見出し画像

永田カビさんの本を読んだ感想

今日感想を書こうと思っている永田カビさん著『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』はTwitterでRTされてきた友人のつぶやきで知ってすぐにPixivで読み、Amazonから手元に到着後のひと月前には読了、何度か繰り返し読んでいたのですが、私自身の感想はきっと的外れなもの、かつ、最後には自分語りになってしまうだろうし、それ以上に発売日以降既にアップされているたくさんの感想・書評以上のことなんて書けないしなーという諦めもあったりでなかなか書けずに日が過ぎてしまっていました。

でも、作中にあるカビさんの

私も描きたい
よくそんなの公開できるなって
思われるような自分の事を…!

に触発されて、ここにまとめていこうと思います。


まず、この本のあらすじは下記のとおりです。

「心を開くって、どうするんだっけ…」28歳、性的経験なし。生きづらい人生の転機。高校卒業から10年間、息苦しさを感じて生きてきた日々。そんな自分を解き放つために選んだ手段が、「レズビアン風俗」で抱きしめられることだった──自身を極限まで見つめ突破口を開いた、赤裸々すぎる実録マンガ。pixiv閲覧数480万超の話題作、全頁改稿・描き下ろしで書籍化。(Amazon商品紹介より)

読了後の正直な感想は―
そうか、この手があったか!
でした。

誤解を生みそうな感想ですが、安易に「レズ風俗? うわっ知らない世界! 行ってみた~い!」ということではもちろんありません。
「ああ、私って、本当はさびしいって思ってるのかも?」ってふと認識してしまった時、その気持ち・状態を人間としての弱み・マイナスの事と思い込んで自己嫌悪に陥る必要はない、どうしても人の温もり(擬似的なものだとしても)が欲しくてたまらなくなったらこういう場所があるって知っていることで気持ち的に安心の種がひとつ増えたような気がして。



現在、私には配偶者及び恋人はいません。
それは、自分が選んだことです。
ぼんやりと、今の生活の中に恋人がいればもっと違う世界が見えるのかなあと思うこともありますが、恋人を「作りたい」そして結婚と思って自発的に行動をすることを辞めてしまいました。
そもそも「恋人を作るってなんやねん」と思っているタイプの人間なところ、「いや、きっといた方がいいんや」と言い聞かせていたのを辞めたってことです。

詳細に書いていくとただの自己語り日記になってしまうので、できるだけ省きます。

恋人・結婚、もーいーやってふんぎりをつけたのは今年の春です。
大きなきっかけとなったのは実家の父のご友人からご紹介いただいた男性とお見合いをし、結果、周りには迷惑をかけ、自分自身も精神的にしんどく「本当に結婚するつもりがない人はお見合いをするべきではない」という結論に至ったこと。

これまで自分からしていた(と思っていた)婚活も、結局は「私も一応、世間の風潮にのっかってちゃんと行動してますよー」というポーズをとっていたかったからなので、正直「めんどくさかった」。
心底、生涯のパートナーを見つけたいと思っていないから、お相手とのメールのやり取りやデート中ずっと気が重い。
デートというものの概念すらはき違えていました。
婚活イベントで知り合った方、今回のお見合いの方と何度か出掛けていた時に、同僚からいつも「デートどうやったん?」と聞かれることにすごい違和感を感じていたんですね。
私としては、私が彼(ら)をまだ好きになっていないから「デートしている」つもりはなかったんです。
デートっていうのは好き合ってる同士がするお出掛けっていう認識だったから。
そういうことで言えば、そもそもが億劫な気持ちで出かけていく自分は一生デートなんてできません。
デートというものは、そこでお互いコミュニケーションを取り合い人間関係を築いていくもの。
お相手の方にも私の傲慢さはバレバレで、どちらもお相手の方を傷つけていたと思います。
―と思っているのも、私の傲慢で実は向こうは「なんやねんあのオンナこっちが歩み寄っとんのに冷めた顔しよって、ないわーーーないわーーー」て思っていたかもしれません。
真実は藪の中です。


で、私が誰に対して「私も一応、世間の風潮にのっかってちゃんと行動してますよー」というポーズをとっていたのかと言えば、親。

つまるところは親だったというところにいちばん共感を覚えました。

友人等周囲の人から時折「彼氏は? 結婚は?」と聞かれることがあっても大概は「まー無一さん変わってるしね~あはは」で終わりますが、親はなかなかそこで終われないところがあります。
親にとっては自分の子どもが世間的に変わってちゃいけないわけですから。

私、親の欲求に応えたいんだけど思ってたけど 
「親のごきげんとりたい私」の欲求で動いてたんじゃ…
(中略)
自分がどうしたいかより、親のごきげんをとりたい優先だからこんなにずっと苦しかったんじゃないか…?
本文56ページより


