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1-2 バンドで活躍する”キーボード”の4タイプ

こんにちは。ひらくです。趣味やサークルなどで軽音楽を始めた(始めたい)人に一度は見てもらいたい!キーボードのキホンのキです。前回ではキーボードという言葉のルーツから楽器を探り、その中で多くの軽音楽の世界で使われるキーボードは電子キーボードだという話をしました。今回はその電子キーボードについて、具体的にもう少し掘り下げていきたいと思います。実際にこれからキーボードを買おうと考えている人にむけて、購入ガイド的な形でも紹介できればと思います!

電子キーボードの種類4タイプ

電子キーボードは言ってしまえば、シンセサイザーの改良やあんな音やこんな機能があったらいいな...を繰り返してできた、最強の楽器です。再現性はピンキリですが、本物と聞き分けがつかない、あるいは本物を超えるといわれるほど高音質のものや、それ一台で作曲ができてしまうほどたくさんの機能を持ったものもあります。それぞれの用途に合わせていろいろなタイプが存在しますが、それらを大まかに4種類に分けてみました。あなたはどんなキーボードが欲しいですか?

キーボード種類


ワークステーション 高機能だけど中身が複雑

まず、キーボードの頂点、車でいえばロールスロイス、料理でいえばフルコースのような存在(?)なのがワークステーションシンセと呼ばれるタイプです。ありとあらゆる楽器を極上の音質で再現し、複雑な変化や音の重なりなどを織り込んだ最高の一音を奏でることができます

ただ、その最高の一音を出すまでが長いんですよね。高機能の裏にはそれを制御する複雑なシステムが存在します。階層が深いので、買った最初はパラメーターガイド(キーボードに付属する”解体新書”的なもの)とにらめっこになることもよくあります。でも、そのにらめっこを一度してしまえば、あとはどんな電子キーボードも楽々理解できるようになります。そういう意味では、最初の一本として十分オススメできるものです。特に、キーボードをしっかり始めたいんだけど、そう何個も買ってらんないなぁ...って方にオススメです。

ステージピアノ 鍵盤は◎持ち運びは?

バンドでキーボードを始める人の中には、子供のころピアノを習ってました!っていう人が多いのではないでしょうか?僕の周りにも多くいます。そんなピアノ上がりの人が一回は口にするのが、「キーボードって、鍵盤がちゃっちくてなぁ」という鍵盤の質への不満。さらに極めた人なら、「バンドでもほとんどピアノを演奏するから、余計な機能はいいからとにかくピアノの音をきれいに出したいんだよね」いう人も一定数います。

そんなあなたにお勧めなのがステージピアノタイプのキーボード。ピアノのハンマーの重さを再現した88鍵、弦や筐体の振動を丁寧に再現したグランドピアノの音などが入っている、まさにピアニスト向けの逸品です。

立て続けにYAMAHA推ししてると、何かそういう方のように見られてしまうかもしれませんね。YAMAHAのシンセ、嫌いじゃないですよ。見た目以外は。笑

ただ、ステージピアノはハンマーを再現する機構がある分重いですし、88鍵なので筐体も大きくなっちゃいます。出先でライブをすることがバンドの常である以上、持ち運びのしにくさという部分がネックになってしまうかもしれません。そういう点から、実はスタジオやライブハウスでステージピアノを常備しているところも多くあるので、始めたての人がわざわざ自分で買うこともないのかなっていうのが僕の感想です。また、音の応用性があまり高くないので、曲のコピーを行うときに原曲と似たような音色が出せず完成度が上がらないという悩みも起きるかもしれません。もちろん、高いものはそれだけ高機能なんですけどね。ということで、ステージピアノは「ピアノっぽさを優先したいし、借りるんじゃなく自分ので演奏したい」という方にオススメです。

派手にキめるシンセサイザー でもそれしかできない

ちょっと言葉のあやみたいな部分はあるのですが、シンセサイザーの最終形態としてできた電子キーボードのひとつとして、やはり本来のシンセサイザーの形は素晴らしいということです。一時期は全くツマミのないキーボードもはやりましたが、いつまでもその形を変えず、原点回帰したものがシンセサイザータイプのキーボードです。

はい、かっこいいですね。

いわゆる電子音を出す楽器です。一見、いかついツマミが大量にあって難しい先入観がついてしまうのですが、実は全くそんなことはありません。ほかのキーボードたちはこのツマミが画面の中にあるだけです。画面の中に隠されてない分、扱いはむしろ簡単とも言えます。僕はこうツマミが出てたほうが、なんというか”楽器感”があって好きですよ。ボタンだけだとなんだか”機械”っぽくて。

しかしこのタイプは基本的には電子音しか出せません。もしも曲にピアノや生楽器の音が使われていたらすぐお役御免です。

そうならないようKORGのKingKORGやRolandのJupiter X、Dave Smith Instrumentsのprophet Xなどはシンセサイザーの顔でありつつもピアノなどの生楽器の音を出せるようにはしてあるみたいなのでメインキーボードとしても使えないこともないですが、それ以外はほとんど、「2台目」って感じですね。

最初の一台としてはあまり向いていないような気がしますが、電子音バリバリにやっていきたい方や、そういうジャンルを専門にしていきたい方にはオススメできます。将来シンセサイザーで、クリエイティブなパフォーマンス寄りの演奏をしてみたいなあなんて考えている方はいいかもしれません。でもまあ、やっぱ「2台目」かなあ。笑

