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梅仕事に精を出す

梅仕事。
なんておばあちゃんっぽい、すてきな響きなんだろう。

梅雨の時期は梅が成る。
田植えを終えて一段落し、雨で畑仕事ができない日に、人々は梅仕事に精を出したのだろう。(梅雨って、梅の雨って書くことを深く考えたこともなかった)

そんな梅仕事の世界に夫を誘ったのは、二年前。

夫はリモートワーカーである。
運動嫌いなこともあり、つい仕事をしすぎてしまう日々。
しかも、ITエンジニアなので頭ばかりが疲れる、と。

{ちひろ
え、そしたら仕事の合間にトイレ掃除と布団干すのとガスコンロ拭くのと掃除機と回覧板を隣の家に持っていくのしてくれたらいいやん。

{夫
いや、そういうんじゃないんよ。

{ちひろ
ほな、梅干しでも作り。

というような経緯で、梅干しデビュー。ちなみに、私は梅干しが苦手だったのと、梅をひと粒ずつ洗うという丁寧な仕事が向いていないので、手を出さず。


今年の梅情報

今年は昨年同様、10kgの梅を20%くらいの塩分濃度で漬ける予定で、梅を予約。

夫の同僚がかつて働いていた梅農家(すごい経歴やな)を教えてもらって、10kgでなんと18,000円もする梅を購入していた。

そのへんで買ったらキロ980円くらいやんか…と思いつつ、口は出さない。

今年は2月に異常に温度が上がり、3月にまた寒くなった影響で、受粉を担う蜂さんたちがあまり飛べず、梅が凶作らしいです。

農家さんって、ほんま大変や。

梅仕事は夫の聖域

6月11日のこと。
朝に梅が届き、その日の午後いっぱい仕事を休んで梅仕事に励んだ夫。

ひと粒ずつ水で洗い、清潔なふきんで拭き、並べること400粒弱。

そしてホワイトリカーで梅をひと粒ずつ洗い、塩を挟みつつ漬けだるに入れていくこと400回弱。

最後に重しをのせて、梅酢があがってくる(梅から水分が出てくる)までじっくり待つ。

7月になったら、天日干しをしたり、赤じそを買ってきて漬ける作業も待っております。

マメやな。
豆嫌いなくせに、マメ男や。

梅干しの塩分は大丈夫説

梅干しって、好きですか?
私はしょっぱすぎて苦手でした。

塩分濃度の低い防腐剤入りの梅や、はちみつ梅もあるけど、わざわざ買うほどでもなくて。

梅干しが好きという人も、この塩分濃度が気になるという人は少なくありません。

一方で「梅干しの塩分は大丈夫」という謎の都市伝説が存在するらしく、その真偽はGoogle検索ではよくわからなかったんですが、代わりに私見を紹介します。

梅干しに含まれる塩分って、梅の大きさや漬け込む塩の量にもよりますが、だいたい1.5〜2.5gくらいらしいんです。
白米はほぼ塩分ゼロ。

ちなみに、うどん一玉の塩分は麺の部分だけで3.8g、食パン6枚切り1枚で1gです。

つゆのない茹でただけのうどんや、パンってほぼ塩分を感じません。
でも、梅干し1粒あると、正直白米を茶碗一杯食べ切れるか微妙なくらい塩分を感じます。

梅干しは、食べすぎることが難しい。だから、梅干しの塩分は大丈夫説ができたんじゃないでしょうか。

梅干しと腸内細菌

梅干しは、健康にいいと言われる昔ながらの食品ではありますが、発酵食品ではありません。

塩分をたくさん入れるので、多くの微生物は増殖できないんです。

けれど、梅(または梅干し)と細菌をめぐる話はいくつか検索で出てきました。

福井県が特許を持つ梅干しの製造方法では、塩を抜いた梅干しに乳酸菌を加えています。

3ヶ月位でほぼ乳酸菌の生存数がゼロになっているので、保存食品としてはいかがなものかと思いましたが、昨今の細菌ブームの話題づくりにはなっているのかもしれません。

もうひとつは、「梅摂取習慣が腸内細菌叢と免疫能・消化器疾患に及ぼす影響の検討」という研究で、和歌山県立医科大学の研究チームが中心となって臨床研究を行ったそうです。
(論文:Japanese apricot improves symptoms of gastrointestinal dysmotility associated with gastroesophageal reflux disease - PMC

さすが南高梅の名産地。

最近、もうなんでも腸内細菌が関係しているんやったら、わざわざ研究するより整える方向にエネルギー使ったらどうやと思うことがなくもないんですが、研究職がそんなん言ってたらあきませんよね。
血液型には関係してないかもしれへんし。(→関係してるみたい。Blood type and the microbiome- untangling a complex relationship with lessons from pathogens - PMC

梅干しや梅の加工品が体に合うか合わないかは人によると思いますが、私は夫が漬けた梅だとなぜか食べられます。

義母や私の母も、お腹の調子が悪いときにおかゆと夫製の梅干しを食べるといっぺんに治るそうです。(私はお腹の調子が悪くならないので試せない)

梅って、すごいんやなぁ。そのまま食べたら微妙やけど、塩漬けにしようと思った昔の人もえらい。

私も、科学がまだ幅を効かせていなかった時代に、そういう「昔ながらの知恵」を思いついてみたい。
そこに至るまでに食中毒で死ぬとかいろいろあったんやろうとは思うけど。


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