暖冬の雪

そこら辺でなんも考えてなさそうな人の頭の中にも文字が浮かんでいるのだろうか。暖冬のせい、冬でも加齢臭のきついおっさんがいたとして、その人はその隣の人の加齢臭を気にしていた。だから臭いのだしだから死んだ目をしていて、腐りきった魚の匂い。上に吹き出しが浮かぶ世の中ならどうだったろうか。私があいつのこと、くさいって思ったのも、私があの子のこと、ブスだって思ったのも、私が先生のこと、きらいって思ったのも、全部可視化したら、それってどんなに楽だろうよ。罹患って「りかん」って読むのが正解らしいけど、ほとんどの人が「らかん」って読んでたとこあるし、あだ名ってことでOKにしちゃって、それで良くない?そしたら私のこと、みんな適当に呼んでくれて、それで私の存在自体あやふやになれば良かった。あやふやになればいいのに、彼は私のことちゃんと名前で呼んじゃうし、雪は私の頭で溶けちゃうし、猫は私の脚をふみふみしちゃってた。私のことあやふやにしてくれるのはネットだけで、匿名性って自己満に浸っている。自己満だ、人の心を読みたいだなんて自己満が、自己満足に暖冬の冬に溶けだしていく


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