貧血治療に対する鉄剤、その正しい飲み方とは!?
貧血は、発展途上国など、不衛生な生活環境での暮らしを強いられている人で発症しやすいことが知られています。しかしながら、日本の成人女性においては、他の先進諸国と比較しても、貧血を患っている人が多い傾向にあります。
2019年に報告された調査データによれば、東京都の医療機関で検診を受けた20〜49歳の女性10,598人のうち、貧血を指摘された人は17.1%に上りました(Hisa, et al.2019; PMID: 31745104)。
貧血は、血液を作るための細胞の異常や、ビタミンや鉄などの摂取不足が原因となり、赤血球の産生が低下することで生じます。一般的に貧血といった場合、赤血球の原料となる鉄が不足する、鉄欠乏性貧血を指します。
鉄の欠乏を補い、貧血の改善効果が期待できる鉄剤は、OTC医薬品として市販でも購入することができます。ただし、医薬品として販売されている製品の種類は限られています。代表的なOTC医薬品として、以下の2つを挙げることができるでしょう。
鉄はビタミンCと一緒に摂取すると吸収が良くなるなどといわれており、ビタミンCを配合しているマスチゲン錠の製剤添付文書においても、製品の特長として「鉄分の吸収を高めるレモン約3個分のビタミンC……を配合」との記載があります。しかし、ビタミンCの配合の有無で、貧血に対する治療効果にどれほど差があるのでしょうか。
また、鉄には主に消化器系の副作用が出やすいという特徴があります。実際、上記2つの医薬品に共通して、製剤添付文書には以下の記載があります。
今回は、鉄を配合した2つのOTC医薬品を例に、ビタミンCの配合有無のメリットと、鉄の副作用の発生リスクに配慮した、最も合理的な服用法をエビデンスに基づいて解説します。
ビタミンCを併用すると鉄の吸収が良くなる!?
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