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これからGTOwizardをお使いになる方へ

こんにちは、汗だくポーカーチャンネルの2割引です。
Youtubeでポーカー配信をする傍ら、GTOwizardの宣伝アンバサダーを務めています。

最近、Twitter上のスペースでリスナーさんからポーカーのGTO戦略についてよく質問されます。
「GTOってなんですか?」
「GTO勉強すればポーカーに勝てるようになりますか?」
「GTOってどうやって勉強すればいいですか?」
「GTOwizardってどう使えばいいですか?」
などです。
GTOという言葉だけは聞いたことがあり、GTOwizardという勉強ツールも気にはなっているけど、よく分からないというポーカープレイヤーは多いと思います。
今回は、
・GTOとは何か
・GTOwizardとはどんなツールなのか
・GTOを勉強するためには何から始めればよいのか
・GTOwizardをはじめて使う方はどのような事に気を付けるべきか

といったトピックに関して書きたいと思います。

そもそもGTOとは?

この文章を読んでいる方はポーカーの「GTO戦略」について知らない方もいらっしゃるかも知れません。
名前だけ聞いたことあるなんて人も多いでしょう。

ナッシュ均衡という言葉をご存じでしょうか?
凄腕じゃんけんプレイヤー2名によるじゃんけんを考えてみましょう。
じゃんけんというゲームは、「グー・チョキ・パーを1/3の頻度で出す」ことで、プレイヤーのどちらかが一方的にアクションを変えたとしても、現状以上の利益を上げることができなくなってしまいます
つまりGTO戦略を忠実に実行する限り、そのプレイヤーはある一定の期待値より絶対に負けることはあり得ません。
そのため、凄腕プレイヤー2名によるじゃんけんはお互いがちょうど1/3の頻度でバランスよくグー・チョキ・パーを出すため、短期的には運が影響して勝敗はどちらかに傾くかもしれませんが、長期的はにどちらも利益を得られず収支は引き分けに収束していきます。
この状態をナッシュ均衡と呼びます。

ポーカーも、プレイヤーの数と戦略が有限である以上はナッシュ均衡は存在します。
グー・チョキ・パーの代わりに「ベット・コール・レイズ・チェック」などの頻度を究極にバランスよくすることで、相手がこちらから一定以上の利益を得られなくなるような戦略は存在します。
この究極にバランスの良い戦略のことをポーカーにおける「GTO戦略」と呼びます。
じゃんけんと違ってポーカーは複雑なゲームの分岐を辿るので、GTO戦略を人間が一人で考えることは極めて困難です。
そのため、多くのプレイヤーがポーカーにおけるGTO戦略を学習するためにソフトウェアを利用します。

どうやってGTOを勉強するのか?

最も有名なソフトが「ソルバー(最適化分析ツール)」と呼ばれるものです。
Piosolver、Monkersolver、GTO+などのソフトがそれです(Pokersnowieは多人数が参加しているスポットにも対応したポーカーAIではありますが、GTOではありません)。
人間が設定したある条件下でGTO戦略を計算してくれます。

例えば、BTNvsBBのSRP(シングルレイズドポット)を計算したいとします。
ボードはAK2レインボーとします。
数あるソルバーの中でも比較的安価で購入できるGTO+というソフトは、プリフロップからGTO戦略を計算することが出来ないため、あらかじめ人間がプリフロップのレンジから決める必要があります。

①IP(インポジション、ここではBTN)とOOP(アウトオブポジション、ここではBB)のプリフロップレンジを決定します

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このような13×13の方眼紙に手作業でレンジを作っていきます(あらかじめ作成したレンジを読み出すこともできます)

②ポストフロップ以降で用いるベットサイズを設定する

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フロップが開く時点でテーブル置かれているチップ、有効スタック、レーキとレーキのキャップ、フロップ・ターン・リバーで用いるベットサイズを設定します。

③計算する
本来、ノーリミットホールデムというゲームはベットサイズを自由に選ぶことができますが、あまりにベットサイズの選択肢が多いと、プレイの分岐が多くなり計算にパソコンの性能と多大な時間が必要となります。そのため、ソルバーを使う人間側があらかじめ手持ちのパソコンで無理なく計算を終えられるようベットサイズの種類を限定させるわけです。
今回は、試しにベットサイズを1種類に限定させたうえで計算させました。

