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なぜテストを受けるだけで記憶に定着するのか?

・資格の勉強のためにテキストを読んでいるけど全然頭に入って来ない

・単語帳を使って暗記してるけどもっといい方法ないの?

こんな人多いのではないでしょうか?

記憶したいものがなかなか頭の中に入って来ないですよね。年齢を重ねてくると特に記憶力の低下を感じやすいでしょう。

ただ、多くの人は自分のやり方が最も覚えやすいやり方だと過信している節が多く、科学的に見ると非効率的な方法で覚えようとしているかもしれません。

なので、今回は「どうすれば記憶力を上げれるのか?」について解説します。

今回紹介する方法を実践するだけで勉強時間が短くなり、覚えれる量も増やすことができるので一石二鳥です。

テキストを読むよりも問題を解いたほうが記憶の定着に役立つ

記憶したいものを覚えておくには、テキストを読むよりも小テストをしたほうが効果的です。勉強時間を短縮して、記憶できることを増やすことができます。

このことは外国語の単語を勉強する実験で明らかになっています。

40個の単語と意味を学習して小テストを行いました。

この時点での点数は30点ほどで復習する方法を4つのグループに分けて、どの方法が最も効率的に勉強できるのかを調べました。

①全単語を再学習 + 全単語を再テスト
②不正解のみ再学習 + 全単語を再テスト
③全単語を再学習 + 不正解のみ再テスト
④不正解のみ再学習 + 不正解のみ再テスト

再学習はテキストを読むだけの勉強方法で、再テストは問題を解いて復習する方法です。そして、1週間後に最終テストを行いました。

その結果、グループ②はグループ①よりも勉強時間が短いにもかかわらず高得点を取り、グループ③はグループ②と同じ勉強時間にもかかわらず点数は低くなっていました。

つまり、テキストを読むよりも問題を解いたほうが勉強時間が短くなり、点数も高くなったということです。

なぜテストで記憶が定着するのか?

なぜテストで効率よく勉強することができるのでしょうか?

それは思い出そうとする努力が記憶の定着を促すからです。

最初にテキストを読んで学習した状態では頭に入っているけど、どうやってその情報を取り出せばいいのか分からない状態。

つまり、覚えることと思い出すことは別ものだということ。

たとえば、新しいゲームをスマホにインストールして「事前に遊び方を調べてたから上手くやれるだろう」と思ってたけど、実際やってみると全然ダメだったということありますよね。

これは事前に調べた状態では情報を詰め込んだだけで、その情報の取り出して実際に遊ぶのは別物だからです。

これと同じでテキストを読むだけでは情報を頭の中から引っ張り出せないのです。

そして、この課題を解決するのが問題を解くことです。問題を解くことで頭から引っ張りだす努力を行い情報が整理されて取り出しやすくなるのです。

このことを哲学者アリストテレスは「繰り返し思い出すことによって記憶が高まる」と指摘しています。

テストは何度行うべきか?

「テストの効果があるのは分かったけど記憶にしっかり定着するには何回問題を解けばいいの?」

と疑問を持つ人も多いでしょう。答えを先に言うと5回です。これも実験で証明されています。

129人の大学生がスワヒリ語の単語70語の意味を覚える学習と小テストを行いました。その際単語が出現する間隔を2つのグループに分けました。

・1分
・6分

そして各単語が1~10のあらかじめ決められた正解数に達するまで続けられ、1週間後に最終テストを行いました。

その結果、単語が現れる間隔が短い時よりも長い時のほうが成績が良くなり、間隔が1分の時はほとんど記憶に残っていませんでした。

これは分散学習による効果です。一度理解したことは集中して再学習するのではなく、期間を空けて復習したほうが長期的に記憶に定着しやすい。

そのため、テスト間隔が1分よりも6分の時のほうが成績が良くなりました。

また、小テストの回数が1~5回まで上げていくと成績が上がっていきましたが、それ以上小テストを繰り返しても成績は上がりませんでした。

つまり、小テストで効率的に成績を上げるには5回テストを行えばいいということです。

テストの効果はどれくらい継続するのか?

最後にテストの効果はどれくらい継続するものなのでしょうか?

これも実験されており、テスト効果は短期的な記憶よりも長期的な記憶の方が役に立つことが分かっています。

その実験では、42人に単語を覚えてもらう勉強を行ってもらい、2つのグループに分けました。

・小テストグループ:小テストを受けて心の中で解答する

・見直しグループ:単語の意味を見直す

そして、復習のための勉強から最終テストまでの期間を5分から42日まで幅広く取りました。

その結果、時間が短いほど小テストグループと見直しグループの得点差は小さかったですが、期間が長くなればなるほど得点差が広がり、2日も経てば差が一定となりました。

このように、ある程度期間が経てばテスト効果のメリットが得られるのです。

まとめ

この記事では、どうすれば効率的に勉強できるのかを紹介しました。

・問題を解いて思い出そうとすると勉強時間が短く、記憶できる量も多くなる

・覚えることと思い出すことは別物。思い出そうとすることで頭の中が整理される

・5回問題を解けば長期的に記憶に残る

資格試験や受験勉強など長期的に覚えておきたいことにテストの効果は使えるはずです。

まずはサラッとテキスト読んで、次に問題をしっかり解けば効率的に記憶できます。

参考


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