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戯の森 3

夕暮れ刻の森のおく
ささやき微笑む少女たち
草花と動物達がおどるワルツ
誰も知らない あじゃらの森で

僕は集める 蝶を集める 図鑑にまだない 秘密の蝶を


「そのためには」青年の声にはまだ張りがある、疲れを知らず恐れも知らない。
「誰も知らない蝶を探すには、誰もいかない場所へいかねばならないのだ」。
行ってはならぬ森ときけば、そこはぜひともはいらねばならぬ森。
やめろと言われれば、ますます僕はそこに用があるというものだ

蝶を見逃さぬよう、注意深くすすむ青年。
花の咲く繁みをみればそこへしゃがみ込み、
蜜の香りを探してはそこへ駆け寄る。
注意に注意を重ねるこの青年、さては自分の行く道が一本道だと気付いていない。

籠の中はまだ空っぽ。
ここにいれるのは、この籠にはいれるのは、まだ見ぬ秘密の蝶だけさ。

その様子、呆れて眺める3人の魔女。
1人は沼から、 1人は洞から、 そしてもう一人は鏡から。
ずっとみている。呆れてみている。

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