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このような結果をソルバーは示しました。
ソルバーはレンジの61.4%でベットする戦略をとるようです。
ここまでで、自分のパソコンで3分~5分ほどの時間を要しました。
もっとベットサイズの種類を増やすと、計算時間により多くの時間が必要となります。
自分であれこれ設定しなければならない手間と難しさ、計算に時間がかかってしまうこと、そしてどのソルバーにも共通する特有の「見づらさ」が多くのポーカープレイヤーの座学のやる気を奪っているかもしれません。しかし、これはソルバーというソフトの性質上仕方のないことでもあります。

GTOwizardとは、どんなソフトなのか

GTOwizardはそれらのソルバーとは全く毛色の異なるソフトとなっています。
GTOwizardとは、あらかじめソルバーによって計算されたありとあらゆるハンド状況(現在は1対1のハンドに限る)の計算結果をすべて保存しており、いつでも自由に閲覧できる「図書館」のようなソフトです。

ありとあらゆるハンドの状況?
そうです、全てです。
全てのポジション関係、シングルレイズドポットや3betポットの計算結果がクラウド上に保存されています。

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この画面をご覧ください。
これはGoogle Chromeというどこにでもあるウェブブラウザです。
あなたは、左上のタブからプリフロップのアクションを選びフロップのカードを選択するだけで、すぐにGTO戦略の計算結果へアクセスすることができます。
画面もカラフルで非常に見やすいとは思いませんか?
必要な画面が丁寧に配置されているため、多くの人がソルバーよりも使いやすいと感じるはずです。

これはGTOwizardのスタッフが高性能マシンによってあらかじめ計算した結果で、もちろんGTO戦略の一例です。
また、より最適化された結果を学習できるようにソルバーによってプリフロップから計算されています。時間とパソコンの性能が要求される作業のため、なかなか個人では手の届きづらいところです。
そして、ポストフロップ以降のベットサイズも数種類用意されており、より実践で使用されたベットサイズに近い戦略を知ることができます。

あなたがUTGとBBのハンドを勉強したくなったら、あなたはタブから再び選びなおすだけで良いわけです。
フロップのカードもいつでも変更できます。

また、GTOwizardが計算したハンドは様々なゲームに対応しています。
皆さんは、同じキャッシュゲームでもレーキ(控除率、カジノの取り分)の違いによってプレイが変わることはご存じでしょうか?
GTOwizardは、マイクロレートで良く使われているレーキサイズ(rake5%,4bb CAP)のほかに、ハイレートで使われるレーキサイズ(rake5%,0.6bb CAP)を利用したキャッシュゲームの計算結果も閲覧できます。
ヘッズアップキャッシュゲームにも対応していますし、SPIN&GO(3人によるシットアンドゴー)、HUSNG(ヘッズアップ̪シットアンドゴ)、MTT(マルチテーブルトーナメント)などのトーナメントにも対応しています。

それらのすでに計算されたGTO戦略を、ウェブブラウザから気軽に読み出して学習できる快適さがGTOwizardの最大のメリットです。
このウェブアプリケーションは、スマートフォンにも対応しています
いつでも、どこでも閲覧することができます。
あなたはGTO戦略の学習に必要な時間を大幅に短縮することができるのです。

次に、GTOwizardの細かい機能についていくつか紹介しましょう。

GTOwizardの機能

RANGES

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これはRangesという機能で、自分が最もハンド検討で用いる機能かもしれません。
IPとOOPお互いのレンジのEQUITY(ポットにおける占有率、勝率)をグラフに示したEQUITY GRAPHは一番最初に見るようにしています。
どちらのレンジがより高いEQUITYを持っているか、ナッツハンド(特に強いハンド、フロップではだいたいツーペア以上のハンドをナッツとして扱うことが多いです)はどちらのレンジに多く含まれているか、そしてそれがGTO戦略にどのように影響しているのか学習することはとても大切です。

BREAKEDOWN

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これはBREAKDOWNと呼ばれる新しい機能です。
あなたのレンジにどのような役とドローハンドが含まれているのか(レンジにおける割合とコンボ数)が分かります。
また、それらの役に応じて、どのアクションが最も多く実行されているか知ることができます。

AGGREGATED REPORTS

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ポーカーの全1,755通りあるフロップの戦略を一覧に表示します。
あらゆるフロップの中で、より高い頻度でCBを打つボードについて、大きいサイズのCBを打つボードについてなど学習することができます。
ハイカードや、スート、ペアの有無などで、フィルターを使用することもできます。これはある特徴のボードにおける戦略の理解や確認をするのに役立ちます。
スターター会員(月49ドル)ならUTGvsBB、BTNvsBBのSRP、BTNvsSBの3BetPotの3つのスポット、プレミアム会員(月89ドル)では全ポジションのスポットにおける集合分析結果へアクセスすることができます。

