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アドベントエッセイ(22/365) 華彩さん


早いものでクリスマスまであと343日を切った。


どこよりも早いアドベント企画、22日目はアオジタトカゲの華彩さんのお話。


前回、「#我が家のペット自慢」というお題に向けて、ヒョウモントカゲモドキのニコ助氏について書いた。



続いて、ニコ助氏の約1年後に家にやってきた、華彩さんを紹介する。



アオジタトカゲは、インドネシア、オーストラリア、パプアニューギニアなどに生息している雑食性のトカゲで、ずんぐりと太く、長い胴が特徴だ。



シルエットはツチノコそのもので、一説では、ツチノコは日本に輸入され野生化したアオジタトカゲを見間違えたのではないか、と言われている。



ヒョウモントカゲモドキはおとなになっても手のひらサイズなのに対し、アオジタトカゲは成体で40cmほどの大きさになる。



ニコ助を飼い始めてから1年後、Twitterで亀・イグアナ・アオジタトカゲが同じ皿を囲んでご飯を食べる動画を見た。



アオジタトカゲの存在を知らなかった私は、「何このでっかいカナヘビみたいな子!めちゃかわいい!」と思った。



そこから色々調べる内に、アオジタトカゲは体こそヒョウモントカゲモドキより大きいものの、性質はおっとりとしていてとても飼いやすいということを知った。



とても飼いたくなったが、成体の販売がほとんどで、価格帯はお高め。入荷されるとすぐに売れてしまうことが多く、エンカウントする機会も限られている。だから「ゆくゆくは」くらいに考えていた。



ゆくゆくは想定よりずっと早く、突然やってきた。


ニコ助のMLコオロギを買いに爬虫類専門店に行ったら、生まれたてのアオジタトカゲがいたのである。



なんでも、お店で生まれた子だそうで、いっしょに生まれた兄弟たちはすでに皆旅立ち、その子が最後の1匹だった。



ほぼ1から育てる難易度の高さもあってか、価格もお手頃。しかし、その時金欠だったので、その場で1時間ほど悩んだ。



お店を出たとき、私の家族は102匹に増えていた。



ニコ助と、MLコオロギ50匹、アオジタトカゲ、そして、冷凍コオロギ50匹である。



手のひらの上で、なめらかでひんやりとした鱗をたたえ、やたら悪い目つきでこちらをにらみつける赤ちゃんトカゲ。


名は「華彩」になった。 金欠の時に来たから、原産国のインドネシア語で「お金持ち」を意味する「Kaya(カーヤ)」から取ったのだ。




アオジタトカゲは、危険が迫ると鼻から「フシュー」と警戒音を出す。そして、その名の通り、”青色の舌”を出して威嚇する。しかしこの威嚇は、敵に対してびっくりするほど効果がないらしい。かわいい。



最初家に来たとき、華彩さんは事あるごとに警戒音を出していたが、3か月くらいで慣れた。



ニコ助との主な違いはというと、まず華彩さんはとてもおっとりしている。



ニコ助はお腹の上に載せてもすぐテケテケと好きな場所に移動していくが、華彩さんは腹の上に乗せて服で包むと、すぐに寝る。たまに服の中で寝ている華彩さんをそのままにして部屋を出ることがあるが、半日後にうちに帰ってもまだ同じ場所で寝ていることなんてZARAだ。どんだけ寝れば気が済むのだ。かわいい。



そして華彩さんは、大変食い意地が張っている。



生きたコオロギを食べるニコ助に対し、華彩さんは冷凍コオロギを食べるのだが、ピンセットであげようとすると、ピンセットごと噛み付いて離れない。


ピンセットであげるのを諦め、最近は紙皿にコオロギを置く。置けば置くだけ、わんこそばのように食べるので、カロリーコントロールに気をつけねばならない。


食べ終わったあとも、しばらく紙皿の上に陣取って、空の皿を舐めたり、次が出てこないか待っている。かわいい。



雑食性なので、もちろん野菜も食べるが、家に置いていたメロンパンにかじりついたときには腰を抜かした。



犬や猫ならまだしも、爬虫類が人間の食べ物に興味を示すなんて全く思わなかった。どう考えてもその甘くてふっくらした物体、インドネシアに生えてないだろ。



以後、華彩さんを放つとき食べ物系を徹底的に遮蔽するようになったのは言うまでもない。 



部屋でテレビゲームをしている最中に、足の親指にかじりつかれたこともある。なぜイケると思ったのか甚だ不明だが、私もまた、華彩さんにとって捕食対象なのだ。



家に来たときニコ助と同じほどの大きさだった華彩さんは、たまに便秘に苛まれながらも健やかに育ち、約2年で腕の半分くらいの長さになった。



ニコ助と同じく、感情は全く読めないし、なんなら性別すらわからない(アオジタトカゲの性別は、専門家でも見分けるのが至難らしい)が、とてもとても可愛い。




気を抜いたらリモコンのボタンを食おうとしている華彩さんを引き剥がす日々が、いつまでも続けば良いと思う。

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