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現状認識の荒野を歩く。データ部門の半年間の振り返り

この記事はfreeeデータに関わる人たち Advent Calendar 2020の25日目です

現状認識はスキルである。

ピンとくるようなこないような感じですよね。僕もそうです。この記事では2020年7月に誕生したデータ部門の半年間を僕の関心事と活動を中心に振り返ります。チーム統合における現状認識の参考になれば幸いです。

ちなみに、下記の3チームを統合してデータ部門が誕生しました。
・データ分析を行うAnalyticsチーム
・データ基盤を開発・運用するデータ基盤チーム
・機械学習を活用して価値提供を行うsmb-AI-Labチーム

自己紹介が遅れました。鈴木と言います。freeeでは複数部門のマネジメントを担当しています。次のリーダーを育成することが主要なミッションです。

6月:誕生前夜。置かれた状況の理解から始める

何事もそうですが、自分の置かれた状況を理解することが大切です。チームの状況、その中で期待されていること、自分が何をやるべきなのか(特にAnalyticsとデータ基盤はほぼ初めましてのチームでした)

主な関心事
・チームの活動と考え方
・上手くいったこと、いかなかったことに対する認識
・マネージャーのマネージャーがやっていたこと(僕に期待されること)
主な活動
・マネージャーとの1on1 または 2on1(週一回)
・振り返りMTGやOKR設定のオブザーブ
・ヒアリング内容をドキュメントにまとめる。主観を入れずに構造化

主観が入り込まない淀みない現状理解を目標として、自分の意見や評価は封印。ひたすら理解するための質問を考え続けた時期でした。

両チームの歴史などを聞きながら、現状認識を深めるために理解したいことも見えてきました。
・2020年7月以降の方針は存在するがオーナー不在?
・課題や現状に対する認識が揃ってない部分もありそう
・お互いを理解するための時間がもっと必要そう

どうぶつの森でリュウグウノツカイを取り逃がしたことにも気づけました。

7月,8月:新体制スタート!チームの現状把握を進める

何となく状況が見えてきたので、どうぶつの森の攻略本を買おうか悩みつつ、チームやメンバーの現状把握へ。freeeでは7月から事業年度が始まります。その初日、7月1日に自己紹介MTGを設定しました。

主な関心事
・僕自身がどういう人なのかを知ってもらいたい
・チームメンバーがどういう人なのかを知りたい
・チームリーダー同士、お互いを理解して欲しい
主な活動
・30分の自己紹介イベント
・全メンバーとの1on1(月一回。12月現在継続中)
・週3でのマネージャーMTG(12月現在継続中)

1on1は僕の自己紹介に対する質問やメンバーからの自己紹介を議題に。

マネージャーMTGは相互理解を主目的に。例えば、リンゴをみて「これはリンゴだ」と思う人もいれば「食べたら岩を破壊できるな」と思うどうぶつの森好きな人もいます。お互いの事実を認識するときの癖を肌感として持ってもらえればと思い、課題から雑談まで幅広くテーマを設定しながら議論。

7月末からはall handsというデータ部門の全メンバーが参加・交流するイベントも始まりました。僕から発表したコンテンツも自己開示や現状把握に重きを置いた内容でした。
・1on1で質問を受けたことを中心に自己紹介の補足
・1on1やMTGに参加して解像度を深めたいと思ったことを共有

余談ですが、8月は3週間ほど夏休みをいただき、ぼ〜としてました。

9月:ビジョンを言語化。舞台は組織としての自己認識へ

僕がデータ部門の現状認識を進めるフェーズから、データ部門がデータ部門の現状認識を進めるフェーズに。

自己認識ならぬチーム認識。

・・・freeeでは3ヶ月単位でOKRを設定します。7月から9月までのOKRを振り返りながら、10月から12月のOKRを考えます。

9月までは各チームで閉じた活動が中心。10月からはチームを超えて協働する横断OKRを設定することに。同じ部門になったからチームになれるわけではないですよね。一緒に活動して相互理解を深めないと。

横断OKRを設定する準備として、データ部門におけるビジョンを言語化。

主な関心事
・1on1やMTGで聞いた話から、どんなビジョンを抽出できるか
・データ部門に対する会社の期待も合わせて表現したい
・全メンバーが「まあそうだよね」と思う現在のビジョンを言語化したい
主な活動
・ビジョンの言語化
・横断OKRの方針と初版を作成

ビジョンを議論することは組織の自己認識につながります。当たり前と思われることも、言語化されると「そうそう!」とか「思ってたんとちゃう」みたいな話が地に足がついた状態で進められるようになります。メンバーとの1on1でフィードバックをもらいながら、加筆・修正を繰り返しました。

10月, 11月:横断OKRスタート!組織の現状認識を深める

10月からは横断OKRが動き出しました。横断OKRへの工数配分は全体の20%が目安です。

Analytics、データ基盤、smb-AI-Labはデータ部門が誕生する前から重要なミッションを抱えており、データ部門が誕生したからといって、それを捨てることはできません。

新チームが誕生すると、勢い余って新タスクを始めがちです。新しいことを始めるには古いことを終わらせる。古いことを終わらせるには、リスペクトを持って背景を理解し、終わらせる条件を整えることが必要。

