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だから俺は市川雛菜がアイドルになってくれて凄く嬉しかったんだという話

 ついにノクチルも小糸ちゃんと雛菜のpSSRが追加され、7月には待望のノクチルのストーリーイベントが実装されますよ!という所でこの記事を書いています。いやーめでたい。お母さん、赤飯を炊いておいてくださいよ。本当にめでたい。

【HAPPY-!NG】で市川雛菜の解像度がグンとあがった件について

 今までプロデュースカードがR一枚しか無かったせいで、ノクチルのアイドルに関しては「待て、まだこいつらは変身を3つ、4つは残していそうだ…」と慎重になるシャニマス解釈派閥のおじさん達も少なく無かったかと思いますが、市川雛菜という少女についてはとりわけ解釈に難航するおじさん達が多い印象を持っておりました。

 独自の雛菜流幸福論を持ってふわりふわりと生きている彼女の姿はどこか掴みどころがなく、雛菜が言う「しあわせ~」に関しても、それがどこにあるのか、というのもRだけではちょっと見えてこなかったな…というのがあったんですが、この度追加されたpSSRカード【HAPPY-!NG】によって、今までとらえきれていなかった「市川雛菜」という女の子の人物像が、かなり穴埋め的に補完されたな、と思いましたのでこの記事を書くに至りました。

 当然、当該カード【HAPPY-!NG】市川雛菜のネタバレ込みでのお話になりますので、自分の手で雛菜をしあわせ~♡にしたいプロデューサー諸兄に関しましては、こんなオタクの妄言なんか読んでないで今すぐシャニマスを起動しましょう。

大人が作った社会を冷めた目で遠巻きにしている少女

 今までぼくの目に映る市川雛菜がどういう少女だったかというと、「自分の領域をかなり強固に持っており、それに共感を示さない他者は一切寄せつけない」「楽しい事だけやって生きていたい」「良くも悪くも現代的な価値観を持った女の子」という感じでした。

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ここ、雛菜に「諦められた」感が凄くて初見でほんとゾクっとした

 今でもその部分の認識は変わってないんですけど、Rだけだと雛菜がどうしてこのようなスタンスをとるにいたったか、という部分が見えてこなかったので「雛菜…お前をもっと知りたい…」とゲーム内のシャニPよろしくヘラっていたのですが、今回のpSSR でその「何故雛菜がこれほどまでに他者と自分の線引きが明確なのか」その理由の片鱗の様なものが見えてきた気がします。

 今回のアイドルイベントは、雛菜が学校から渡された「進路希望調査票」の提出をめぐって、彼女がこれからの自分について考える、というのが大まかな流れとなっているのですが、この中にぼくが喉から出るほど欲しがっていた「市川雛菜を作り上げたもの」の一部が見えるんです。それがこれ!

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 進路希望調査票をまだ提出していない雛菜。プロデューサーの「まだなんて書くか決まっていないのか?」という問いに対する回答がこちらです。

 これ、たった二行なんですけど解像度エグくないです?

 もうここだけで、雛菜が大人に対して「諦めている」のがヒシヒシと伝わってくる。雛菜にとって社会や、それを作ってきた大人たちというのは、既存の常識やルールを押し付けてくるだけの面倒な存在でしかないのかもしれない。

 雛菜が進路希望調査票に何と書きたいのかは分からないし、「楽しくて幸せな事をやりたい」という雛菜の価値観から、各々が勝手に妄想すればいいと思います。あえて適当な例を出すなら、「ユーチューバーになりたい」とか、イイ感じに教師連中のウケが悪そうですよね。あっこれは私の妄想ね!

 僕自身も雛菜のように自分がやりたいこと優先、苦しくならない程度、ほどほどに幸せに生きられればいいやという学生時代を過ごしてきたので、ここの「何書いても大人たちは怒るだろうな~」っていう所には死ぬほど共感できちゃうんですよね。

 大人たちというのは、自分の育ってきた時代の価値観を元にして、子供たちに道を示そうとする人がどうしても多くて、その良し悪しは別として、やっぱりそれってその大人たちの時代の話でしか無くて、「今」を生きている子供たちにとっては「言うて今の世の中はこうですし、こういう価値観もありますし」というのを肌で感じてその最前線で生きているわけで、自分の肌に合わない価値観をぶつけてくる大人たちって、どうしても「自分のやりたいことを邪魔する邪魔者」というように見えてしまうんですよね。

 実際、子供に対して「そんなんじゃダメだよ」と叱ってくる大人の中には、子供のことなんて大して考えもせずに自分が気持ちよくなりたいだけで説教をしてくるような人もやっぱり混じってくるじゃないですか。風俗説教おじさんとかね。雛菜はとても賢い子だから、きっと大人のそういう「自己満足の説教」を冷めた目で聴き流していってるうちに、心が硬化しちゃったんじゃないか、って僕は思うんですよね。「あ、またこのパターンか」「こりゃあ聴いてもしょうがねえな。適当に話し合わせてスルーしとこ」みたいな。それは多分友人関係でも同じで。

 

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あ!やっぱりこの子学校でも浮いてるんだ!

