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熱中症を防ごう 経口補水液とは

水分補給において「どんなものを」「どのくらい」摂取すれば良いのか解説してきましたが、今回は熱中症対策で最も有効な「経口補水液」について解説します。

経口とは、口から与える事。補水とは、身体に必要な水を補給する事(水と塩分を同時にと書いてある場合もあり)です。

●水と同時に塩分を摂取する理由

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水中毒のことは「熱中症を防ごう 運動中、水を飲んじゃダメ?」で解説しましたが、水中毒を防ぐためだけではないのです。

①水の吸収率を高めるため
 口からのんだ水は小腸でほとんど吸収されますが、塩分と糖分を同時に取ると吸収率が高まります。

②体内に水を保持するため
 塩分は身体の中に水を貯める働きがあり、特に血管の中に水を貯めておくには塩分の力が必要です。(塩分を摂り過ぎるとむくむのはこのためです)

③体液が薄まってしまうため
 体液が薄まると水中毒(希釈性低ナトリウム血症)になり、意識がもうろうとしたり、けいれんを起こします。

●経口補水液とは 

名前の通り、経口的に(口から)補水(水と塩分を補給)することのできる飲料です。

組成が決められていて、水、塩分、糖分、ミネラルから構成されています。
特に塩分、糖分の比率が一定の範囲に定められていて、水の吸収に最も効率の良い濃度に調整されています。

経口補水液と名乗るには、ある程度の規格をクリアする必要があるため製造にもコストがかかります。そのため他の飲料よりも割高です。しかし、それだけ価値のある物だと思います。

●経口補水液療法

脱水症の改善および治療を目的として「水、電解質を経口から補給する治療法」であり、名前の通り経口補水液を使用します。

熱中症は大量発汗に伴う脱水症と高体温から生じる臓器障害が問題になります。特に脱水状態からの回復は重要と言われていて、経口補水液は現場で特別な道具や医療従事者が必要なく摂取することができるため、脱水の改善には最も簡単な手法です。

この経口補水液療法が一般家庭でも活用できるようにするためには正しい情報を得て利用することが大切です。

●経口補水液 利用の注意点

かくれ脱水または脱水症の時に飲む飲料です。
 普段の水分、塩分補給は三度の食事と通常の飲料から取るのが理想的です。

迅速に飲み始めて、安定したらゆっくり摂取しましょう。
 熱中症、脱水症では、500mlくらい可能な限り速く飲みましょう。
 症状が安定したらゆっくりと(500mlを30分くらいかけて)飲みましょう。

脱水症の改善後には医師の指示なく経口補水液を飲み続けてはいけません。

経口補水液を薄めて飲んではいけません。
 経口補水液は定められた濃度のまま飲むから意味があります。濃度を変えてしまうと効果も変わってしまいます。

沸騰させたり、凍らせてはいけません。
 凍らない程度に冷やしたり、人肌程度に温めても問題ないでしょう。④と同様の理由で凍らせると、溶けた状況によって組成が変わり、沸騰させると水分が少なくなり濃度がかわるためです。

一度、医師、看護師、薬剤師の指導を受けて使用しましょう。
 色々な情報があるので、信頼できる専門家からの指導を受けるべきです。専門家にしかできない判断や解釈があるはずです。

今回は熱中症対策で有効な経口補水液について解説していきました。
水分と塩分の補給をテーマに3つ記事を書いてきましたが、次回からはテーマを少し変えて、「適切なウエア」について解説していきます。


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