過去の意思決定は敬意を持って供養しましょう。

さて、横断OKRとして下記3つのテーマを設定しました。
・データを理解する
・分析環境ロードマップ2021
・データ部門における顧客の成功を理解する

横断OKRは各OKRのオーナーを中心に進みました。OKR達成による成果だけでなく、活動を通じて組織として獲得する能力にも強い関心がありました。

主な関心事
・データを理解するためのフレームワーク、アクションを学ぶ
・分析環境の継続的な進化を実現する、テクノロジー検証を組織的に学ぶ
・自分たちの活動、成果を整理するフレームワークを学ぶ
主な活動
・横断OKRの取り組みに対するフィードバック

横断OKRを通じて再認識が進みました。理解が曖昧なところ、判断を閉じてしまうところ、コミュニケーションが一方通行になってしまうところ、会社の成長に伴いカオス化したところなど多くの気づきを得ました。また、共同プロジェクトの進め方やテクノロジー検証からの予算検討、資料のまとめ方などの経験値をためることができました。

freeeは成長スピードが早いため、どうしてもカバーできない領域が出てきます。会社の成長に伴い業務領域をハイスピードで拡大してきた両チームが現状を再認識する良いタイミングだったのかもしれません。

12月:来年の準備。現状認識の舞台は部門から会社へ

横断OKRの中間レビューを実施。全体工数の20%という制約の中でも課題感を前に進めるような気づきを得て、データ部門の現状認識が深まりました。
・自分たちが関与できてなかったエリアが見える化された
・各部門におけるデータ活用進捗の違いが整理されてきた
・エンジニアと分析者が協働するテクノロジー検証のカタが見えてきた
・各チームの活動が価値提供を軸に整理されてきた

現状認識が進むと「もっとこうしたい」という部分が地に足がついた状態で見えてきます。また、活動を通じて協働し、あーだこーだと言い合いながらチームになっていくことが会社の財産になります。僕らの役割は、あーだこーだを地上に落として建設的な方向に微修正することだと思います。

主な関心事
・10月から始まった横断OKRの着地、獲得した能力
・2021年1月から何をすべきか
主な活動
・2021年前半の方針をまとめた
・横断OKR全体のオーナーをアサイン

横断OKRによる現状認識から、データ部門はデータカンパニーとしてのfreeeをリードする存在であることを追求したいと思うようになりました。

そこで、2021年1月から6月までのテーマは、2021年7月から始まる新しい事業年度に向けて「データを理解し、データカンパニーの旗を立て、リードする存在としてやるべきことを知る」を進めていきたいと考えています。

2021年から取り組む課題の選定やOKR設定はオーナーにお任せてます。OKRの決定はこの記事公開後なので、どのようなOKRが設定されているかは現時点ではわかりません。ドキドキですね。

終わりに:データからスモールビジネスを深く理解する

現状認識は平野ではなく荒野です、荒野。計測しようがないので、なんとなとなくできた気になってしまうのが現状認識の困ったところ。だからこそ、自分が理解してないことを理解しながら歩き続けることが重要。メタ認知。

この半年間、自分の置かれた状況の理解から始まり、現状認識の範囲を広げてきました。

荒野を歩いたステップ
・僕が僕自身の置かれた状況を理解する
・僕がチーム・チームメンバーの状況を理解する
・チームがチームの現状を理解する
・チームが会社の現状を理解する(予定)

何度か「地に足がついた」というワードも使いました。現状に対する共通認識がないと、空中戦になってしまったり、耳触りの良いビッグワードに頼った解決策を進めようとしてしまいます。ビジョンを作ることよりも、顔を合わせてどうぶつの森の話をする方が解決につながるケースもあるでしょう。

僕が現状認識を大事にしているのは、アインシュタインが言ったとか言ってないとかされる名言を経験的に腹落ちしているからです。

問題を解決するために1時間あったら、問題を考えるのに55分、解決策を考えるのに5分を費やすだろう。

問題を、現状を、正しく理解できれば組織を良くする方法論はすぐに思いつきます。世の中には良いソリューションが溢れてますから。

難しいのはいつだって現状を正しく認識することです。

最後に2021年6月までの関心事を記載します。現状認識という響は地味ですが、徐々に加速度をつけながら大きなものを動かしていく感覚を共有できれば幸いです。

主な関心事
・「データ部門」ではなく「データカンパニー」の成功をどう測定するか
・グローバル基準のデータカンパニーになるためには何が必要なのか
・2021年7月から始まる新しい事業年度で達成すべきことを何か
主な活動
・現状認識をチームに任せる
・斜めからのアイデアを探す(かき乱す)

もちろん、データカンパニーを目指すことがゴールではありません。
データからスモールビジネスを理解する、壮大な現状認識は果てしなく続いていきます。

最後まで、お読みいただきありがとうございました!

おまけ

2020年4月、内示が出たときは「データ分析部門」という話でした。
「いやいや、データ分析ではなくデータをリードしていくチームでしょ!」と無邪気にハードルを上げてしまったことを白状しておきます・・

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