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キュビスム展 美の革命

京都市京セラ美術館へ行き、「パリポンピドゥーセンター キュビスム展 美の革命」を見ました。ずいぶん前に前売りを買って、そのままなんとなく忘れていた展覧会で、気付くと週末には終了してしまうという時期になっており慌てて見に行きました。

展示室入口にて

キュビスムと言われてまず思い出すのはピカソやブラックですが、ピカソが急に思いついて始めたものではありません。そこに至る以前のセザンヌやゴーガン、アンリ・ルソーの絵画、アフリカの彫刻への関心の高さ、そして彫刻に影響された絵画。

ポール・ゴーガン
海辺に立つブルターニュの少女たち

絵画は、目に見えるものを見えたまま描くだけのものではなくなり、絵画にしかできないような表現を追求する時代になっていました。それまでの遠近法や陰影法による空間表現ではなく、幾何学的に平面化された形を用いて画面を構成する試みが若い芸術家たちに衝撃を与え、あっという間に広がります。
先駆者であったピカソとブラックの2人の表現も、研究を重ねてどんどん新しくなっていくのでした。

パブロ・ピカソ
ヴァイオリン

キュビスムの初期はセザンヌ的であったものが、「分析的キュビスム」へ、そして「総合的キュビスム」へ変わっていく過程が分かる内容になっていました。分析的キュビスムというものは対象を分析していろんな角度で見えるものを1枚の絵画に再構成する、というような描き方なので割と何が描かれているのか分かりにくいのですが、総合的キュビスムは「分かるように描こう」と方針を転換させて、見て分かるパーツを重ねたような、コラージュの技法なども用いて描かれたものです。

ジョルジュ・ブラック
円卓

私には、キュビスムの絵画は理論が前面に出ていて、その理論を絵画で表現しているように思えました。

フアン・グリス
ギター

そして、描かれた対象物に多いのがヴァイオリンとギターなんですよね。これは何故なのでしょう。直線と曲線で作られた形が好まれたのでしょうか。五線と分かるものが描かれる作品もあり、もしかして、楽器の素養のある画家が多かったのかな?みたいなことも想像しましたが本当のところはどうなのでしょう。

ロベール・ドローネー
パリ市

ドローネーの上の作品はサイズの大きいもので、真ん中に描かれた3人の女性は三美神なのでしょうか。明るい色彩で、美しい作品だと思いました。

アルベール・グレーズ
戦争の歌

「戦争の歌」を作曲中の作曲家フローラン・シュミットの姿を描いたものだそうです。彼の音楽から発想を得た同心円状の形状や色彩が用いられており、作曲家を描きつつ彼の音楽をも絵画で表現しているようです。絵画は、目に見えないものも描かれ出したのです。

パブロ・ピカソ
輪を持つ少女

キュビスムの画家たちの作品は、大戦を経て変化していきました。戦争は世の中を保守的にさせ、画家たちの用いる技法も伝統的なものに変わっていったのです。芸術は、常に新しいものを求めていくだけではなく、社会の状況によって後戻りもしながら変化していくものなのですね。

村上隆 もののけ京都 入口付近

京セラ美術館では、村上隆さんの個展が開催されていて、その会場に向かう入口あたりに村上さんの大きな作品が置かれていました。実は、村上さんの前売り券も持っていまして「いつ見に行こうかな」と時機を見ているところなのです。今日、これを見かけて猛烈に見に行きたくなったのですが、今日は次の予定があるため我慢しました。

美術館「えき」KYOTO 入口

今日の2件目は美術館「えき」KYOTOで行われている「菱田春草と画壇の挑戦者たち」でした。こちらは会場内が撮影禁止になっており、画像はありませんのでサイトのリンクだけ貼っておきます。菱田春草の36年間の画業を概観しつつ、ともに学び研鑽を積んだ横山大観、下村観山などの作品も比較しながら見ていく内容になっており、とても勉強になりました。


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