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【MEMBER'S VOICE #6 鈴木剛史】スポーツ産業を再構築し、既存ではない小さな物語を創造していきたい

 私たちSports X Initiative(SXI)の一番の特徴ともいえるのは、メンバーの多様性です。実績に限らず、事業開発、ブランディング・マーケティング、各種制度設計、データアナリティクスなど、多様な専門性を有したSports Xのアルムナイメンバーを、リレー形式でご紹介いたします

鈴木剛史(Suzuki Koshi)
◎経歴
逗子開成高等学校 → 横浜国立大学/大学院 → 凸版印刷
◎私にとってSports X Leaders programとは…
「スポーツを基軸にした対話と協働により、違いを認識しつつ共存・共生していくシステムの社会実験」

 初めまして。鈴木剛史と申します。現在、会社では「身体動作に関わる新規事業開発」、 コミュニティでは「共助・相互扶助ネットワーク形成及び意識変容に伴う人生創造」、個人では「身体と心の繋がりに関するソマティックの探求」をしています。

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 こんな自分のこれまでの歩み、スポーツ界で感じている課題、SXIで実現したいことについて紹介致します。

全身全霊で今を生きることが未来の創造に繋がる

 学生時代は、小・中・高・大と体育会サッカー部として切磋琢磨する青春時代を過ごし、自分の限界や可能性、チームとしての分裂や一体感を経験しました。

 例えば、プロに進む選手との圧倒的な身体能力の差を肌で感じたり、Jリーグと連携した大学の戦略・戦術に対してなす術なく喪失感を感じたり、先輩・後輩の人間関係からチーム内で孤立して苦しむこともありました。エゴ的な自分を全開にしてプレーしていた幼い時、自分の正しさを押し付けてチームを分裂させてしまい、サッカーを初めて辞めようと思った時期もありました。

 一方で、自分自身としても、チームとしても、全身全霊でチャレンジして生きていた時期でした。生きること=サッカーでした。何か大きな成果が出せる可能性というよりも、今一瞬の喜びや感情の高まり・熱気を味わい、輝きを放つことの可能性にかけていました。そして、自分を信じてくれたチームメイトの存在、自分の在り方を変えてチーム作りに再トライした経験はかけがえのないものです。

 この経験から、全身全霊で今を生きることが未来の創造に繋がること、チームとしての一体感は、表層的な関係性を溶解し本音で話すこと、自分の限界・弱さ・至らなさをオープンに出して、苦しくてもそれでも関わり続けることで生まれることだと気付かされました(つい、効率性やラクさ・強さを最大限追求したくなることに反省)。

私が探求したい6つのトピック

 人間が人間である由縁は変われることだと思います。そして、問題は自分の外側ではなく、自分の内側にあり、認識力・許容力・人間力次第なのだと気付かされました(日々修行です)。

 これらのスポーツを通じた経験や気付きの中で、自分の記憶に刻み込まれたトピックが主に下記です。

①全身全霊に臨むスポーツドラマがもたらす人間らしさや人間性(ヒューマニティ)
②エゴイスティックであった自分がチームの中で自己献身するようになるまでの「意識の変容過程」、さらには、それに伴うフロー体験や幸せ感(well-being)の醸成
③身体性回復と意識の調律
④コンテクストや間合いなどの非言語で繋がる一体感
⑤自分を限界まで追い込んだ先に現れる世界との共創造
⑥スポーツで世界と繋がれる感覚

 これらのことを探求したく、社会人になってからも、人間性回復、ゆるトレーニング、ボディーワーク、fascial(筋膜) integration、脳神経科学(元応用脳科学コンソーシアム会員)、ソマティック心理学(日本ソマティック心理学協会会員)、瞑想(マインドフルネス、ヴィパッサナー瞑想、finders course修了)、NVC、インテグラル理論、屋久島や川根へのリトリート(下記写真)など、「身体と意識に関わる研究及び実践」を行ってきました。

