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2020新春①:2010年に落ちてきていた隕石に僕らは何故気づかなかったんだろうか

誰かが元旦の新聞の特集記事に恒例の未来予測がなかったことを指摘していたが、「奇妙なほど高揚感なく」オリンピックイヤー2020年を迎えた。

オリンピックが決定した2013年9月、アベノミクスで2020年には日本も復活し明るい未来があるような希望が少しはあったはずだ。これが日本再浮揚の最後のチャンスだとか。

「オリンピックを一人で(もしくは親と)TVで見ていたくない」とのエピソードから始まったアラサー・アラフォーの東京タラレバ娘たちは実際に2020年を迎えた今、誰かと明るい未来をみてるのだろうか。

2020年が始まって数週間。 とにかく、トランプとGAFAと習近平が話題だ。

Appleに司法長官がロック解除を要請するもApple拒否、そこにトランプ大統領参戦する。                https://japanese.engadget.com/jp-2020-01-15-fbi-iphone.html
Googleが閲覧データ提供を禁止を宣言する。https://toyokeizai.net/articles/-/325063
CEOピチャイがAIには当然規制が必要と主張する。https://jp.reuters.com/article/google-eu-idJPKBN1ZK06V
習近平がブロックチェーン技術を使ったデジタル人民元実現に向けて1月1日暗号法を施行した。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53993800Q9A231C1FF8000/

云々。うんぬん。

振り返ると2010年、GAFA周辺で重要な動きが起きつつあった。

当時はGAFAという言葉はなかったが、2010年には例えば

Googleは1月にGoogle Xというプロジェクトとして、自動運転の実験を開始、3月中国撤退を決定                    

・Amazon:は当時売上18億ドルのAWSを分社し(現在、売上360億ドル)

・Facebookは発展途上国にもユーザが広がり4億人を突破、ジャスミン革命等アラブの春の主要な推進要因となり、


・そしてAppleは前年9月の3GSに続き、1月、iPad発表した。  

後の「米中のテクノロジーデカップリング」に繋がる動きを2010年にGoogleが既に判断し、Facebookもこの年に「単なる若者のSocial Graphではなく現実の政治に影響を与える可能性」を示しており、AmazonもECを超えてグローバルプラットフォームになる動きをここで始めている。

これ以外にも、2010年には

5月:Uberがβ版でサービスを開始
9月:Netflixがカナダにストリーミング配信のみで海外展開し成功
10月:Instagramが登場し年末までに100万ユーザ獲得

等、今世界で1億人以上が使っているサービスが静かに開始している
(ちなみに、Uber 1億人、Netflix 1.5億人、Instagram 10億人)

今や、GAFA+大手ITは国家と同等の規模になっている。GAFAとBATHに隠れ日本はLINEと一緒に下の方にいるだけだ。今後さらに少子化に拍車がかかり益々存在感は下がっていく。

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グローバルに数億人単位のユーザの規模を持つようになったGAFAは大人になった。

Googleが上記の記事のように取得データ活用やAIについて抑制的になり、

Amazonが税金ちゃんと払いますといい、

Appleが3億人のアメリカ人の安全保障よりも10億人の世界のユーザを悪意を持った人物から守るためにバックドア接続を拒み、

Facebookが次期大統領選に向けて「米国の民主主義に対する脅威を検出するために米政府と定期的に会合を開いたり、選挙関連のフェイクニュースの検出を専門とする「war room」(選挙対策作戦室)を中心とした取り組みに資金を投入」し「3万5000人を超える人員がセキュリティと安全性の確保に取り組」むようになっている。

4つのDisruptive Technology(AI, BlockChain, Bio, IoT/Robot)も2010年前後に一気に深化している。

例えば、AIは言葉としては昔から存在したが2010年にビジネスの世界で聞くことはなかった。それが2012年、グーグルが猫の画像認識の精度をDeepLearningを使った実験で10%、一気に精度を高めると実用化に目処がつきAIブームが来た。

ロボットについては2010年に単なる趣味用ラジコンメーカーだったDGIが初めて空撮用の本格的なドローンを発表し、ロボットのオペレーティングシステムROS(Robot Operating System)の1.0が2010年1月に発表されている。

Blockchainのサトシナカモトが論文を発表したのが2008年10月、ピザに2枚と初めて実社会で交換されたのが2009年5月。

Bioについても、ゲノムの解析コストが一気に1/1000に下がったのが2008-2011の3年間。

The Cost of Sequencing a Human Genome
https://www.genome.gov/about-genomics/fact-sheets/Sequencing-Human-Genome-cost

OECDがBioEconomyとして 2030年に向けた新しい産業を提唱するレポートを出したのが2009年。

The Bioeconomy to 2030 DESIGNING A POLICY AGENDA                  https://www.oecd.org/futures/long-termtechnologicalsocietalchallenges/42837897.pdf

アメリカの研究機関が様々な細胞の人口合成に成功したのが2008-2013年。

人工生命の創造近づく?細菌ゲノムの合成に成功、米研究チーム
https://www.afpbb.com/articles/-/2341290
Amyris社、抗マラリア薬前駆体の組み換え酵母による生産法を開発、Sanofi社が大規模生産へ
https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20130425/167643/

やはり2010年辺りに、隕石が落ちているのだ。

隕石は、高度な計算能力(Hyper Computation)の大衆化(Democratization)だ。

東大の物理学者の複雑系の研究者池上高志先生に教えてもらったこと。

ルービックキューブは人間が記憶できる最小手では40手以上を必要とするが理論的に最小手数で済むアルゴリズム=ゴッドアルゴリズムは22と数学者の間では言われていた。それがGoogleの何千台のコンピュータの空き時間を使って計算してみると実は20であることが数週間で判明してしまったとか。

ルービックキューブは20手以内で必ず解ける、数学者チームが特定
https://www.afpbb.com/articles/-/2748734

このあたりからすでに、シンギュラリティ、人間知性と機械知性の乖離が起き始めていた。

匿名参加者によるBitCoinのマイニングが可能になったのも、世界中の分散サーバーの計算能力(と電気代)を理論的には無尽蔵に利用できるからだし、

合成生物学(Synthetic Bio)の分野が飛躍的に伸びたのも、自然界に存在しない遺伝子や代謝の経路を様々にシミュレーションできるからだし、

ロボットもプログラミングだけの動きから、環境から学ぶ学習機能を持つことで一気に人間に近い表現や動きができるようになった。

要は、これまではごく一部のエリートしか使えなかった高価な機械知性をいろんな領域の人間知性が思いつきでジャブジャブと使えるようになり様々な分野で革命が起きつつあったのが2010年あたりだった。

この辺りの潮目の変化を、日本は完全に見過ごしていた。


次回は「この潮目の2010年代、日本は何をしていたか」


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全ては構造と文脈を正しく把握することでシンプルに理解できる。その思考実験として世の中にある情報に基づく個人的な分析からの近未来予測や時事に関する解説などを書いてます。マッキンゼー、ソフトバンク社長室長、等。起業家支援、エンジェル投資、時々、官僚。
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