#SaveOurSpace

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【新型コロナウイルス感染拡大防止のための文化施設閉鎖に向けた助成金交付案】
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdoS3wgiYphbbmU-c-qnf65nj4oHhknV6LVY3BPpVYoMa6-XA/viewform

上記署名の賛同人に、音楽に関わるひとりとして名を連ねさせていただきました。現在、新型コロナウィルスの感染拡大防止のために、ライヴハウスや劇場などへのイベント、ライヴの自粛要請が行われています。感染拡大防止という主旨は十分に理解できるものですが、それに伴って収入を失い立ちゆかなくなっているひとがいます。ライヴが行えなければ、ライヴハウスは収益の手段を失います。また、それら音楽を発信する現場に関わっているひとたちの中に、収入を失い経済的に逼迫しはじめているひとたちがいます。音楽の現場における雇用形態は、一般的な会社企業に勤める給与所得者とは違う場合が多々あります。有給もボーナスもない、契約書などない、とっぱらいの日銭で生活を成り立たせているひとも多くいます。働くことができれば収入は入ります。ですが働く場が奪われればどうなるでしょう。自粛によって収入を絶たれてしまったひとたちが、すでに現実にたくさんいるのです。
行政によって行われる自粛要請は、その影響を受けて収入を失うひとへの補償と込みでなければ、大変不公平なものとなってしまいます。この署名は、その補償（ステイトメントの中では助成ということばを用いています）を求めるものです。
3月前半に大阪のライヴハウスが集団感染の発生場所とされて以降、ライヴハウスへの風当たりは強く、度を越えた中傷や蔑みのことばさえ投げかけられてきました。特定のなにかをスケープゴートにし鬱憤を晴らしたところで、感染病が収まるわけではないことは言うまでもありません。そういった状況に続いて、現在の自粛からの収入減という問題が起こりました。
感染拡大の疑いが起こった当初から、政府と行政がひとつながりとなって合理的な方策を取っていればこのような事態は避けられたのではないか、と自分は考えています。実際には、危機的状況を放置し場当たり的に思いつきを連発してきた政府の無能のツケを、音楽の現場が払わされている、そのように感じます。

この署名のステイトメントに加え、個人的に思っていることがあります。

それは「音楽、文化、芸術は守られるべき特別なもの」だからこのような主張をしているのではない、ということです。音楽業界以外の場でも、個別具体的な姿は違えど不安定な被雇用者を抱えた産業はあるでしょう。寡聞なためそれらを逐一ここで挙げることはできませんが、どの産業も優先順位などなく等しく行政によって守られなければならないはずです。特定の産業が、他の産業より優先されるようなことが起こるなら、それは公正ではありません。
音楽による経済活動もひとつの産業です。多くある産業の中で、音楽産業も他のものと同じように救済されなければならない。そういう状況で起こった、補償を求める署名だと理解しています。自分がたまたま身を寄せた産業の場は、音楽の場でした。それを自分たちで守るために、いま自分も声をあげています。

いまのようなこころの荒ぶ状況の中で、音楽を含むさまざまな芸術によって、個人のこころが救われることは実際に起こります。そういう意味では、芸術は本当に特別な力を孕んだものだと思います。ですがそれは、補償を求めるこの署名の理由にはなりません。
ですので、この署名に賛同する自分は、同時に、さまざまな場からの不安定な被雇用者を救済する動きに賛同したいと考えています。さまざまな産業の場に、切り捨てられ貧窮しているひとたちがいるはずです。

そしてさらに忘れてはならないのが、さまざまな経済活動の場に含まれることもない、社会から排除されていくひとたちの存在です。いま自分が思い浮かべているのは、顔見知りの数人の野宿者たちのことです。あるひとは、午後11時を過ぎると街に現れていました。飲食店が今日の営業を終え、灯りを消し、残飯のゴミ袋を軒先に出すころです。深夜のうちに業者のトラックが回収していくそれらのゴミ袋を先に開け、食べられるものを探していたそのひとは、いまどうしているのでしょうか。多くの店が営業を自粛したこの週末、メシにありつけず腹を空かせているのではないだろうか、と。
折あしく夕方から冷たい雨が降り始めました。予報では明日の気温は大きく下がって、雪のマークさえついています。萎縮せざるを得ない経済活動の煽りは、より弱い立場のひとを直撃します。自分の立つ場を守りながら、同時に、それら救済を待つひとたちのためにされる動きに、少しでも自分は手を貸して行くつもりです。