【半導体投資家必見】NHKスペシャル 半導体大競争時代 総括
こんにちは。
都内でひっそりと生きる専業主夫です。
突然ですが、皆さんは「投資」をされていますでしょうか?
私は今米国株(半導体セクター)をメインに投資しています。
今年から始まった新NISAにおいては、既に成長投資枠の1年間の上限である240万円をNASDAQ100(※)に投資しています。
それこそ今話題のNVIDIAの株も10株ですが持っています。
※本日時点の為替(1ドル148円)で日本円に換算すると約134万円相当。
NVIDIAといえば、2024年2月の決算で売上高・利益ともにとてつもない成長率を叩き出した、現在世界で最も注目されているといっても過言ではない、アメリカの半導体最大手の会社です。
余談ですが、私は大学卒業後に入社した電機メーカーで営業職として6年勤務していました。その時に扱っていた商材が「高周波誘導加熱装置」と呼ばれる自動車部品を誘導加熱の原理で焼き入れ焼き戻しする大型設備でした。
そして、その設備のコアとなる高周波発振機には、まさに「半導体(トランジスタ)」が使われていました。
半導体に興味を持ったのはそれがきっかけですが、大金を投資しているにも関わらず、業界内の動向やそもそも半導体についての理解が全くできていないことに気づきました。
先駆けとして、先日無事に電験三種の電力科目に合格することができましたが、これはあくまでも発電・変電・送電・配電といった分野についてなので、半導体については本や動画などで徐々に理解を深めていきたいと思っています。
今回の記事は、NHKスペシャル「半導体大競争時代」を視聴した内容をまとめたものです。私のようにNVIDIAから半導体に興味を持ち、NASDAQ100や半導体銘柄に投資している方には必見の内容となっています。
1.世界をリードする設計のアメリカと、巨大市場を追い風に急成長する中国
半導体では回路の幅が性能を決定付ける。幅が細くなればなるほど、電気信号のやりとりを増やすことができ、データの処理能力が上がる。
現在、日本で製造できる限界は家電などで使われている40ナノだが、IBMが開発した回路の最小幅は2ナノと大きな差があり、AI(人工知能)、通信技術(5G・6G)、自動運転、宇宙探査などの性能を高める技術として注目されている。
世界では今、アメリカと中国が半導体を巡って国の総力を挙げた競争を繰り広げている。設計のアメリカ、市場の中国。中国の市場を牽引しているのは、大量の半導体が使われるEV(電気自動車)である。
世界最大のEV市場となった中国、EV新車販売台数はアメリカ市場が約70万台に対し、中国市場は約400万台」と5倍以上の差となっている(2022年1月~11月 マークラインズ調べ)。中国の半導体メーカーは巨大な市場を追い風に技術や生産力を急速に拡大させている。
アメリカは半導体の設計においては世界のトップを走ってきたが、製造については海外に依存する傾向にあった。一方、中国は「世界の工場」として製造に特化してきた。
2.最先端半導体で”製造”握る台湾
台湾ハイテク産業の中心地「新竹サイエンスパーク」。17万人以上が働き、多くが半導体産業に携わる。ここに本社を置くのが先端半導体の製造で世界をリードするTSMCである。設立は1987年、他社からの注文を受け半導体の”製造”に特化するビジネスモデルを世界で初めて確立させた。
スマートフォン市場で世界のトップを走るアップルからも製造を受託し、iPhone10ではTSMCが製造した4ナノのCPUが使用されている。
さらに中国のスマホ大手からも製造を請け負うなど、先端半導体(14ナノ未満)で世界シェアの約7割を占めるまでに至った(Omdia調べ)。
時価総額は2023年1月10日時点で約54兆円であり、これはトヨタ自動車の約2倍に相当する。
米中対立が激化する中で、先端半導体の重要性は増している。2022年8月、アメリカのペロシ下院議長が台湾を電撃訪問。これに反発した中国は台湾周辺で大規模な軍事演習を実施した。
今アメリカは中国に対抗するため、国内の生産拡大を急いでいる。アリゾナ州にTSMCの巨大工場を誘致し、アメリカ国内では実現できなかった4ナノの量産を始める予定だ。最先端の工場をアメリカに建設するために、TSMCと数年間に渡り交渉してきた。
3.中国への輸出規制 深まる米中対立
アメリカは半導体の国産化を推進するため、政府主導の大規模な産業振興策に踏み出している。半導体産業に約7兆円の補助金を投じる、通称”チップス法”である。
国産化を急ぐ理由として、政府が掲げているのが安全保障である。米軍の最新兵器は海外産の半導体に依存している。アメリカのシンクタンクによると、最新鋭の戦闘機に使われている半導体もTSMC製とされている。
アメリカは国産化を進める一方、中国への締め付けも強めている。中国が先端半導体を軍事転用するおそれがあるとして、2022年10月輸出規制を強化。先端半導体を製造するための装置・ソフトウエアなどを中国に渡らないようにした。
これに対し中国政府は反発。WTOに提訴するなど対立を深めている。
4.凋落した日本に残された強みとは
かつて、半導体売上のトップ10社のうち5社は日本企業が占めていたが、現在は姿を消した。なお、TSMCはこれらの会社から注文を受けて製作する企業なので、このランキングには入っていない。
なぜ、日本の企業は凋落してしまったのか。その理由の1つとして、「自前主義」がある。これは、開発・設計から製造まで自社で行うことを表した言葉だ。当時、日本企業は「Made in Japan」として隆々とした存在であり自前主義にこだわっていた。