PLAY vs GTO

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GTOwizard相手に模擬ゲームをしながら戦略を学習できる機能です。
アクションを選択する中で、自分の判断がどれだけGTOから乖離しているか反省しながら学習することができます。
知人の @tokyo_h さんのアドバイスでは、コーラー側の立場になって模擬戦を戦うことがより有効とのことです。

UPLOADS

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GG POKERやポーカースターズでプレイしたハンド履歴をGTOwizardへ直接アップロードすることができます。自分が実際にプレイしたハンドがどれだけGTOから乖離しているか勉強することができます。
スターター会員の場合は50ハンド/月、プレミアム会員だと100,000ハンド/月といった膨大な量のハンドを解析でき、自分が気が付かなかった思わぬミスプレイを探すことができます。

これからGTOを勉強する方が知っておくべきこと

これからGTOを勉強してみたいと希望する初級者や中級者へ向けて、GTOwizardやソルバーへお金を払う前に知っておいてほしいことを書きます。
GTO戦略をしっかりと理解するために必要なことをすべて網羅するのは難しいですが、自分が真っ先に思いついた大切なことを2点書きたいと思います。
すでにご存知の方は飛ばしてくださって構いません。

エクイラボでレンジ対レンジの勝率を学ぶ

ポーカーにおいて、GTO戦略というのは極めて高度な学習テーマといって差し支えないと思います。
ポーカーの学習は学校の授業のように教科書があるようなものではありませんが、もしポーカーにおいて教科書が存在するのであればGTO戦略はかなり後半に登場するはずです。

GTOを学習する前段階に最低限触っておいてほしいソフトがPokerstrategyエクイラボFlopzillaなどです。
これらは、相手のレンジと自分のレンジが特定のボード対してどのような強さなのか調べることができるソフトです。
皆さんは、携帯のアプリなどでハンドとハンドの勝率を調べるソフトは使ったことはあるでしょうか?オールインで決着がついた後で、実際はどちらが有利だったのか気になって使った人は多いでしょう。

エクイラボのようなソフトは、それをレンジvsレンジハンドvsレンジで計算することができます。

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BTNのオープンに対してBBがコール、ボードはAK2レインボー(スート、マークがそろっていないこと)です。
BTNが高いEQUITYを誇っていることがわかります。
BTNのレンジは目の前のボードにマッチしています。もしこのようなボードで自分が全くヒットしないハンドを持っていたとしても、BTNはポジションとレンジの高いEQUITYを生かして有利にプレイを進めることが出来る可能性があります。

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自分がCBを打ったとして、ターン以降にBBのレンジにどのハンドが残っているのか、BBがフロップでコールしたレンジへ対する自分のレンジのEQUITYがどのように変化したのか勉強することは特に大切です。
このような考え方を養うことが、のちのGTO戦略を学習する際に大きな助けとなります。何故なら、GTO戦略は全てレンジ対レンジの戦略だからです。

もし、これらのソフトに触れたことがないという方はぜひ使ってみてください。ちなみに、Pokerstrategyエクイラボはフリーソフトです。

エクイラボやFlopzillaの詳しい使い方についてはこちらのブログが参考になります。
「PioやGTO+を使わない座学」

簡単なゲームでGTO戦略の仕組みを知る

GTO戦略がどのような理屈に基づいて成り立っているのか、ミニゲームを使って理解することがおススメです
一般的に「AKQゲーム」「AKOJゲーム」「トイゲーム」と呼ばれるものです

もっとも初歩的なAKQゲームについて、こちらのブログを参考に説明します
元ゲーム理論専攻の自分がGTOを説明してみる(Part2)

ルール
・プレイヤーは2人、OOPとIP
・どちらも優れたプレイヤー
・お互いアンティを$1ずつ払う(最初のポットは$2)
・お互いのプレイヤーへ3枚のカードから1枚ずつ配られる
・カードはA、K、Qの3枚
・ハンドの強さはA>K>Qの順
・OOPには必ずKが配られ、IPにはAかQがランダムに配られる
・OOPは必ず先にチェックする(強制)
・IPはチェックするか$1ベットすることを選ぶ
・通常のポーカーと同じように、OOPがIPのベットにフォールドした場合はIPがポットを獲得する、OOPがIPのベットにコールした場合はショーダウンし、勝ったプレイヤーがポットを獲得する、お互いがチェックした場合はショーダウンして勝ったプレイヤーがポットを獲得する、OOPはIPのベットに対してレイズできない