話はまた飛んで―

私は小さいころから両親から「お前は本当に赤ちゃんの頃から手のかからない子でよかった」ということをよく聞かされていました。
両親が働いている間、祖父母宅や母の友人宅へ預けられて居る時もそれなりに楽しく過ごし自分の場所を見つけられたし、必然的に鍵っこだったので近所の友達と遊んで過ごして、学校でもちゃんと勉強して成績も反抗期まではそれなりによいポジションにつけてたし。
そうしてるとは思わずとも、「なんでもひとりでできるマン」になろうとしていたんじゃないかと思います。
「親の目」を自分で想定しながら、その制約内で自分で行動する、という感じ。

自らそうしている一方で、母親からくる些細な押し付け(?)は私にとってとても邪魔くさいものでした。
買い物中、服買っていいよと言われたから喜んで雑誌で見たような感じの服をかごに入れると「何それヘーン。こっちの方がかわいいからこっちにしなよ」と最終的に変更。
ヘプバーンを意識してセシルカットにしてみたら「無一ちゃんがどんどんヘンになってっちゃうよ」と半泣きされる。(この時は反抗期絶好調だったこともあるし、多分親にしてみたらただの短髪)
就活を全然しなかったにも関わらずとりあえず契約職員になれることが決まった時には「でも契約なんだから、次は公務員目指した方がいいんじゃない」。
恋人と言えた(のかもしれない)存在がいた時にも「え、劇団やってるなんて結婚できないじゃない」とか言われそうで、一切紹介しませんでした。

もう何も言わない方が楽や、とコミュニケーションを放棄するという幼稚な手段を取っていたら、父親から「家族なんだからざっくばらんに何でも話しなさい」と事あるごとに語られ、この「家族なんだから信仰」に苛立ちを覚え、今ではできる限り距離を置いています。

だから、今年の春に親にも「相手がどうこうじゃなく、自分のライフスタイルとして結婚は考えられない。今後は婚活辞める」ということを伝えた時にはまさに、本文64ページの

翌日 世界は広くなっていた
行けないと思っていた大陸が
昨夜、地続きになったのだ
呼吸がしやすい

この心境でした。


結婚を目的に、誰かを探さなくていーんだ! 


ただ、自分による制約を解除してせいせいするほどひとりでいられる自由を得たとは言え、「あー今、誰かに寄り掛かれたらすごい楽なのに」っていう時はあります。
他人に身体を触れてもらうこと、他人の身体にふれることがどれだけ気持ちよくて、安らぎ、時にはどきどきするものか断片的ながら知っているからです。

おセックスの時の密着感とまでいかなくていい、女子高時代の、仲良しの子と腕を組んで寄り添って教室移動してたあのくらいの、「誰かに味方でいてもらえてるという実感」が自分の中にすとんとおちてくるような人の熱を懐かしく思う。


自分で自分の身体を抱えてみても限界があるんですよ。
性的なことになれば殊更に。
自分ひとりではできないことも他人とならばできるじゃないですか。
でも男性といたすのは抵抗がある。
(アイドルや俳優さんのおっかけをするうちに「男性は見るもの」という意識の方が大きくなってしまったせいもある)
私には顔のみならず身体的にも見た目が幼いというコンプレックスに加え、母親から身体的なことをちまちまと指摘されてきた記憶が積年の呪縛のように残っていて、カビさん同様、男性や周囲から女性として認識されることに戸惑いを感じるんです。(私の場合は同時に「魅力なんてないはずの私に対してなんで?」という疑いも鎌首をもたげ始めます)
カビさんは「自分が女性として見られることが怖い←子どものままでいよう←親にとっていい子でいたい」という構図。
私は「親から言われたことがずっと無意識下にあるから周りからの評価に疑問を感じる」という構図。
どちらも勝手に自分に制約をかけているように思えるけど、違うのかな?

どう思われますか?


さて、本文92ページからいよいよレズ風俗でのイベントシーンが開始されるものの、カビさんはだんだんとつらくなってくる…わかる…身に覚えがあり過ぎる…自分の場合は相手は男性だったけどまさにこんな反応しかできなかった…

婚活イベントでカップリング成立となった方が「恋人イベントこなしたいマン」で、付き合うことになって割と早々に1泊温泉旅行に誘われました。
上記の通り、本心的なところではまったく冷めていたものの「何度かおセックスしていけば情も沸いてなんとか丸く収まるように進むのかもしれない」とOKした結果、

ぬこぬこされてるのに もうだめだつらい…ングッ ヴッ!

