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問いによる足場かけのテクニック(インプット備忘録1)

先月からミミクリデザイン主催のオンラインプログラム「WORKSHOP DESIGN ACADEMIA(通称WDA)」に加入して、少しずつコンテンツを消化しています。

主にはワークショップデザインやファシリテーションにまつわる専門知識・ノウハウを体系的に学ぶことが趣旨ですが、人材育成や組織開発、まちづくりなど関連する領域は広く、改めて学ぶにはとてもちょうど良い形です。

私はいつも動画コンテンツを紙のノートに書き溜めているのですが、せっかくなのでこちらのnoteにも備忘として書き残していこうかなと思います。
今回はタイトルにもある「問いによる足場かけのテクニック」です。

0.ワークショップにおける「足場かけ」とは

そも、ワークショップは新しいアイディアを誘発し、参加者同士のコミュニケーションから解決策や施策を生み出していくための手法です。
しかし、いきなり本題に入ってもなかなか意見が出なかったり現実の枠から抜け出せなかったりといったことが起きます。
ワークショップのメインテーマに入る前に、参加者の思考を深めたり、引き出したり、柔軟にしたりするための投げかけが「足場かけ」になります。

1.点数化・グラフ化

点数化とは、事象や思考などの抽象的なものを主観的な数値にしてもらうことです。
例:あなたの今のキャリアの充実度は何点?
  自組織のコミュニケーション活性度は100点満点中何点?

グラフ化とは、数値化の別バージョンで、時系列などで連続的に数値として表してもらうことです。

例:入社してから現在までのモチベーションを曲線で描いてみてください

数値化もグラフ化も、大切なのは数値をつけた後の投げかけです。
・なぜその数値をつけたのですか?
・数値を上げる(または下げる)には、どうすればいいでしょうか?
などと問いかけることによって、より具体的に語ってもらいやすくなり、ストーリーテリングを誘発しやすくなります。

2.ものさしづくり

話し合いをする上での価値の評価基準を、参加者同士でつくって合意形成しておくことです。

例えば、社内コラボレーションを活性化させるための施策を考えるワークショップを行うとして、本題の施策のアイディア出しの前に

「良い社内コラボレーションは何か」

「社内コラボレーションがうまくいっているというのはどういう状態か」

といった問いかけをして参加者に考えてもらいます。


「良さ」「美しさ」「正しさ」といった、人によって価値観や解釈が大きく異なるテーマを扱う際にこの手法がとても有効になります。

3.架空設定

「もし〜だったら」という架空の設定を投げかけることで発想を促すことです。

例:もしあなたが社長だったらどういう行動を取りますか?
  もしあなたの会社で研修が禁止されたら、どうやって社員を育てますか?

いつもの常識の枠を外し、新しい視点で考えてもらうための促しとして有効な手法です。

4.そもそも

ワークショップで議論するテーマの背景にある大前提を問い直したり、改めて考えてもらうことです。

例:そもそも、どうしてこの事象は起きているのか?
  そもそも、それはなぜ必要なのか?

表面的なHowの話に終始してしまったり、ワークショップの自己目的化を避けるために、このような「そもそも」をワークショップの前半で問い直しておくことはとても有効です。
(ただし、問いかけるタイミングは注意する必要があります)

5.喩える(アナロジー)

ワークショップで考えてほしい事項やテーマについて、別のものに喩えて考えてもらうことです。

例えば、「あなたの職場の課題は何か」というテーマで話してもらいたい場合、そのまま問いかけると愚痴ばかりになったり、解決策も現実的なものしか取り上げられず縮こまった解決策になってしまったりすることがあります。

ここで「喩え」を使って「あなたの職場の課題をケガや病気に喩えると何ですか?」という問いかけにすると、「捻挫ですね〜」「いやぁ、もはや癌ですね」といった形でポンポンアイディアが出やすくなることがあります。
そして、こういった喩えにすることで、ワークショップに笑いも起きやすくなります。

このように、リアルと全く別のものに喩えることで、新しいアイディアが出やすくなったりストーリーテリングを促しやすくすることができます。
非日常性を持たせる意味でも有効です。


1〜5の手法は、研修でも多分に取り入れられているなぁとしみじみ思いました。
この中で自分が一番難しいと思っているのが「ものさしづくり」ですかね。
みんなの価値基準をどうやって合意形成すればいいのか……
うちの会社は本当に多様性の塊みたいな組織なので、何か1つに決めるというのはどう考えても無理ゲーな気がする……
今度は「合意形成」について少し勉強してみようかな、と思いました。

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