ライブキーボード 軽くて丈夫

バンドと言えばとにかく移動を頻繁に行いますし、持ち運びのしやすさという点で軽量・丈夫さを楽器に求めるのは当然のことですよね。そういった、まさにライブという音楽活動全体でパフォーマンスをしていくことに特化したキーボードが、ライブキーボードタイプです。とにかく軽く丈夫で、ライブで使いそうな「これだ!」っていう音が出せるようにしてあります。また、ライブ中の確実な操作を行えるよう、大きいツマミや分かりやすい配置がなされているのが特徴です。

やはり一長一短はあります。見た目がシンプルで分かりやすいということは、それだけクリエイティブなことはできないということでもあります。純粋な機能面としてはコスパは良くないでしょう。ステージピアノタイプと同様、音色を自由に編集できないことも多々あり、曲中の音色を再現しきれず妥協点を探る…こともまあまあ起こります。

でも全体としては、やはりライブで使い勝手がよいことはかなり重要ですし、やはり見た目にもこだわりたいじゃないですか👍ライブキーボードは見映えのいいデザインに仕上がっていますし、さまざまなカラーを選べて愛着もわきます。そもそも最初の最初は音を編集したりなんてあまりしないわけですし、最初の一本としては悪くない選択肢です。

これらをまとめると、キーボードを軽い気持ちで始めてみるよって方は、ライブキーボードで十分です。でも、ちょっと本気でやってみたいな、という方は、数ヵ月で飽きが来るかもしれませんね。どちらも音楽を始めるきっかけとしては素晴らしいものです。つまり、あなたがどちらよりなのかで、本当にライブキーボードをオススメすべきなのかは変わってくると思います。

個人的オススメキーボード3機種

最後に、僕が今まで見てきて、これは安くていいなぁ!っいうキーボードをご紹介します。名前はリンクになっていますので、そこから購入画面に進めますよ😃

まず、ステージピアノを考えているけど大きさ・重さで悩んでいる方。そんなあなたには、studiologicのNumaCompact2がオススメです。

この機種はピアノとおなじ88鍵で、ピアノのようなタッチをできるだけ保ちながら、なるべく筐体を小さくし持ち運びを可能にしたステキなステージピアノです。これなら自分の保存した音で演奏できますし、狭いステージでも88鍵を導入することができます。2台目、3台目としてもオススメです。また、背面にステレオでスピーカーがついているので、ただ運指の練習をしたいだけ、というときに余計な配線を必要とせずすぐに取りかかることができます。

次に、シンセサイザータイプを考えているけど、ピアノなど生の楽器がネックになっている方。そんなあなたにはKORGのKingkorgがオススメです。

各世代の名曲で使われてきた有名なシンセのサウンドを再現した音色が入っていたり、有名なシンセの機構そのものをシミュレートして、それを選べることもできたりと、シンセの音作り面ではかなり素晴らしい作りになっています。かと思えば、ピアノ、エレピ、ストリングスなどの生楽器も手厚く入っている他、音を力強くする真空管や、シンセで歌うボコーダー機能など、かなり実用的で"King"の名にふさわしいキーボードです。

最後に「安い、使いやすい、けど高機能で軽いそして見た目もいい」みたいな欲張りキーボードをお探しの方。そんなあなたにはKORGのKROSS2がオススメです。

KROSS 2はワークステーションタイプではありますが、本体を軽くコンパクトに抑えるとともに、必要最低限のツマミを大きく、さわりやすく配置しているのでとてもライブ性がります。色も様々なバリエーションがあり、客席側からも見栄えするデザインにもなっています。多機能にもかかわらず音もよいので後から飽きもきません。お値段も2020年6月現在でケース付き5万円台とかなりお得です!まさにいいとこどりの一台です。

さいごに 本当にコスパを追求したい方は

これは賛否両論かもしれませんが、電子キーボードは機械なのでほとんど個体差がありません。家電とほぼ同じです。ですので、ほかの楽器とは違い、必ずしも楽器店で、購入予定の個体と対面して買う必要性はないのです。もちろん実際どんなもんか見に行くことはとても良いこととは思いますが、楽器店はどうしても店舗があるだけ高くなってしまうことがありますので、出費を抑えたい方は安く手に入りやすいオンラインでの購入をお勧めします。

もう一つ、もしあなたがパソコンをお持ちなら、ハードウェアにこだわる必要はありません。むしろ音楽制作界隈ではソフトウェアが主流で、ハードウェア、いわゆる実機はいまや「高級品」でさえあります。コストパフォーマンスに限界までこだわりたい方は、MIDIキーボード+ソフトウェア音源の購入を検討してみてください。最初の入りとしては覚える知識が膨大になってしまいますが、実機ではありえない機能性や音色のクオリティの高さを、実機より少し安く入手することができます。この辺りも、追々ご紹介できればと思います。

では今回はこれで失礼します!長々とありがとうございました~


今日の一曲・・・はじめてのチュウ(実川俊晴 )

KORGのM1(1988年製)という歴史に残る名機があります。M1はPCM音源(録音した音)とシーケンサー機能(多重録音のような機構)を搭載した初めてのワークステーションシンセです。キテレツ大百科のこの曲は、すべてそのM1で作られたのではないかといわれています。40年前の技術とは思えないほど素晴らしい出来ですね。その音は廃れることなく、今も様々な音楽シーンで使われており、ソフトウェア化したM1は今でも人気です。僕も曲のコピーや自分の曲に取り入れています。



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