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映画『エル プラネタ』推薦文/林央子(「つくる理由」著者)

1月14日(金)公開、映画『エル プラネタ』に寄せて「つくる理由」著者・林央子さんより推薦文をいただきました!

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『エル プラネタ』推薦文 / 林央子(「つくる理由」著者)

現実は待ったがない。親子の食事シーンに出てくるのは、お菓子と果物だけ。じんわりと、砂を噛むような後味ののこる映画でもあるけれど、気がつくと自分の生活のなかに、『エル プラネタ』の世界について考えこんでいる時間がいつのまにか、侵食し増えてきている。
わたしたちを隅々まで取り囲む消費文化、消費社会の言語にどう対峙して、若い女性が主体性をもって生きていくのか。そう考えたときに、彼女のアートは、そこへの真摯な挑戦であるといえる。
 <物にお金を払うこと>によってそれを手に入れる=自らが消費の主体になることが、たとえできないとしても、ファッションのイメージと戯れ思い切り遊ぶ行動は、まだ私たちの手にできる自由なのである。
ストリートを占拠するグラフィティ・アートがメッセージを発するように、非政治的とみなされがちなショッピングのイメージを楽しむ行為も、じつは政治的メッセージを内包していると考えさせられる。

林 央子/著書に『つくる理由』、『拡張するファッション』ほか  Central Saint MartinsでExhibition Studiesを研究中 Twitter @nakakobooks

本作『エル プラネタ』のパンフレットには、林央子さんのコラムも掲載予定。また、自身の活動としてアマリア・ウルマンを題材にハンカチ文集を制作販売予定。詳細は追ってお知らせの予定です。


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