「未知なる生物界への扉!階段に現れる虫たちの謎解き」18 ”クロオオアリ”
あなたの住まいの階段を使って新たな冒険に出発しませんか?
私は健康のために階段を使っていますが、階段で目を凝らすと、ふと動く小さな虫がいることに気が付きます。そして昨日いた虫は何処かへ行き、別の虫が現れ、入れ替わっていくのです。
実はこの無機質な階段には驚くべき生命の多様性があります。
本記事では、私たちの日常生活に潜む小さな虫を探索し、階段に毎日現れる虫の正体に迫りたいと思います。
前回出現した虫はルリチュウレンジハバチでした。
一瞬ハエかとも見えるメタリックな瑠璃色でした。
今回の来訪者はどのようなムシに出会うのか。
いつものように階段を下りていくと、階段で見かけたことがほとんどない虫を見かけました。
アリ、、ですね? しかも1匹。およそ10mmぐらいでしょうか。
ほぼ毎日階段を利用していますが、この階段で見かけることはとても珍しいです。
動きが早くて写真が1枚しか撮れてないので念のためグーグル先生に確認をとります。
が、さすがにグーグル先生でも、これといったアリをヒットしてきませんでした。
国内にはアリがおよそ300種類いると言われています。
見た目だけでこの300種から同定することは正直お手上げです。
しかし、何もしないわけにはいかないので写真によるわずかな情報で判断するとし、クロオオアリが国内で一般的であり、市街地にも見かけるので、暫定でクロオオアリ(仮)とします。
アリの分類
クロオオアリ
クロオオアリ(Camponotus japonicus)は、ハチ目・アリ科・ヤマアリ亜科・オオアリ属に分類されます。日本では住宅地などでもよく見られる最普通種の1つです。
開けた場所の乾燥した地面に好んで営巣するので、畑や林道などのほか、住宅地や公園など都市部にも多く生息しています。
社会性昆虫としてのアリ
アリは、女王アリ、働きアリ、オスアリの3つの役割を持つ社会性昆虫です。女王アリは産卵を担当し、働きアリはコロニーの維持やさまざまな任務を分業して行います。
また、繁殖期には雄アリも登場し、種によっては働きアリの中でも体の大きさや役割が異なる個体(階級差別化またはキャスト)が存在します。
兵隊アリは防御や戦闘に特化しており、特定の仕事に特化したアリもいます。(AIによる概要)
今回1匹のみで女王アリは20mm程度の大サイズになるため今回見かけたアリは働きアリということになります。
アリの能力
アリの持つ驚きの能力について調べてみました。
アリは力持ち
アリは力持ちです。自分の体重よりもはるかに重たいものを運ぶ事ができます。
働きアリのあごの力は強く持ち上げる力はおよそ体重の50倍あるといわれています。
アブラムシとの共生
アリとアブラムシは相利共生の代表例として非常によく知られています。
アブラムシはアリに糖質に富んだ排泄物である甘露を提供し,アリはその見返りとしてアブラムシをテントウムシなどの天敵から守ってくれます。
アリはアブラムシを守ることもありますが食べてしまうこともあるようで完全な相利共生ではないようす。
蟻酸(ギ酸)
アリが作り出す有名な化学物質に「蟻酸(ギ酸)」があります。
ギ酸は1個のカルボキシル基を有する最も簡単な構造の有機酸で、刺激臭を有する無色・透明な液体です。
1670年に発見され、最初赤蟻を蒸留して得られたので、蟻酸の名があります。
ギ酸の商業的利用
ギ酸は産業界でも重要な化学物質であり
以下のような用途があります。
家畜用飼料: 乳牛の飼料であるサイレージに添加剤として使用されています。また、ギ酸とプロピオン酸を配合した製品は、酪農現場で夏場の飼料の二次発酵抑制に効果的です。
防腐剤・抗菌剤: 防腐剤や抗菌剤として使用されます。
金属処理・銅のエッチング: 金属の処理や銅のエッチングに使用されます。
繊維: 漂白や染色助剤、pH調整剤として使用されます。
皮革: 皮革のなめしに使用されます。
半導体洗浄: 半導体の洗浄に使用されます。
水素キャリア: ギ酸をお湯程度に温めるだけで水素と二酸化炭素を取り出すことができ、水素キャリアとして注目されています。また、高圧で水素と二酸化炭素を発生できるため、2つのガスを簡単に分離できる高圧プロセスも完成しており、将来の水素ステーションへの適用が期待されています。(AIによる概要)
特に近年で注目されているのは水素キャリアとしての用途として期待されていることです。
小さなアリから抽出されたギ酸が本来の用途とは全く異なる産業界で大活躍しているとは、アリさんすごいですね。
お尻から出るギ酸の恐怖!?