このゲームで、ナッシュ均衡になっている戦略(=GTO戦略)を調べてみましょう。

読んだだけでは分かりづらいですが、このゲームはホールデムにおけるリバーの状況によく似ています。
OOPは中間のハンド(K)を持っていて、IPはナッツ(A)かエアー(Q)を持っています。$2のポットに対して$1を支払うわけですから、ポットの1/2サイズのベットしたのと同じ状況です。

IPはAを持っているときは100%の頻度でベット(バリュー)します
ナッツは必ずベットしますが、バリューハンドだけでベットすると相手が全てフォールドすれば良くなるので利益が得られません。従ってエアーのQでも一部ベット(ブラフ)します。

ここで、「相手が自分からこれ以上EVを取れない」戦略とは、「相手の各戦略のEVを同じにする」戦略のことを指します。
ナッシュ均衡が成立しているとは、相手がどの戦略を取っても(コールしてもフォールドしても)、EVが変わらない状態であると考えれば良いわけです。

つまりIPの視点で、OOPがコールしてもフォールドしてもEVが変わらないようにしてあげれば良いわけです。
OOPがIPから$1のベットをされた場合、OOPがコールするために必要な勝率は25%です。
1÷(2+1+1)=1/4
OOPの視点では4回中1回より多い頻度でブラフをキャッチ出来ればコールが利益的なプレイとなりますが、OOPがちょうとぴったり4回中1回勝つような頻度でIPがブラフを混ぜてやることで、OOP側はフォールドしてもコールしてもEVが同じになります。
つまり、IPはAでベットする回数とQでベットする回数を3:1の比にしてやることで、ちょうど狙い通りの頻度でブラフを混ぜることができます。
最初の段階でAもQも同じ頻度でIPへと配られるわけですから、IPはQが配られたら33%の頻度でベットするわけです。

IPのGTO戦略 Aで100%ベット(バリュー)、Qで33%ベット(ブラフ)

対して、OOPはIP側と同じように相手がベットしてもチェックしてもEVが変わらないような頻度でコールをすることになります。
IPはAで必ずベットをしますからこれは変えようがありません。
OOPは、IPがQでチェックしてもブラフしてもEVが変わらないようにコール頻度を決める必要があります。
IPが1/2ポットサイズのブラフベットを成功させるためには、OOPが3回中1回以上の頻度でフォールドすることが必要です。
1÷(2+1)=1/3
つまり、OOPはちょうどぴったり33%の頻度でコールすることで、IPがQで行うチェックとブラフのEVを等しく出来ます。

OOPのGTO戦略 33%の頻度でコール

詳しい計算の紹介は省きますが、そうした結果IPは1ハンドあたり1/18のEVを稼ぎ続け、OOPはマイナス1/18を失い続けます。
今回のゲームでは、OOPはどれだけ最適な戦略を取ってもIPがGTO通りの頻度でベットしてくる限り負ける運命にあります。

このAKQゲームで学べる内容は例えば以下のようなことです

・中間のハンドはベットしない。
・IPのナッツハンドは必ずベットをする。
・エアーハンドによるブラフも、中間ハンドによるブラフキャッチも適切な頻度で行う。
・その頻度は、(エクスプロイトでなく)ナッシュ均衡上では相手のプレイがどちらを選択してもEVが同じになるようにする。

引用元「元ゲーム理論専攻の自分がGTOを説明してみる(Part2)

AKQゲームのようなミニゲームを利用して、GTOの原理がどうなっているのか理解することがツールを購入することよりもより重要です。

GTO戦略におけるよくある誤解として、
「GTO戦略はお互いにナッシュ均衡を理解していないと成立しない」
「GTO戦略を守るだけでは利益にならない」
といったものがあります。

これも、AKQゲームを理解することで誤解を解くことができます。

今回のAKQゲームによるIPのEVを計算し、Excelに各頻度ごとに出力しました

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OOPもしくはIPがそれぞれナッシュ均衡の頻度を守ることで、お互いの相手はそれ以上搾取できなくなり、一定のEVが保証されていることがわかります。
参考「AKQgame(GTOって何?)

