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省察研究その10「考えが出発点」

【出来事】

歴史の授業で新しい単元に入った。

「鎌倉幕府はどうして終わったのだろう?」という単元全体の問いを立てた。

Hさんは前時までの2回の授業を風邪で欠席していたこともあってか、すぐに隣のYさんに考えを聞いていた。

Yさんは今回の単元を予習していたため、「元軍が攻めてくるんだよ」と伝えた。

しかし、Hさんにとって、元軍とはいったい何のことなのか、さっぱりわからなかったよう。

ノートに元軍が攻めてきたから、と書いたが何度もYさんに「え?外国人?中国?」と聞く。

しかし、Yさんは周りの友だちから「言っちゃダメじゃん!」と言われたこともあってか、それ以上の情報を与えない。


 その後全体共有の時間になったが、いつもなら我先に手を挙げるHさんの手が挙がらなかった。

その後もOさんやYさんが発言するが、なかなかいつものように全体の会話に入ってこれない。

【担任の省察】


 Hさんがこれまでいつも手を挙げて発言できた理由が少しわかった気がした。


Hさんは常に、自分の考えを持っていたんだ。


それが感情的なものであれ、論理的なものであれ、自分発信の考えがあった。

でも、今回は休んでいたということがきっとHさんの自信のようなものを揺さぶったのかな。その結果、自分の考えを持つ前に、友だちの考えを聞いた。


結果、自信が持てず発言はしない。

 発言しないだけにとどまらず、友だちの発言に対して、文句(意見)も言えない。自分の考えが無くても、意見は言えそうなものだが、どうやらHさんの様子を見ていると、自分の考えを持っていることが、他人の考えを自分ごととして考える大事な要因になるのかもしれない。


 対等な立場で、Hさんとその他の友だちが授業内で対話をすることを目指している。

まずは、1人ひとりが自分の考えを(説得力や根拠はどうあれ)持つことが出発点になりそうだ。結局は、教材研究か。

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