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私を泥沼の「受験ヴェテ」から救い出したのは恩師のたった一つの言葉だった

誰かのたった一つの言葉が自分の先入観やこだわりを取っ払い、我に返らせてくれることがある。
どうにも道が見えなくなってしまったとき、自分ひとりで抱え込まず、信頼できる誰かに相談してみよう。

弁理士/ネーミングプロデューサーのヤマダです。



「受験ヴェテ」。

受験生のベテラン。長い間、資格試験にトライし続けるも、なかなか合格することができない人を揶揄する言葉です。私もそう呼ばれる一人でした。

時は平成19年の夏。弁理士二次試験(論文試験)が終わった直後。この年の試験の結果も芳しくなく、合格は期待できない状況でした。

それまでも自分なりに努力をしてきたつもりでした。でも、どうにもうまくいかない。やむにやまれず、当時お世話になっていた受験ゼミの先生に時間を取ってもらい相談をしたんです。


場所は東西線・高田馬場駅の改札から地上に出る途中にあった喫茶店。薄暗い喫茶店の中で、私は恥を偲んでこう切り出しました。

「来年に向けて何をどう勉強していいのかわかりません」

すると、先生は「ヤマダさんは何で今年、うまくいかなかったのかわかりますか?」と聞き返してきました。

「まだまだ知識が足りないんだと思います…」

私がそう言い終わるか終わらぬかのうちに(むしろ食い気味に)、

「違います。ヤマダさんは合格者以上の知識を持っています。でも論文の書き方がすごく悪い」


衝撃的でした。自分が合格者以上の知識を持っているというのもそうですが、自分が得意だと思っていた論文の書き方を否定されたことが。でも、袋小路に入り込んでいた私はそれを素直に受け入れられたんですね。だって、自分ではどうにもならなかったわけですから。

それから、秋のゼミが始まるまでに今までの自分の答案を見直しました。すると、色々なことが見えてきたんです。

いわゆる難問については高得点を取っている一方で、皆が難なく合格点を取っている問題で失敗しているとか、一つの論点を深く論じさせる問題には強いけれども沢山の項目について説明しなければいけない問題には弱いとか、最初の方で書きすぎて竜頭蛇尾の答案になっているとか。

その結果、「自分は他の人より論文を書くスピードが遅い。文章量を稼げない。だから、問題で聞かれているポイントに全て解答するには、一つ一つの項目をコンパクトにまとめる要約力、エッセンスを凝縮して濃い文章を書く能力が必要だ。」という結論にたどり着いたわけです。


その年は知識をインプットするのをやめて、論文の書き方の改善だけに努めました。

そして、迎えた平成20年の弁理士二次試験。

一科目目「特許・実用新案法(120分)」、ニ科目目「意匠法(90分)」で危ういながらも題意に沿った解答を書き上げ、臨んだ最終科目、三科目目の「商標法(90分)」。

ここで私は神様に試されました。想定外のことが起きたんです。それまで商標法は小問が2-3問という問題形式が定番でした。それなのに、今年の問題は小問が7問!全く見たことのない新しいタイプの問題だったんです。

前の年までの私であれば、「無理だ。書ききれない!」と心が折れていたでしょう。でも、そこは一年間の修業の成果。「最初の方の設問で書きすぎると最後まで書ききれない。一つ一つの設問の配点比率は小さいはずだ。問われていることに簡潔に答えればいい。」という冷静な判断が働き、割り切って書くことができたんです。

そして、その年。弁理士試験の最大の難関・二次試験(必須科目)になんとか合格することができました。講師の先生の言葉が合格への扉を開いてくれたんです。


自分の前にとてつもなくデカい壁が立ちはだかっている。とても乗り越えられそうもない。そう思うときでも、必ず打開策はあるものです。それなのに、自分の先入観やこだわりがその打開策を包み隠してしまっていることが多い。

そういうとき、誰かのたった一つの言葉が自分の先入観やこだわりを取っ払い、我に返らせてくれるんですね。どうにも道が見えなくなってしまったとき、自分ひとりで抱え込まず、信頼できる人に相談してみることをオススメします。

皆さんの中で、人生の転機になった言葉はありますか?


弁理士試験をご存知の方なら気がつくと思うのですが、弁理士試験には二次試験(必須科目)の後に、二次試験(選択科目)、三次試験(口述試験)もあります。

「二次試験(必須科目)になんとか合格」ということは…。そう。私の苦難はこの後もまだまだ続くんです。その話は別の機会に。

では今日はこの辺で。

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