しかし、そのためには工場の建設などの多額な設備投資が不可欠である。半導体ビジネスは巨額投資とスピードが命であり、技術革新も早く、景気の浮き沈みにも大きく左右される。
ところが、日本の企業はボトムアップ型(※)のビジネスモデルが中心であり、技術革新や意志決定のスピード感についていけなかったことが凋落の原因とされている。
しかし、半導体産業において日本にはまだ強い分野もある。製造装置と素材だ。例えば、半導体の土台となるシリコンウエハーにおいては、日本の企業が世界シェアの6割を持っている。そのウエハーを加工するために必要なのが製造装置である。
半導体はウエハーの洗浄や薬剤塗りなど、500以上の工程を経て作られる。それぞれの工程では異なる製造装置が使われており、洗浄などの製造装置で日本は高いシェアを持っている。
日本の半導体産業が凋落する中、製造装置メーカーが海外への輸出に活路を見いだしてきた。京都府に本社を構える「SCREEN」は、ウエハーの洗浄装置において世界トップシェアを誇る。
ウエハーの上に何層も回路を書き込んで製作される半導体は、表面にゴミがあると上手く回路が書き込めないため、層を重ねるたびに洗浄する必要がある。現在SCREENの売り上げの8割は海外向けとなっている。今アメリカや中国での需要の高まりを受けて増産に乗り出している。
しかし、需要が高まる一方で、海外から求められる水準はより厳しくなる。半導体の回路が複雑になるほど、より高いレベルの洗浄能力が求められることになる。洗浄の質は、水量・回転数・温度など数万通りの組み合わせで左右される。
5.対応迫るアメリカに対し日本企業は
米商務省は2022年10月に、スーパー・コンピュータや人工知能(AI)に使う先端半導体やその製造に必要な装置、技術について、中国への輸出を事実上禁じる輸出規制を出した。
その際、半導体製造装置に強みをもつ日本とオランダにも同調するよう求めた(この分野の半導体製造装置は、日本、米国、オランダの3か国にほぼ限られている)。
これにより、日本から中国に輸出する場合でも、アメリカの技術・部品(ねじ・くぎの類いまで全てが対象)が使われていれば、アメリカの許可なしにはできなくなる。
例えば、日本から中国に輸出した製造装置に使われているアメリカ産の部品が壊れた場合、代替品を中国に輸出できなくなるため機械が動かなくなってしまう。中国向けに輸出している日本企業は対応が必須となる。
日本企業はアメリカによる囲い込みにも直面している。2022年9月、安部元総理の国葬に参列するために来日したアメリカのハリス副大統領は国葬の翌日、半導体装置・素材メーカーを集め、「日本とアメリカは強靱なサプライチェーンをともに築き、技術革新に投資をする責任がある。」と協力を呼びかけた。
この場に招かれた素材メーカーの「レゾナック」は半導体基板用の銅張積層板において世界シェアトップ(約4割)を持つ。
ハリス副大統領やアメリカ大使館からは、チップス法の補助金を活用できるため、アメリカに拠点を設けるよう提案された。しかし、補助金を受けた場合は中国への新規投資が10年間できなくなるなど、ビジネスが制約されるおそれがある。
6.国産化プロジェクト「ラピダス」とは
自国を優先するアメリカがサプライチェーンを再編しようとする中で対応を迫られる日本企業。先端半導体を国内で製造できておらず、アメリカや台湾から10年遅れとされる日本だが、政府としてはその流れに乗ることで半導体製造を復活させるプロジェクトを勧めている。
1980年代に日本を席巻した日本の半導体だが、その凋落のきっかけとなったのがアメリカからの厳しい規制である。「日本は半導体を不当に安く販売している」、「日本市場は閉鎖的」として日米半導体協定の締結を迫った。日本からの輸出や価格を10年間にわたり厳しく規制した。
先端半導体の国産化を目指す金指課長は2022年10月、半導体産業にかつての日本の輝きを復活させるべく、アメリカの関係者に日本の強い意志を伝え、協力を得るために現地入りした。
向かったのは、世界で初めて2ナノの半導体の開発に成功したIBM。IBMとの連携により半導体国産化プロジェクトとして、日本国内に新会社「Rapidus(ラピダス)」を立ち上げる。アメリカの設計の力を借りることで、10年の遅れを取り戻す狙いだ。
また、日本政府は2ナノの量産だけでなく、次世代技術の研究開発をアメリカとともに勧めようとしている。アメリカは日本との連携強化に強い期待を示している。
2022年12月、次世代半導体の国産化を担うラピダスは、アメリカのIBMと正式に技術提携することを発表した。新会社は国から700億円の補助金を得て、2027年にAIや半導体向けの先端半導体の量産化を目指している。
しかし、2022年度の第2次補正予算で日本政府は約1.3兆円を確保したものの、アメリカが7兆円、中国が10兆円、EUは約6兆円となっており、世界の主要国に比べると少ないと言わざるを得ないのが現状である。
7.おわりに
ご存じの方からすれば「今更かよ!」と思える内容だとは思いますが、半導体の製造工程、先端半導体を巡っての米中間の対立、台湾のTMSC、国産化プロジェクトを担うラピダス設立の経緯などについて学ぶことができました。
今後の記事では、ラピダスやNVIDIAについても取り上げていきますので、気になる方はぜひフォローしていただけますと幸いです。
それでは今回はこの辺で失礼します。
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