また、OOPのブラフキャッチ頻度が高ければIPがブラフの頻度を下げることでEVをより稼ぎ、逆にIPのブラフの頻度が高ければOOPもブラフキャッチの頻度を上げることでEVを取り返す(=表計算上のIPのEVが下がる)ことがわかります。
これは、こちらもGTO戦略から一旦離れることで、GTOから乖離している相手からより多くのEVを得るための方法でもあります(=Exploit戦略、搾取戦略)。
GTO戦略を勉強するときは、この構造を常に頭の片隅に置いておく必要があります。現実の対戦相手はほとんど全員がGTOから乖離しているので、我々はGTO戦略を基準として相手をより搾取する戦略を考えるべきなのです。

実際にGTOwizardを使う際の注意点

では、具体的にGTOwizardを使うにあたってどのようなことに注意すれば良いでしょうか?

例としてBTNvsBBのハンドを示します。
BTNオープン、BBコール、ボードはAsKh2d
GTOはフロップでBTNにポットオーバーベットを選択させるシチュエーションです。
理由はBTNのBBに対するEQUITYが圧倒的に高く、さらにBTNはナッツ級のハンドをBBよりもずっと多く持っているからです。BBはBTNのオーバーベットに対してほとんどチェックレイズで攻撃できず、AxとKxと一部のガットショットストレートドローでコールする戦略を取ります。

ターンはKc
GTO戦略では、今度はBBが攻撃する番です。
なぜなら、BBのレンジにはKのトリップスが多く含まれているからです。

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BBは多くのレンジで小さいドンクベットを打つ戦略をとります。
チェックの頻度は24%しかありません。

しかし、実践で目の前の相手はチェックをしました。
マイクロレートやライブゲームで、多くのプレイヤーが適切にこのボードで小さいサイズのドンクベットを打てるでしょうか?
GTO戦略はレンジごとのEQUITYやナッツの量によってはしばしばドンク戦略を取りますが、ドンクベットは以前より「馬鹿なベット」という印象が強く、基本的にレクリエーショナルプレイヤーは好まないことが多いです。
つまり、現実でドンクしなかった相手のチェックレンジは、GTO戦略よりもずっと強いことが多いはずです。

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GTOでは、BBのチェックに対してチェックレンジを作りますが、20%くらいの頻度で大きいサイズのベットを打ちます。
あなたは、現実の相手に対して大きなサイズのベットを打つべきでしょうか?ポットの半分であればどれくらいの頻度でベットすべきでしょうか?

このように、現実の相手はGTO戦略など知りませんし、むしろすさまじく乖離していることすらあります。
現実に相手から食らうターン・リバーの大きいサイズのベットにブラフが全く含まれていないという経験をしたプレイヤーは多いのではないでしょうか?
サイズが大きいベットにもGTOはしっかりとブラフを入れますし、それに対するブラフキャッチレンジも作りますが、現実の相手のベットはほとんどの場合バリューに偏っているでしょう。マイクロレートやライブゲームであればなおさらです。

GTOwizardの最大かつ致命的な欠点は、この相手の乖離に対応しづらいということです。あらかじめ計算された結果を迅速に閲覧することはできても、条件を変えて再計算することには対応していないからです。
GTOwizardで搾取的なプレイを考える場合には、人間がそれぞれの知識を使って独自に考える必要があります。
このツールは、GTO戦略の学習を効率的に行えるという点において非常に優秀ではありますが、現実の相手に即した搾取プレイ(=よりEVを稼げるプレイ)を勉強するためにはやや不向きなのです。

GTO戦略をベースにしたハンド検討は、主に3段階~4段階に分かれています。

① GTO戦略を勉強する
② ①を基準として目の前の相手に対するExploit(搾取)プレイを勉強する
③ 相手がこちらのExploitプレイを逆手にとる戦略(カウンター戦略)を勉強する
④ 相手のカウンター戦略に対抗する戦略を勉強する

理想はこの4段階ですが、多くの場合マイクロレートのプレイヤーは②までの学習で十分だと思っています。
何故なら、相手がこちらのExploitプレイを逆手にとってカウンター戦略を仕掛けてくることはまれだからです。

しかし、②Exploitプレイまでは毎回のハンド検討でしっかりと学習しなくてはなりません。
GTOwizardを鵜吞みにして「わかった気になる」のがポーカーの学習において本当に危険なのです。

