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広重 ー摺の極ー

本日2件目はあべのハルカス美術館「広重 -摺の極-」です。

お昼過ぎくらいに到着したら、チケット売り場に行列(今日は割引で入館したのでチケット売り場に並びました)、そのあとは入館するための長蛇の列で、こんなのは久しぶりだと思いながら我慢して並びました。何年か前の、こちらの美術館で開催された北斎展の時よりは少しマシだったかな。あの時は(コロナ禍前だったし)会場の中がギュウギュウで、見るのを諦めた作品があったくらいなので。並んでいる人が「モネよりマシだね」と言っているのが聴こえました。モネはすごかったですもんね…。

あべのハルカス美術館
チケットカウンター横

今回の広重展はかなり大規模なもので、風景画、名所絵だけではなく彼が人気絵師になる以前の錦絵や摺物に始まって、人気の出た東海道五十三次、京都名所などの名所絵(初摺もあり!)の数々、あまり見ることのない花鳥画の錦絵、美人画や戯画、そして肉筆画などを見ることができました。

木曽海道六拾九次之内 小田井
木曽海道六拾九次之内 上ヶ松

木曽海道のコーナーのみ撮影が可能でしたので何枚か撮ってみました。上ケ松は、北斎の「諸国滝廻り」を参考にしたのではないかと言われているそうです。広重はかなり日本中のいろいろな場所へ行き、スケッチなどをして自分の目で見た風景を描いたものが多い印象ですが、自分では行っていない場所の風景を、資料などを参考にしたり絵になる何かを付け加えたり、雪の少ない地域なのに雪を積もらせたり、というような描き方も結構していることが分かりました。今と違い、短時間であちこちに行けるわけではないですし、カメラがあるわけでもないですし、そりゃそうか、と思ったりもしました。

月に秋草(団扇絵)
チラシより

上の「月に秋草」は団扇絵判錦絵で、なんと世界に1枚しか残っていないものだそうです。団扇絵って、自分で切って団扇の骨に糊で貼って使うためのものですから、殆どは使われてしまったということでしょうかね。
広重の花鳥画は、彼の画力の高さや構図のセンスの良さが良く分かるようなものが多くて、この人は何でも描きたいタイプの人だったのかな、応挙なんかと同じようなタイプかなと思いました。

東海道五拾三次之内 池鯉鮒
チラシより

上は東海道五拾三次で、なんと保栄堂版の初摺なんですよ。世界で1枚とか初摺とかは、パリ在住のコレクター、ジョルジュ・レスコヴィッチ氏の所蔵品なのです。保存状態も良いものばかりで、こんな貴重なものを貸して下さってありがとうございます、という気持ちです。
このレスコヴィッチ氏の所蔵品の中の、いわゆる摺物と呼ばれるものが現在、奈良の大和文華館で展示されています。ハルカスと同じグループの美術館なので、いっしょに借りたのでしょうか。大和文華館の方も、会期中に必ず見に行きたいです。

館内を全部見て、ショップでお買い物をして外に出てきたら行列が全くなくなっていましたので、夕方近くなると空いてくるのかもしれません。週末は分かりませんが、平日行かれるならば午後3時前後が良いかもしれません。

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