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優待イベント投資の検証・分析

はじめに

優待イベント投資とは、優待銘柄が権利付最終日に向けて株価が上がりやすい性質を利用して儲ける投資手法です。一般的には優待銘柄を権利付最終日のイベントに向けて1から3ヶ月前に買って権利付最終日直前に売却します。イベント投資で有名な夕凪氏(イベント投資でゆったりはじめる ”夕凪式”株式システムトレード講座)や羽根氏(イベントドリブントレード入門 価格変動の要因分析から導く出口戦略)が初心者向きのイベント投資法としてよく紹介しており、お二人の著書にもやり方が記載されています。
本記事では、過去に私が優待イベント投資を検証・分析した結果をざっくりと紹介したいと思います。

優待イベント投資の検証・分析

早速、検証結果を示します。前提条件は、すべての優待銘柄に関して権利付最終日50営業日前に買って権利付最終日の終値で売却するものとします。以下のグラフは、過去8年間の月次累積リターンです。

年平均リターンにすると20%弱です。TOPIXに対する超過リターンは年12%です。上記グラフからもわかる通り優待イベント投資といえども市況に影響されますので低迷期間もありますし、そこそこドローダウンもあります。なお、優待銘柄は小型株が多いですし、決算期が集中する3月や9月以外の閑散期は銘柄数が少なくなりますので資金量の多い方は工夫が必要です。
次に優待銘柄の中で仕掛ける優先順位について検証しました。

優待品の種類

優待品の種類によってパフォーマンスを改善できないか検証しました。例えば、地方銀行でローン金利を優遇する優待を出す銘柄もありますがそんなものほとんどの人にとってほしくないですよね。一方でクオカードや飲食券などは誰でももらって嬉しい優待です。後者の銘柄のほうがリターンが高いのではないかというアイディアです。以下の表に主要なものをまとめました。

全優待銘柄の平均が2.5%に対して、食事券、飲食、クオカードが超過リターンがあります。逆に金利、買物割引、宿泊、おこめが悪いです。やはり食事券やクオカードは誰でもほしい優待で感覚的にもわかりやすい結果となりました。

配当利回り

次に配当利回りが高い優待銘柄のほうが配当取りの買いも入って上がりやすいのではないかというアイディアです。結果、色々検証したのですが、配当利回りで選別する方法には全く優位性はありませんでした。

トレンド判定

仕掛ける直前で上昇トレンドにある優待銘柄のほうが上がりやすいのではないかというアイディアです。結果、色々検証しましたが、優位性はほとんどありませんでした。

小型株効果

小型の優待銘柄のほうが上がりやすいか検証しました。結果、若干の優位性はある模様です。しかし、もともと優待銘柄は小型株が多いので小型株効果を得ていますし、小型株効果はあまり意識する必要はないものと思います。

勝率

例えば、過去5年の優待イベントで勝率が高い優待銘柄のほうがリターンが高いかどうかを検証しました。結果、ほとんど優位性はありませんでした。

前年度の逆張り

前年度にマイナスリターンだった優待銘柄が次の年度にリターンがどうなるかを検証しました。これは私が優待イベント投資をやるときに仕掛ける前にチャートで数年前までさかのぼって確認していたのですが、1年前にうまくいった銘柄ほど次の年度はマイナスになるなぁという気付きがあったためです。以下に散布図を示します。横軸に昨年度のリターン、縦軸にその年のリターンをとっています。つまり、前年度の逆張りが効きそうな感じの結果になりました。しかし、これは年によってばらつきが大きく、さらなる検証が必要かと思います。

まとめ

優待イベント投資のざっくりとした分析結果ですが共有しました。過去の検証結果から、優待イベント投資には超過リターンはあります。しかし当然ながら市況に影響されますし、大型株相場のときはリターンはふるいません。そこら辺を理解したうえで長期で投資するのがよいかと思います。


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