 これだけマイペースだと、女子集団の中でもかなり煙たがられそうですし、雛菜も自身の事を「許してくれない」ような相手とは自分から距離を置きそうだし、やっぱり小さい頃から一緒に育ってきて雛菜の事を理解してくれてる幼馴染達とだけつるんでそう、と言うのは強いです。

 このコミュはこの後の雛菜の言葉が凄く印象的でして。

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  このセリフ、ハチャメチャにドキッとしましたね。

 「有名になったら、こんなにゆっくりもしてられないよね」みたいなセリフの後にこう続くんですけど、やっぱりこの子はどこか冷めてるんですよ。

 世界なんてそんなもん。だからそんな肩肘張らず、最低限のコストでそこそこの幸せを享受しつつ、のらりくらりと生きていった方がよくない?っていう、ある種の事なかれ主義のような。もしかしてこれがさとり世代ってやつですか!?

 そういう風にどこかちょっと冷めた目で世界を観ている雛菜だからこそ、この後に続く「プロデューサーは変わらないでいてね?」という言葉がね、響くんですわ。

 雛菜の領域とそれ以外とをはっきり区別して、領域外の事は視野にすらいれないように生きてきたであろう彼女の中で、プロデューサーは確実に領域の内側に入っているんだ、というね。

 今回のHAPPY‐!‐NGは、モラトリアムの中で雛菜が自分のやりたいことを探していくお話なのですが、プロデューサーが雛菜の中でしっかりと「一緒に夢を探してくれる理解ある大人」になれたんだ、というのが確認できて凄く嬉しかったです。やっぱりシャニP最高だ。僕もシャニPにプロデュースされたい。コロナが落ち着いたら性転換してきますね。

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 コミュの終盤、雑誌のインタビューで「これからの雛菜について」を聞かれるシーン。

 学校での進路希望調査と被る問いかけに、雛菜は「雛菜のやりたいこと」を正直に答えるんですね。楽しく幸せに生きたいということ。それを実現できるのはアイドルなんじゃないか、っていうこと。それを聞いたインタビュアーは、「いいね!」ボタンを押すんですわ。「ファンの方も雛菜さんの幸せな姿を観たいでしょうし、そういう姿に元気を貰っている筈です!」ってね、プロデューサーじゃない、外部の人間である所のインタビュアーがそう言うんですわ。

 ここ、本当に最高で。

 アイドル活動を通して、アイドルの道が自分の道だと雛菜が思えた、というのが一点。

 もう一点は、この「楽しく幸せに生きたい」っていう雛菜の価値観、アイドル像がプロデューサー以外の人間、もっと言うと「雛菜が、自分の理解者だと思っている大人以外の大人」、「その他大勢だと思っていた大人」によって肯定されている所、ここがもう、ね。

 雛菜!良かったな雛菜!お前の夢は全然悪い事なんかじゃないんだよ!お前の気持ちは否定されるようなものなんかじゃないんだよ!お前の事を肯定してくれる大人だってちゃんといるんだよ!こういう世界もあるんだよ!ってさ!

 突然だけど「一見して不真面目で、マイペースに見える」、という点で雛菜とまみあじさんは共通してると思うんですけど、この二人って真逆のタイプなんですよね。まみあじさんが不真面目で天邪鬼な理由は、自分をもっとちゃんと見て欲しいことからくるいわば「救難サイン」なんですよ。ある意味常に誰かが踏み込んでくれるのを待っている、ともいえるようなスタンス。でも雛菜は全然違うんですよ。最初から諦めてる。どうせ大人なんて自分の事を理解してくれるわけがない、と心を閉ざしてしまっているんですよ。そんな雛菜が、自分を受け入れてくれる大人がプロデューサー以外にもいるんだ、というのを知れたんですよ。もうね、滅茶苦茶安心した。雛菜が、雛菜のやりたいことを、雛菜のやりたいようにやって、この広い世界に、広い空に向かって自由に雛菜の翼を伸ばして、羽ばたいていける。本当に良かった。

 「絶対、絶対、またこの雑誌に出たいです!」の言い方にも、雛菜の本当に嬉しそうな感情が乗っていて、これはマジで必聴。時折鳴き声みたいに口にする「雛菜しあわせ~」とは明らかに感情の乗り方が違う「絶対、絶対」に、雛菜の「幸せ」を見つけちゃった。

 怒られても、ダメだって言われてもやりたいことはやりたい。

 自分が異端児として扱われてしまう世界の中で、門扉を閉ざしたまま、ほどほどのしあわせ~をほどほどに拾いながら、のらりくらりと生きる。アイドルにならなかった雛菜は、もしかしたら、真に自分を理解してくれる世界もある事を知らないまま一生を終えていたのかもしれない。そんなことを考えてしまうと、やっぱり、だから俺は、市川雛菜がアイドルになってくれて凄く嬉しかったんだなぁと思うわけです。

 

 とか何とか言って、この記事を書き始めたのは3日ほど前なんだけど気付けばもう数時間後にノクチル初のストーリーイベントが迫っているんだなこれが。時が流れるのは早い。今日はこの辺でおやすみなさい。歯磨いて寝ろよ!

 




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