クロオオアリの場合、お尻から毒液としてギ酸をかけることがあるそうです。
これは防御・攻撃用としてギ酸を持ち、腐食性と浸透性によって外敵の皮膚を損傷し、毒液を体内に浸透させます。
話がそれて恐縮ですが、アリがお尻からギ酸を出す、この構図をどこかで見ました。
そうです、
「地球防衛軍2」です。皆さん、このゲームを御存じでしょうか。
このゲームは逆視点の怖さを教えてくれるゲームです。
このゲームは地球外生命?から地球を守るというシンプルなゲームですが、地球外生命体(巨大なアリ)が大群で襲ってくるミッションがあります。
ゲーム内では巨大アリがこちらを見かけると、お尻からギ酸をかけて大群で襲ってきます。
この巨大アリがお尻から飛ばしてくるギ酸を浴びてしまうとすぐにやられてしまいます。
ゲームではアリが人間よりもはるかに大きいので、こんなにも虫(ギ酸)が恐ろしいものだと感じたことはありませんでした。
アリに襲われる虫の気持ちが分かったような気がしました。
蟻の識別
話を戻しますが、蟻はフェロモン物質によって自分たちの種類を見分けていると考えられています。
近年の研究で福岡大学理学部地球圏科学科の渡邉英博助教、横張文男名誉教授を中心とする研究グループは、クロオオアリの巣仲間識別フェロモンである18種類の体表炭化水素がどのように受容されているかを世界で初めて明らかにしました。
詳しいことは原著を読むのが良いですが、
ざっくりと言うと、
アリの持つ18種類の難揮発性の化学物質である
体表炭化水素の混合比が、
クロオオアリの巣ごとに異なっていることを、
各アリたちが触覚により認識しているそうです。
蟻の大群であっても、このフェロモンによって身内かそうでないかを見分けれるのはなんだか、すごいですね。
アリとキリギリス
アリといえば有名なイソップ物語の一つに「アリとキリギリス」があります。
「アリとキリギリス」の原著は、古代ギリシアの奴隷だったアイソーポスが紀元前6世紀ごろに語ったとされる「イソップ童話」です。原典は「アリとセミ」または「アリとセンチコガネ」とされており、ギリシアからアルプス山脈を北に越え伝えられる過程で翻訳中に「キリギリス」になったと考えられています。(AIによる概要)
もともとはキリギリスではなかったのですね。
ともあれ、アリは真面目に働くことの大切さや、将来のことを考えて努力することの大切さを教訓とする、コツコツと働く者の象徴としてとらえられています。
階段のアリについて
さて、このアリは働きアリと思われますが、
なぜ1匹になっているのでしょうか。
階段に餌があるのであれば大群でいても
おかしくありませんが
1匹でうろうろしていました。
とても働いているようには見えませんし、
周りにはそのほかにはアリはいませんでしたので完全に迷いアリではないかと思います。
活動範囲を広げすぎて仲間のフェロモンを見失ってしまったのか、仲間のところに戻れたらいいですね。
蟻は人々にとってインパクトのある生物のため、少し脱線しながらもとてもボリュームのある内容を調べることができてとても勉強になりました。
今回の来訪者はクロオオアリ(仮)でした。
もしかしたらクロオオアリではない可能性もありますのでどなたか詳しい方がいらっしゃったらコメント頂けると嬉しいです。
次はどんな虫に出会うのでしょうか。
どんなふうにワクワクさせてくれるのか
次の来訪者に期待したいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
※虫の同定(自然科学で、分類上の所属を決定すること。)は本来難しいので、間違っていたらご指摘頂けますと修正しますのでコメント頂けますと嬉しいです。
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