欲を言えば、GTOwizardの横にはソルバーを常に準備させておきたいです。
自分の脳内で②Exploitプレイまで考えられるようなハンドであれば問題ないですが、難解なハンドはやはりソルバーも併用して学習すべきだと思っています。ソルバーには相手のレンジを手動で固定して再計算をかける「ノードロック」という機能があります。これは②Exploitプレイを学習する際の大きな助けになるでしょう。

ソルバーはソルバーで使いこなすのが大変難しいソフトですが、個人が前提条件をいろいろと調整可能なので、時間こそかかりますがよりしっかりと理解することができます。

また、GTOwizardはより現実に即したハンド検討が出来るようにソルバーで個人が計算するよりもかなり多くの種類のベットサイズを設定して計算しています。
これが、しばしば計算結果の分かりづらさに繋がっていることもあります。
その際は、ソルバーでベットサイズの種類を絞ったうえで再計算させるのも良いと思います(最初は、フロップ30%-ターン70%-リバー70%のような1種類でも構わないと思っています。)。

※GTOwizardでは、よりGTO戦略の理屈を理解しやくするためにベットサイズの種類を絞ったソリューションも将来的にリリース予定です。

GTOwizardを最初に使うにあたって

最後に、はじめてGTOwizardへ触れる方におすすめの使い方をご紹介したいと思います。

まずは、無課金で毎日すこしずつ触れてみることをお勧めします。

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GTOwizardは無料でも主要な機能を使えます。

まずおススメしたいのはプリフロップソリューションの閲覧が無料だということです。
マイクロプレイヤーやライブプレイヤーにはプリフロップレンジを正しく構築できていない方が多い印象を受けます。

ソリューションというのはソルバーによる計算結果のことで、GTOwizardではタブからプリフロップのみいつでも無料で閲覧できるようになっています。かくいう自分も、GTOwizardのプリフロップソリューションを壁に貼って覚えるよう日々努力しています。

自分が、ポーカー初心者に何かを教える機会があったら、まずはプリフロップレンジをしっかりと固めることを教えると思います。それくらいプリフロップは重要です。
試しに、GTOはプリフロップをどのように戦うのか見てみましょう。

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BTNのオープンに対するSBのレンジです

意外にもコールレンジが狭いと思った方はいらっしゃいませんか?
そんな方は、ぜひGTOwizardへ無料会員登録をすることをおススメします。
マイクロレートやライブのプレイヤーにはSBで頻繁にコールしてしまう方が多い印象を受けます。
BTNはコールしてもポジションがありますし、マイクロレートはブラインドからスクイーズが飛んでくることもしばしば稀なのでまだ多少のオーバーコールは許されるかもしれませんが、特にSBはコールが多いとリークになりやすいと思います。

こうしたプリフロップレンジを覚えていない方は、まずGTOwizardで徹底的に粗を探すことをお勧めします。
オンラインポーカーであれば、壁に貼って見ながら打つのも良いと思います(決してオンラインポーカー中にGTOwizardのソフト本体を同時起動しないようにしてくださいね!)。

また、ポストフロップ以降の閲覧は1ハンド/日、PLAY vs GTOは10ハンド/日まで無料で使うことができます。
1つのハンドを納得がいくまで学習しようとすると、たった1ハンドでもそれなりに時間がかかります。
毎日1ハンド、その日のセッションで一番悩んだハンドを寝る前にGTOwizardで検討するなんて使い方はとてもありだと思います。

自分はGTOwizardを多くの人にまずは無料で使っていただき、便利なツールだと納得した人にこそ月額課金をしていただきたいと思っています。

そのうえで、自分のアフェリエイトリンクから登録していただけるならこんなに嬉しいことはありません!(←宣伝です!)

こちらのアフィリエイトリンクから登録していただくと、初月のみ1割引で利用することができます。

ぜひ、あなたもまずは無料登録をしてポーカーというゲームの中で最も奥深いテーマの一つであるGTO戦略を学習してみませんか?
特典というほどではないですが、自分のリンクから登録していただいた方は無料会員であってもポーカーの質問にTwitterのDMで可能な限りお答えしたいと思います(GTOwizard以外の質問でも構いません、ただし自分の知っている範囲に限らせていただきます)。

自前のYoutubeチャンネル「汗だくポーカーチャンネル」のなかでも随時GTOwizardを使った座学を配信しています。
ぜひ、配信にも遊びに来てください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

汗だくポーカーチャンネル 2割引

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