自分がこんなだったので当然相手にも伝わっちゃってるよな~~~と自嘲気味でいたら、翌朝とても嬉しそうにチューを迫ってきたので、人間間でコミュニケーションを取るって高度なことだったんだなと実感したわけで。
私たちの場合で言えば、既成事実で乗り切ろうとしていただけで本当にお互いにコミュニケーションを取ろうということに考えが至っていなかった。


恋がなくても、性器のついた身体があればなんとかなるだろう
性器がついていれば(コミュニケーションできていなくても)できるだろう(Pixiv版「後日談」より)


男女関係における幻想は幻想でしかないと身を持って知りました。
そして、おセックスが延長線上にあるかないかは別として、コミュニケーションについては男性だろうが女性だろうが同じことです。
さびしいからと言って闇雲に誰かを探しても「自分が求めているもの」は得られないのはわかりきっています。



最後に、もうひとつ、私が共感して、開眼した部分。


Pixiv版「さらに後日談」より
性的な接触をしたいがために、恋人を作る努力をしないで風俗に行ったことについて悩むカビさんに対する読者様の意見―
「性的接触をしたいから恋人を作るという方向に行く方が納得いかないことになる」


さびしすぎてレポを読みながらこれまでの自分の対人関係も振り返ってみたりして、「ひとりでいる」選択をした今、これからどんな関係の人がいると嬉しいのかなって考えたところ、触れ合えるお友達がひとりでもできたら今後の人生、だいぶ楽になるんじゃないかなって思いついたんです。

触れンド。

それにはまず私が発しているであろう他人へのガードを緩める努力みたいなものをしなくちゃいけないだろうし、ぱっとは思いつかないけど自分の中でいろいろ考えたりしなくちゃいけないこともあるんだろうし、しなくちゃいけない、と考えるのもどうかと思うんですけど。
思ってるだけじゃ何も変わらないし、かといってそんな触れンド作るどー! オー! て感じになってもそれはまたおかしくなるだろうし。
意識変えてみたけどやっぱちょっと今の自分のレベルじゃ無理だわってなったら、こういうお店を頼って、その時限りになるけどコミュニケーションの経験を積ませていただくっていう選択肢もアリなんじゃないかって、漠然とそう思ったんです。

実行に移すかどうかはまた別の話として選択肢の種類が増えるって大事じゃないですか。
知っている、というだけで気持ちは随分と楽になれるものです。



結局まったくまとまりのない、ほぼ自分語りの感想になってしまいましたが、この本を読んで確実に私の心は軽くなったし、Pixivで始まっているカビさんの『ひとり交換日記』が更新のたびに、新たな茨の道を歩み始めたカビさんの背中を遠巻きながら見つめ続けていきたいなって気持ちがこぽこぽと沸いてきます。(お母さんに「(あなたに)支配されてる気がする」と言わせるまでにカビさんは成長されている! 自分や周囲を分析するだけじゃなく小さいことからでも実行されている姿に脱毛もとい脱帽です)



本当にまとまらずですが、今日はこれにてブラウザを閉じます。

それでは。



ぴーえす
とりあえず、御坊さんのお店サイトはひと通り拝見させていただきましたよね。え、御坊さん、カビさんと飲みに行ってる! いいなあ!


ぴーえす2
本書を読んでいて、ちょっと方向性は違うかもしれないのですが二村ヒトシさんの『すべてはモテるためである』を思い出しました。
後半がキャバクラ・風俗での実践解説だったりして「モテ」がテーマ。でも、「モテるため」だけではなく、「ちゃんとしたコミュニケーションを取るため」、そして「きちんとした自分を持つため」の本でもあります。
この本の感想文はこちら


ぴーえす3
もうひとつ、生と性は繋がっているんだなあということでんでいて思い出した映画。
難病に罹って余命いくばくかの少女がいます。お金持ちだったので、人を雇って死ぬまでにしたいいくつかのことを実現させてもらうことにしました。
少女はわがままだし、性格はいいとは言えない。
それでも、雇われた男性は少女とぶつかり合いながらミッションをクリアしていきます。
最後のしたいことはおセックス。
男娼を呼んでいざベッドイン…したのに聞こえてきたのは少女の絶叫。
おセックスするならばその場限りの男娼ではなく、ぶつかり合っていく中でお互いを知り始めたあなたとがいい、ということで最後は二人が結ばれ少女は旅立っていく。
みたいな内容でした。
ツタヤの単館系ムービーの棚にあった映画で、だいぶ以前に見たので90年代~00年代制作のもののはず。(だから『17歳のエンディングノート』ではない)ジャケットは二人が飛行機に乗った写真だったはず。
ご存知の方、いらっしゃいましたら教えてください。





この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
note.user.nickname || note.user.urlname

次に書くnoteの活力(大福)に使わせていただきます....!

こんなにスキって言われたことありませんよ。
10
若隠居なライフスタイルに憧れるフォー世代。おひとり様でもこんなに楽しい♡ をモットーに生きている地下ブロガー / ラジオトーカー。 2019年 #旅と写真と文章と summerクルー。web名刺 https://html.co.jp/sweetbean_tw
コメント (2)
とてもよかったです。後でもう一回きます。むいつさんは等身大が書けるひとだなと思う。
ありがとうございます。カビさんのこの本、機会があればぜひー。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。