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【ネーミング分析】「ヒツジのいらない枕」

小さな会社のビジネスプロデューサー・弁理士のヤマダP(@sweetsbenrishi)です。

商標屋である弁理士のヤマダが商品名のネーミングを分析し、ネーミングのコツを探ってみようという企画です。

今日の分析対象はクラウドファンディングで人気の枕「ヒツジのいらない枕」です!

▶「ヒツジのいらない枕」について

「ヒツジのいらない枕」はクラウドファンディングサービス「Makuake」の枕部門で歴代最高額を達成した人気の枕です。その支援人数は5,000人、購入総額はなんと6000万を超えています。すごい人気!

活性炭を練り込んだ熱可塑性エラストマー製。頭を三角形の格子で支える構造になっていて、「まるで水に浮かんでいるような寝心地」だそうです!

では、この「ヒツジのいらない枕」のネーミングについて分析していきましょう。

▶「ヒツジのいらない枕」の良い点①|説明的な名前でないこと

まず、1つ目の良い点は、説明的な名前でないこと。

説明的な名前というのは、例えば、「体圧分散枕」とか、「快眠枕」とかね。こういう名前は小難しくて覚え難い、親しみ難い、インパクトに欠けるというデメリットがあります。

商標登録の実務をやっていると、こういう説明的な名前を登録したいという人が多いです。特許庁の審査官に「単に商品の内容を説明したに過ぎない商品名だ」と判断されると、商標登録を受けられないケースもあるんです。

この名前は「ヒツジ」を登場させたことで、印象的な商品名になっていますね。

▶「ヒツジのいらない枕」の良い点②|買い手のベネフィットを伝えている

まず、2つ目の良い点は、買い手のベネフィットを伝えていること。

ベネフィットというのは、商品から受けられる恩恵のことです。買った人にとって、その商品のどこが嬉しいのか? これが商品名に盛り込まれていると、買おうとしている人に響くわけです。

でも、商品名で多いのは商品の機能を名前に入れ込んでしまうこと。先程例に出した「体圧分散枕」は機能を示していますよね。高機能な商品ほど、これをやりがちです。

でも、買い手にとってのベネフィットは「ぐっすり眠れる」こと。

ぐっすり眠れるのであれば、枕がどんな機能を持っているかはどうでもいいわけです。そうすると、「体圧分散」等の言葉は買い手にはあまり響かない。印象的な名前にはならないということです。

この商品では、「ぐっすり眠れる」というベネフィットを「ヒツジのいらない」という言葉で表現しています。

でも、この枕にすれば、ヒツジを数えるまでもなく一瞬で眠れてしまう。だから、ヒツジさんはお役御免ですよという意味ですね。

「ヒツジのいらない」という言葉が入っていることで、「すごく良く寝れそう!」と思ってもらえるわけです。

▶「ヒツジのいらない枕」の良い点③|誰でも知っている話を織り込んでいる

3つ目の良い点は、誰でも知っている話を織り込んでいること。

眠れない時にヒツジを数えたことがある人は多いでしょう。この風習は日本人なら誰でも知っています。こういう誰でも知っている話を織り込むことで、言いたいことが伝わり易くなったり、親近感を感じてもらえたりするわけです。

「ぐっすり眠れる」⇒「ヒツジのいらない」の言葉の置き換えに、「なるほど!うまいこと言うねぇ」とニヤニヤした人も多いんじゃないですか?

▶まとめ

今日のまとめです。

「ヒツジのいらない枕」というネーミングの良い点は、

● 説明的な名前でないこと
● 買い手のベネフィットを伝えていること
● 誰でも知っている話を織り込んでいる

でした。

ネーミングでは商品の内容を説明するのではなく、買い手のベネフィットを伝えるのが大事です。

買い手のベネフィットをうまい言葉で置き換えられないか? これを考えてみてください!

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では今日はこの辺で。

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