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「珠玉の西洋絵画:モネ・ルノワール・ピカソ-和泉市久保惣記念美術館所蔵品展-」

大阪の中之島にある中之島香雪美術館で開催されている特別展「珠玉の西洋絵画:モネ・ルノワール・ピカソ-和泉市久保惣記念美術館所蔵品展-」を見に行きました。香雪美術館のコレクション(村山コレクション)は主に日本と東アジアの作品から成り立っていて展覧会の内容もコレクションを中心としたものが多く、今回のような西洋美術をメインとした展覧会は香雪美術館としては珍しい内容だったと思います。

美術館入口にて

今回の特別展は、大阪の和泉市にある和泉市久保惣記念美術館の収蔵品の中からモネ、ルノワール、ピカソをはじめとする西洋近代美術25点を館外で初めて一堂に公開するという内容のものでした。動画も公開されていましたので、↓ こんな感じの内容です。

和泉市久保惣記念美術館は、何年か前に西宮市大谷記念美術館でも収蔵品展をやっていて、その時は浮世絵版画を中心にした内容で、それをきっかけに存在を認識して足を実際に運ぶようになった美術館です。今回公開されたコレクションは、久保惣美術館の常設展示の部屋に行くと見られるものもあります。

この記事を書いた時には、モネの「睡蓮」やルノワールの「花飾りの女」、ルオーの「女ピエロ」などを見ています。静かで落ち着いた環境で鑑賞できる美術館で、ぜひ見に行っていただきたい美術館のひとつです。

さて、今回の特別展です。19世紀~20世紀にかけての近代西洋絵画で、最初のコーナーにはゴヤのエッチング、ミレー、コローが展示されており、そのあとすぐに印象派のコーナーでした。

フィンセント・ファン・ゴッホ「紡ぎ車を繰る女」
絵ハガキより

ゴッホは初期の作品が3作、「紡ぎ車を…」の解説に久保惣が100年にわたり綿業を営んでいたことが書いてあり、この作品をコレクションに加えたきっかけとしては面白いなと思いました。

クロード・モネ「睡蓮」
フライヤーより

こちらのモネの睡蓮は、今回の展覧会のメインのイメージとして用いられていて、これを見に会場へいらした方は多いのではないかと思います。冬に大阪中之島美術館で開催されていた「モネ 連作の情景」にも出展されていて、アーティゾンの「睡蓮の池」の隣に展示されていました。久保惣さんの睡蓮は、池に夕陽が当たり赤く輝くような色が印象的です。

パブロ・ピカソ 「座る女」
絵ハガキより

今回、私が一番好きだなと思ったのがピカソのリトグラフ「座る女」です。着衣の色と柄が可愛らしいと思いました。藤田嗣治の「子どもたちより:青い目の赤毛の少女」(エッチング、アクアティント)も印象的で好きだと思いましたが絵ハガキがありませんでした。

会場の奥のほうに、香雪美術館の収蔵品の中の修理が完成した作品の報告と紹介のコーナーがあって雪舟の「山水図」、チュニス(レパント)戦闘図屏風、世界地図屏風が3期に分けて展示替えがあったようで、今日は世界地図屏風が展示されていました。この3作は国の重要文化財に指定されている作品で、国の補助金の交付を受けて修理されたものだそうです。修理報告書の冊子が配布されていたのでいただいて帰りの電車で読み、その内容に驚いてしまいました。
かつて「レパント海戦(1571年)」を主題とした作品だと言われて「レパント戦闘図屏風」という画題がつけられていた屏風が、スペインがオスマン帝国に勝利した「チュニスの戦役(1535年)」を描いたものであることを新たに指摘され、画題を変更したということが書かれていたのです。根拠となる論文も示されていました。修理の内容よりも、そちらに驚きました。

チュニス戦闘図

南蛮屏風好きとしては画題が変わったことを覚えておかねばと思ったことでした。

こちらの中之島香雪美術館は、やはり修理の完成した《法華経絵巻》を中心に据えた特別展をするそうです。楽しみです。


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