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「投資」の目的

間もなく14年目(……合ってるかな?)を迎えるスウィングに、史上はじめて「投資の季節」が訪れている。

いや、実際手堅くやってきたのだ。

現在、借金ゼロ。予算決算はほぼ毎年ドンピシャ。「まともがゆれる」(著書のタイトルです。読んでね♡)だの「常識をやめる」だの言うてる割にはマジメが思い切り出ててちょっと恥ずかしいが、これは同時に密かな自慢でもある……とか言ってると足元をすくわれそうだが。

でも人も増え、場も少しずつ変容し、いろ~んなタイミングが重なり、スウィングの「これから」を考えて考えて思い描いた結果、「そういう季節があってもいいんじゃない??」と、これまで経験したことのない方向にはじめてケツの穴を広げ、実際に舵を切った。

とは言え僕に何億円とか何千万円とかを扱う器量はないので、大きなことをするのに長けている人たちからしたらホント、可愛いもんだと思う(でも「可愛い」っていいよね!)。ともあれ、スウィングなりの「投資の季節」は現在その真っ只中で、具体的には「SILK」(Swing Ichibu Library Keikaku)と、布のものづくりのアトリエ「coco de emo nu」稼働準備と、「オレたちひょうげん族」アトリエ再整備という、3つのプロジェクトが同時進行している。

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SILKについては「RAD」(Research for Architectural Domain)、そして安川雄基さん(アトリエカフェ)と長い時間をかけてミーティングを重ね、先日、第一期工事が無事に完了、受付&事務員ズ(スウィングのナイスな事務員さんたち)の事務スペースが完成した。2020年4月のオープンを目指し、年明け1月~2月、第二期工事を着工する予定だ。

まさか、今世で、自らの手(と言うかアイデア)で図書館を作ることになるとは想像だにしなかった。

図書館にあるのは本だ。悲しいかな、読むのはとても遅いけれど、物心ついてから、どんな時もずっと僕を支え続けてくれた大好きな本だ。

つまり「スウィング公共図書館(仮)」の開設は、僕にとってはひとつの夢であり、着々と進む現実でもある。

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だから少し怖い。

第一期工事の最中、早くも感無量になりながら、安川さんにそんな心持ちを語ると、彼は「木ノ戸さんの夢の実現に関われて光栄です」と言ってくれた。彼には別途5兆円か、それが無理ならビックル2日分を手渡したい。


2019.06.07 Friday

【Swing図書館(仮)を開設します!!!】

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スウィングから徒歩1分。上賀茂小学校正門前。

古い町家を改装した布のものづくりのアトリエ「coco de emo nu」は、場としてはほぼ完成している。

洒落たフランス語(ウソばっかり!)の名前は僕の発案だが、場づくりそのものに関しては今年4月にやって来た新スタッフ・はっちゃんにほぼ任せきった。

彼女は素晴らしいセンスと感性、アイデア、そして優しさの持ち主だ。そして理不尽に怒り、周囲に当たり散らすQさんがつまずき転びかけた様を見て「天罰」と言い切るあたり、冷徹な厳しさも半端ない。

ちなみにはっちゃんを「はっちゃん」と呼んでいるのはどうやらスウィングでは僕だけみたいで、なおかつ今を時めくXLも、本名・服部光男ゆえ「はっちゃん」と呼んでいるのでややこしいけど、まあいいや。

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こちらも2020年4月の本格稼働を目指しているが、実は内心、永遠に本格稼働なんかしなくってもいいと思っている。

それはもうこの場所を、この場所で過ごす時間を大切に感じている人たちが、既に、確かに、目の前にいるからだ。

それってすごいことだ。

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つい先日こまりんは、粘土で作った「まるで肉のようなもの」を見せてくれた。

全然縫ってないし、まったく布(ぬの)ってないし、この場のコンセプトとまるで違う。

でも馬鹿げた、「まるで肉のようなもの」を皆に披露する彼女の嬉しそうな笑顔は、とてもとても眩しかった。

永遠にはじまらない、布のものづくりのアトリエ。

いいではないか。

でも、ま、そうは言っても「はじめる」ために作ったのだし、実際いつかは「はじまる」のだろう。

だが、それはむしろ二義的なモノ……ちゅーことを忘れないようにしたい。

ただ「在る」ということが、何より大事。

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ここではお寺の住職がいいことを書いてそうな掲示板に、「どうでもいいこと」を掲示するという試みもはじめている。

その狙いは……狙いは……あるっちゃあるけど、まあ、ないみたいなものだ。

ちなみにこの掲示板を横目に見ながら登校する小学生たちの将来に責任を持つ気などまったくない。

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「オレたちひょうげん族」アトリエ再整備は、キュレーターの宮下忠也さんと共に進めている。

一作日、半月程前のミーティングをベースに宮下さんが描き出したプランを見せてもらったのだが、それがあんまりステキすぎて、僕とあやちゃんは思わずキャッキャッしてしまった。

近年、スウィングには「スウィングが好きだから働きたい!」ではなく、むしろ「スウィングで何かの表現をしたい!」という人たちが続々とやって来るようになり、これは非常に大きな変化だと感じている。

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元々、(狭義の、「絵を描く」とかそうした)「表現」を仕事にするなんて想定せずにはじめたスウィングだから、今、そこそこ活躍しているXLだって、京一さんだって、アッキーだって、はじめは全然そんなんじゃなかった。そんなんじゃなかったけど、いつの間にかそんなんになりはじめて、そんなんになり切っている今がある。でも最近の新人たちは元々絵を描いていたり、とにかく表現することが好き!! というタイプの人たちばかりなのだ。

そして表現を仕事にする利用者は現在29名。2006年、設立当初の約3倍の人数となった。

そりゃあ、諸々の環境を整え直す必要がある。

ひとりひとりのことを考え「すぎる」と、かえって身動きが取れなくなる。場を更新するにはもちろん繊細さも必要だが、もっと必要なのはそれを凌駕する大胆さだと考えている。しかしながら、内部にいるとどうしても近視眼的になってしまい、2、3歩ひいた位置から物事を見る目が持ちにくい。だからこそ、外からの視点を持った宮下さんにこの仕事を依頼した。

いやあ、楽しみだ。

こちらは今年度中に粗方の整備を完了する予定である。

「投資」の目的はもちろん「資金を投入すること」そのものではなく、思い切って言えば、スウィングの皆が、スウィングに関わる人たちが、この社会に生きる人たちが、そして他ならぬ自分自身が「幸せに、心豊かに過ごせる場や時間を増やすこと」だ。

チバユウスケは歌っている。


お前が生を受けたその瞬間から

お前の旅ははじまってんのさ

世界なんてそこら中にあるし

宇宙はお前の手の中だ


生きている人の数だけ主語がある。

「アート」も「福祉」も「市民活動」も、何だって、どうだっていい。

僕に、スウィングにできることなどたかだか知れているが、それを軽んじたくはない。

主語をぶらさず、本質を求めて突き抜けるのみだ。

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