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ゲーム要素分析〜ターン制とリアルタイム制について

今回は「ターン制」と「リアルタイム制」のシステムがゲームにもたらす効果を考えてみます。

■ターン制とリアルタイム制の定義

ターン制とは、ゲームに参加している各プレイヤーの行動フェーズが順番に回ってくるシステムです。
古くは、多くのボードゲームやカードゲームなどのアナログゲームで採用されているシステムで、例えばババ抜きであれば以下の通りです。

1. 順番が回ってきたプレイヤーは隣のプレイヤーのカードを一枚引く
2. 同じカードが揃っていたら、カードを捨てる
3. 次のプレイヤーに順番が回る。1に戻る

他にもオセロや将棋もターン制です。行動可能なプレイヤーは常に一人で、他のプレイヤーはそれが終わるのを待つ必要があります。

これに対してリアルタイム制は、順番を待つ必要がなく、常に各プレイヤーは何らかの行動が可能となります。(ただし行動するために支払うコストが足りない場合は、行動可能になるまで待つことが必要になる場合があります)

■ターン制とリアルタイム制の違い

一般的なターン制とリアルタイム制の違いは以下の通りです。

* ターン制では順番が回ってくるまで、見ているだけとなる
(※他のプレイヤーの行動に反応して割り込み可能な場合もある)
* リアルタイム制は順番を待つ必要がなく、常に行動可能

■デジタルゲームでのターン制のメリット

デジタルゲームの場合、ターン制を採用すると以下のメリットがあります。

* 行動決定までの時間制限がないため、答えを出すためじっくり考えることができる
* また、行動決定まで戦況が変化しないため、前提を固定化して解答への筋道を考えることができる

つまり、しっかりと状況を分析して行動を決定することを求めるゲーム、例えばパズルゲームにとても向いています。また、慎重に考えた結果となるので、プレイヤーはゲームに公平性があるように感じます。そのため、ランダムで結果が変わる「運要素」を強めにしてしまうと、不公平感を生み出してしまいがちです。

リアルタイム制と比べると、ゲームが不得意なプレイヤーでも、慎重に考えることができるためカジュアルユーザー向きと言えます。

■リアルタイム制のメリット

リアルタイム制を採用すると以下のメリットがあります。

* 手番が回るまでの待ち時間がなくなる
* 情報の瞬間的な処理速度で勝負が決まりやすい
* ダイナミックに戦況が変わるため、混沌とした展開になりやすい

ターン制は1つの行動に対する重みが大きく、細かな調整ができません。例えば、1ターンの行動を攻撃にすると、敵からの攻撃を防ぐことができません。
それに対してリアルタイム制では、例えば半分を攻撃、半分を防御に割り振る、というように、行動を分散させることができるため、「戦略の自由度が非常に高く」なります。
ターン制では、1ターン・2ターン・3ターン……という離散的な単位 (整数値)で処理されていたものが、リアルタイム制では、1ターン・1.1ターン・1.2ターンといった連続性のある単位 (浮動小数値≒フレームレート) で処理されることになるというわけです。

しかし自由度が大きくなるということは、プレイヤーへの負担も上がるわけで、リアルタイム制に不慣れなユーザーにとっては難しく感じてしまうというデメリットもあります。例えば、RTS (Real-Time Strategy。Age of Empiresなど) は海外では人気のジャンルですが、日本ではあまり人気がありません。逆に日本のストラテジーゲームといえば、 TBS (Turn-Based Strategy。ファイヤーエムブレムなど) の方が主流となっています。

※ただ、最近ではタワーディフェンスなどのカジュアルなRTSの影響で、少しずつ状況は変わりつつあります。

■ターン制とリアルタイム制のハイブリッド

ターン制は「カジュアル」で「じっくり考える」というゲームに向いていて、リアルタイム制は「混沌を楽しむ」「自由度の大きさを楽しむ」というゲームに向いている、としました。
ただ、この2つのシステムは共存することも可能です。

例えば、シューティングゲームは通常リアルタイム制ですが、「エスプガルーダ」では精霊石を消費して時間の流れをゆっくりにする “覚醒” というシステムがあります。これをターン制と解釈することはできませんが、時間の流れを操作することで、擬似的にターン制のメリット「初心者のプレイヤーでも楽しめる」を実現しています。
また、RTSを採用したローグライク「FTL」では、SPACEキーを押すことで、時間の流れを停止させてじっくり考えることができるようにしています。これはターン制のメリットである「じっくり考える」を可能にし、時間停止を解除すればゲームそのものはリアルタイムで制御されるので「操作の自由度を大きくする」も可能となっています。

■参考にしたページ

翻訳記事:リアルタイムVSターン制

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