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月星真夜(つきぼしまよ)
2024年9月25日 06:53
その日、半袖のシャツでは少し肌寒さを感じながら、ウサギは図書館の赤ちゃんコーナーに腰をおろし、並んだ絵本をじっと見つめていた。ふと目に留まったのは、真っ赤なだるまの絵本だった。鮮やかな赤が「ここにいるよ」と語りかけてくるようで、ウサギの心を強く引き寄せた。彼女は閲覧席に腰を下ろし、そっと絵本を開いた。図書館の穏やかな空気の中、ページをめくる音だけがかすかに響いていた。「かがくいひろしさんの
2024年9月6日 06:19
図書館の一角で、ウサギはじっと大きな絵本を見つめていた。それは特に目を引く、縦が116センチもある長い一冊だった。「この『100かいだてのいえ』、大きなサイズで読むと迫力がすごいの」彼女は両手に力を込めて、その本を持ち上げた。そのとき、カメが偶然近くを通りかかった。 「その100かいだての世界に行ってみない?」カメは微笑みながら彼女に声をかけた。ウサギが頷くと、二人は図書館を後にして駅
2024年8月30日 06:21
図書館の予約棚に並んだ本の背表紙を、ウサギはさっきからじっと見つめていた。「今、こういう本が読まれているのね」ウサギの視線がふと止まった。その先には一冊の絵本があった。「『パンどろぼう』……なんだか、気になるわね」と、彼女は呟いた。どこか懐かしくて、不思議な温かさが、そのタイトルに漂っていた。その時、偶然カメがそばを通りかかった。「その絵本、面白いよ。これからその世界に行ってみようよ」
2024年8月18日 06:55
汗を拭きながら図書館に入ったカメは、ふとした違和感に目を留めた。よく見ると、検索機の前で深刻な顔をしたウサギが、ぎこちない動きで何かを一生懸命に探していた。カメに気づいたウサギは、しょんぼりした顔でトボトボと歩いてきた。「端末の操作って本当に苦手。やっと検索できたと思ったら、読みたい本は貸出中。ついてないわ」「こうなったら、展覧会に行くしかないわね」とウサギは言い、状況がよくわからないカメ
2024年7月24日 06:11
図書館の閲覧席で、ウサギとカメは肩を並べて本を読んでいた。「今日もとても暑いわ。こんな日はやっぱりかき氷が一番よね」とウサギが言うと、カメは優しく微笑み、そっと彼女の手を引いた。「ねえ、どこに行くの?」驚きながらもついていくウサギにカメは静かに答えた。「分類番号147.6の書架に幽霊がいるんだけど、もっと涼しくしてあげるよ」電車に飛び乗った二人は、立川の「オバケ?展」の会場の前に辿り着い