいません。
しかし、これは失敗すべくして失敗しています。
「なぜ書けないのか?」の疑問が自身の中で生まれれば、
「どうやったら書けるか?」という発想に移ります。
分からないまま進めても、「書けない」ままですが、ここでガイドラインを出すと、「分からない」が「分かる」ようになり、楽しくなってきます。
型を持つ
「どうやったら書けるか?」に対して、まず基本の型を提示します。
演技でも、舞台セットでも、基本の型があります。
演技であれば、スタニスラフスキーの演技メソッドでしょうし、舞台セットであれば、アクティングスペースを中央に置き、それをパネルでコの字に囲むのを基本としています。
型に合わせて作れるようになれば、そこからあえて異物な形を作っていきます。
型がない人が自由に作ると「型なし」ですが、型を持った人が自由に作れば「型破り」で、大変優れた作品が生み出せます。
資料作りや企画書にも、書き方の型が存在するように、脚本にも必ず型があります。
どれも共通して、人に伝えるのが目的です。
脚本の教科書
物語の構造は、大昔に出尽くしていると言われるとおり、神話やこれまでの物語の体系をまとめた有名なハリウッドの脚本の型は、「シド・フィールド」がまとめており、今回は、その進化形となる「SAVE THE CAT」というのを土台として行っています。
※参考図書「映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド:フィールドの脚本術」
※参考図書「SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術」
まず、物語を10種類に分類し、自分の描きたいジャンルがどれか、を明確にします。
次に物語の構造を15項目にテンプレート分け、それに書き込んでいくと、物語の構造ができあがります。
簡単ですからどうぞやってみてください。
もし、うまくいかなかったら、それは、「書く」という行為の【構造】部分以外の要素を考えていないせいです。
脚本を書くための独自メソッド
台本を書くときに、【テーマ】【設定】【構造】【書く】の四つの要素に分けて考えると、どの部分が自分の弱点かがわかり、一つを補強すると、他の要素にも影響が出てきます。
それを繰り返しながら、脚本を練り上げていくことを可能にします。
【テーマ】
今回伝えたい内容になります。とても短い言葉で、できれば一言で説明できる内容だといいです。
ただ、書き始めあやふやなことが多く、明確にできない場合があるため、ひとまず「こんなテーマ」と仮説を立ててすすめてもらいます。
書き進めていく中で、変更や主軸となるテーマが別にあることを発見したりします。
はじめから固定しすぎると、全体を見失ってしまうこともあるため、作業を進めながら、柔軟に対応していく必要があります。
この【テーマ】は、書き手(もしくはクライアント)の意見が反映されるべき、脚本の背骨となります。
【設定】
「この設定は面白いのではないか?」「こんなシーンがやりたい」「イメージはある」と思ったものは、アイディアです。
アイディアは、そのまま物語になるわけではありません。
思いついただけのアイディアは設定に分類され、主人公含む登場人物、時代拝啓、特別な力などの設定をして、初めてそのアイディアが生かされます。
そのため、膨大な量の資料に当たり、検証し、現実にあっておかしくない世界を作りあげます。
【構造】
シド・フィールドの脚本術を筆頭に、世にある脚本術の多くがこの構造です。
構造は、プロットなどで、物語を時系列に並べ、
起こる事件などきっかけなどを作り上げていく全体の設計図になります。
ただ、プロットを並べて筋を通すだけでは、オモシロ物語ができるわけではないので、
この【構造】で、書き出されたプロットで、
見る人にどのような影響を及ぼしたいかを書き出すのも大切です。
物語の設計図とともに、各シーンで、作品を見ている人にどういった影響を及ぼしたいかを狙っていくかを検証していきます。
【書く】
上記【テーマ】【設定】【構造】を元に書きます。
登場人物の会話や動作、撮影場所や時間など、実際に撮影や演技をするときの指示書になります。
実際に書いていくことで、発見することもあるので、【テーマ】【設定】【構造】にそれぞれに戻って考えることもあります。
忘れちゃいけないのは【テーマ】
他のことに気を取られていると、作品の【テーマ】について忘れていることがあります。
書き手が忘れては、見る人も忘れて当然です。
絶えず忘れずに、意識しながら書き続けなければ、作品として世に送り出すことができません。
複雑なことではなく、単純で、簡素なテーマが最もお客さんに伝わります。
個人的には、毎回、「小学生が分かるレベルで書く」を意識しています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?