屋久島や川根へのリトリート

 今振り返ると、スポーツという枠組みを、「身体を起点とした繋がり醸成や意識変容」という枠組みにリデザインして捉え直して生きてきました。

 リデザインした背景には、「サッカーやスポーツ=自分」というアイデンティティで今後も生きることに息苦しさと怖さがあったことも理由でした。

自分のアイデンティティが強くなればなるほど、そこに執着し、手放すことができなくなる。そうすると、変容が起こりにくくなり、自分の進化や創造性が途絶えてしまう感覚を感じていたのです。

 そして、支えて下さる多くのメンターや仲間との対話・コミュニティ活動、ハードウェアからソフトウェアに関る仕事の経験、途上国や先進国での経験(写真)などから「自分とスポーツと社会の関係性」が徐々に醸成され、自分の内的意識の変容に伴い表出してきたのが、「身体動作に関わる新規事業開発」でした。

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 現在、海外ベンチャーとストレッチ・コラボレーションをし、スポーツ/ヘルスケア業界への新規事業創造にトライしています。

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少数のアスリートだけに価値創造を任せていていいのか?

 スポーツ界は、アスリートの振る舞い/ストーリー・試合に基づくメディア機能(ブランディングする機能や、人を繋げ拡大する機能)を基にした、放映権やスポーンサーシップビジネスが主流となっています。この価値を最大化させる一方で、少数のアスリートだけに価値創造を任せる構図に課題を感じています。

 スポーツ界は、アスリートだけでなくさまざまなステークホルダーから成り立っています。with/afterコロナ時代、「グレート・リセット」をテーマに、一人一人の世界観や認識をグローバル化し、一人一人が自分自身の個性を発揮して自分自身の物語を歩んで創造的価値を発揮していくことが求められているのではないでしょうか?

 組織人として既存の組織の機能を担い、効率良く大きく拡大していく人だけではなく、個人として、創造的人間として、自分の人生を歩み、誰もがアスリートのように、アーティストのように、クリエイターのように生き、組織や社会を耕していく。所属・肩書き・組織を超えた在り方や連携を思い描いてます(まずは自分が精進します)。

 そのための方向性として、以下の点に着目しています。

 スポーツを産業化(スポーツのエンターテインメント性を抽出→拡大→商業化)するだけでなく、見失われている点(身体、遊戯、非言語コミュニケーション、ネットワーク性、社会性、文化など)を再構築し、既存産業ではない小さな物語を創造していくマインドセットや、自律分散的に共存させていく仕組みを構築すること。そのために、スポーツが持つ価値やパワーを拡大(量)の方向性だけでなく、質(深さや密度)や変化の方向性にも目を向けることが重要だと考えています。

「ヒューマニティと身体性が内部化された経済」にリデザインしたい

 コンセプト構想と社会実装には隔たりがあります。それは、社会のシステムはすぐには変わらないこと、社会は多様な人間の縮図であり、さまざまな価値観、思惑があります。

 既存産業の立場、新しい産業にトライする立場によって、求められることやOSも異なります。どちらも正しく、どちらも全体ではなく、部分である。このような中、お互いの違いを理解し合い、排除しないで歩み寄ることが必要であり、だからこそ、場と対話と協働が必要かなと思います。

 その場がSXIになればと思っています。スポーツを基軸にした対話と協働により、違いを認識しつつ共存・共生していくシステムの社会実験を行う場がSXIとなり、課題・学び・気付きを認識し、試行錯誤していければと思います。

 そして、スポーツ産業を基軸にして、過剰なお金中心の資本主義経済から「ヒューマニティと身体性が内部化された経済」にリデザインされていくことを願っています。

 効率性を高める視点だけではなく、関係性を深めていく視点も持って、忍耐力高く関わり続ける気概のある方。泥臭くても芯を持ち、しなやかな強さを持って変化していける方。ぜひSXIで共に社会実験をしていきましょう。


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