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環境問題への高校生の気付き


SDGsに関する高校1年生の授業フイールドワークでの研究結果発表の講師を務めた。

フイールドワークでの研究テーマ

「中小企業における二酸化炭素削減への新しい取り組み方を提示する」、「大企業と中小企業の二酸化炭素削減活動の違いとその理由を明らかにする」という研究テーマで18名の生徒の発表を聞いた。

社会経験のない16歳の男女高校生が、大企業とか中小企業、二酸化炭素とは何か、企業における二酸化炭素の削減活動がどのように捉えるのか興味を持って参加させていただいた。

SDGsの関心が高い

グループでWebを検索し、話し合いながらまとめた資料の発表を聞きながら、結構正確に把握しているのに驚いた。やはり、SDGsへの関心度は高い、自分たちの課題と捉えている。電通のSDGs調査でも10代男性が55.1%、女性が28.9%、全年齢帯では男性は29.1%、女性が16.0%に比べ非常に高い。

中小企業庁の定義による中小企業の割合は99.7%約420万社、また、87%363万社は小規模企業である。高校生の気付、企業の環境問題へ認識を列挙する。

大企業と中小企業の環境問題への取組 高校生の気付き

・大企業(資金力や従業員が多い、資産もある)は、長い期間で社会全体に向けた地球温暖化対策、中小企業(資金力や従業員が少ない)は、地域に密着したすぐ実施できる活動をしている。

・大企業も中小企業も1年単位でCO2削減目標を立てている。どちらの対策が優れていることではなく、それぞれが社会的責任を果たすことで、地球温暖化を含めた社会問題が解決されていくということが分かった。

・大企業と中小企業の環境問題への取組の違いは、規模が大きいほど取り組み内容が大きい、規模が小さくても環境へは工夫しながら対応している。全企業の99%以上を占める中小企業の積極的な環境への取組が必要不可欠である。

・省エネは費用をかけなくても、時間をかけなくても行うことができる。中小企業の割合が多いので皆が取組むことでより省エネ効果が促進される。

・何から手を付けた良いかわからない中小企業には、PDCAがある。目標・やることが明確になる、行動に集中しやすくなる、課題や不足が分かりやすいという3つの特徴がある。

・ISO14001にはPDCA手法が取り入れられている。セルフマネジメントメソッドなので効果的に省エネに取組める。また、社員に対して省エネの意識付けができる、企業のイメージアップにつながる。

・2009.11の中小企業庁の調査で、何をしていいかわからない21.3%、費用削減につながらない20.6%、忙しく余裕がない20.8%とあった。中小企業が容易に取組めるものはないだろうか、そう考えたときにエコアクション21という取り組みを見つけた。

・宿泊業では、LED照明や高効率空調機の導入やポスターで節電の呼びかけ、運輸業では貨物自動車より鉄道が二酸化炭素排出量が少ない、電気自動車の導入など、オフイスでのテレワークは大幅にCO2が減らせるなど、身近なところに二酸化炭素を削減できる機会がある。

・コロナ渦による新しい生活用様式は、二酸化炭素削減に大きな役割を果たしていた。

・非製造業、飲食・宿泊業の二酸化炭素削減において中小企業の取組は大事!

・省エネ法(工場等に係る処置)の規制、年間エネルギー使用量の合計が1500ℓ(原油換算)以上は特定事業者となり、本社所在地を管轄する経済産業局への定期報告書・中長期計画書の提出が必要となる。

・SDGsについてまったく知らないと回答した企業が84%もあった。大企業と中小企業の地球温暖化対策の違いは、大企業は計画的に温暖化対策を行っているが、中小企業は環境対策に積極的でない場合が多かった。

高校生の気付きのまとめ

高校生の問題意識として、省エネ行動は、どこでも、それぞれが行っている。企業規模の大小ではなく、それぞれが社会的責任を果たすことで、地球温暖化を含めた社会問題が解決されていく。しかし、中小企業では積極的でないところもある。何をやればいいのか、費用がかかる、手間がないということに対して、PDCA構造を持つエコアクション21やISO14001に取組む必要があると提案している。

中小企業へのEMSの構築支援を進める

企業がSDGsに取組まないリスクが見えてきた。「環境課題、社会課題を配慮しない経済活動は、社会的責任を果たさない」、高校生から見向きもされない会社にならないよう自社を点検してみてください。

地球温暖化対策は再生エネルギーの活用と省エネ活動の両輪である。特に、経営資源の乏しい中小企業、小規模企業には、PDCA構造を持つEMS構築を支援をすることが、継続的な二酸化炭素削減活動がポイントと想いを新たにした。








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