ビジネスエリートになるための教養としての投資

▼投資家マインドが日本を救う
・日本は少しずつ、着実に貧しくなっている
→その流れを食い止めるには、一人ひとりが「労働者の思想」だけでなく「投資家の思想」を持つことが大事。

「投資家の思想」・・・
他の会社の動きや世界の動きなど、大局的な視点で自分の考えや決断を見つめること(=経営者と同じ意識)。

▼投資はビジネスの最良の教科書である

・自分なりの仮説構築→検証の思考癖を身につける。
→ビジネスは、数字やデータの扱いだけでなく、歴史観や価値観など、単なる知識ではない教養が必須であり、このプロセスは「投資」と同じ。

・投資をすれば働き方のマインドが変わる
→産業構造やA社の競争力の源泉、背景にある長期的な潮流など、株主の視点を持つことで働き方が変わる。世界の見方が変わり、そこで得た知見はビジネスや実生活で生きる。

▼「労働者2.0」であれ

・労働者1.0・・・
労働者としてのマインドセット(使われる側)しか持っていない。
資本家にひたすらこき使われる立場。
自分の時間と才能を切り売りして利益を得ている状態。

・資本家・・・
自分で課題を見つけ、変化する力を持った人。
その力を発揮するために、物事を構想し産業構造を理解し、広く世界を知ろうとする意欲を持っている。

・労働者2.0・・・
「労働者1.0」の「他人に働かされている」ではなく、「自分で働いている」というマインドセットを持つ人。
自分の才能を搾取されるのではなく、「自らアピールして誰かに売る」、つまり、物事に対応するのではなく、
自ら問題を発見し、行動する力を持った人。
自ら積極的に動けるために、コミュニティ外の人脈やスキルも伴ってくる。

▼貧困は遺伝する

・「労働者1.0」の親は「労働者1.0」のマインドセットを持っており、「労働者2.0」的な思考を教えないから伝染する。

▼投資とは
・投資とは、自分が働くのではなく、投資先の人に働いてもらうことで、そこから生じた利益の一部を分配してもらうこと。

・投資先の事業を営む人に投資をすることで、その事業から生まれた利益の一部を得ること(=労働者2.0)。
→投資(=事業の支援)により、「自分より優秀で、稼いでくれそうな自分以外の誰かに(仕組み)に働いてもらう」ことと同じ。
e.g.) ソフトバンクに投資をすることは、その事業を信任し、孫さんに働いてもらっているのと同じ

▼人生100年時代の選択肢

・かつての死亡年齢であった80歳を超えて100歳まで長生きする分の支出増分を労働期間準備する必要がある。
→高齢まで働くという選択肢は、体力、知力面の低下により企業&日本経済の競争力を下げ、理想的ではないではない。
→自分の才能を伸ばして収入を増やすこと以外に、手立てを考える必要がある。

・・・超低金利時代に預金をしていても利益が生まれないため、投資をして「他人に働いてもらう」ことで利益を確保する。

▼「有能の境界」を意識する

・精神的な問題を含め、世の中の大半の問題は自分がコントロールできない範囲まで、自分の関心を広めることから発生する。
→投資においても同様で、事業環境や競争優位性など事業の経済性を分析することは「有能の境界内」であるが、
他の投資家の売買によって左右される株式の需給は境界外にあり関与のしようがない。
「当たり前にやるべきことをやる」というスタンスが重要。コントロールできるのは自分の将来のみ、とわきまえて優先順位をつける。

【メモ】
・長期趨勢的に株価の下落が続いている場合は、その会社にネガティブな本質がある。
・自己投資、株式投資のいずれも、短期で効果を得ることは不可能。
時間とともに効果が雪だるま式に増える「複利効果」を利用し、長期的な投資が重要。
・「能力」「お金」「時間」の兌換性は社会人になると上がる。
→若くて時間のあるビジネスパーソンは、自己投資をして、自分が働く場合の単価や選択肢を広めておくことが重要。
→徐々に生まれる経済的な余剰分を株式投資に回すことで、他人の労働からもキャッシュフローが得られるようになる。
・企業の本質的な価値とは?・・・「社会に付加価値をつけること」。

▼日本は貧しくなっている

*日米の個人金融資産の差(人口の差はあるが・・・)
・1995年 日:1182兆円 米:2343兆円
・2019年 日:1864兆円 米:9855兆円

日米の差
・1995年時点・・・約2倍
・2019年時点・・・約5.3倍

同様の比較は、フランスや韓国との間でも確認ができる。
近年のインバウンド成長も、日本の観光資源の評価+経済成長が止まっており安く旅行できることが背景

【原因】
・個人金融資産における貯蓄の割合
日:約53% 米:約13%

・株式の割合
日:約10% 米:約34%

・・・
個人金融資産における株式の割合は、株価上昇によってもたらされる個人の金融資産の総額に大きく影響した。
また、米国では投資が根付いており、業績により企業の株式が連動して上がった。
しかし、資産の半分以上が預金として眠る日本では、日本企業の株式も上がらずに株式保有者の金融資産の増加にも限りがあった。

▼資本家マインド

・バフェットの言葉「投資してから5年は保有し続けることを想定して購入する」
→株価の動きで投資先企業を選ぶのではなく、永続的に利益を生み出す事業モデルを持っているか?という視点で投資先を決めている。

長期的に育つと思われる事業分野に資金を投下し、念入りに経営をサポートし、その事業分野を大きく育てることに専念することが投資家のマインド。種をまいて、水やりや草むしりをし、丹念に育てるイメージ。

・未来の経済環境、景気動向、、商品の売れ行きなど、様々な見通しのもとで、投資の判断を行う。
→投資先が設備や人材か、株式なのかが違うだけで、根本は経営者としての目線である。

▼稼ぐとは

・頭を使った労働(投資)であろうと、体を使った労働であろうと、「収益」「給与」とは、自分以外の誰かに提供した価値の対価である。

▼投資と投機の違い

農地に例えると・・・
*投資:この農地からどれだけの農作物が得られるか →継続的なビジネスが成功するかどうか *育成的な性格
→企業の力を見極めて、長期で育てていくこと。

*投機:この土地がどれくらい値上がりするか →単にその農地が値上がりするかどうか *マネーゲーム的な性格
→細かく売り買いして差分を収益とする日本株は投機的な側面があり長期投資が根付かない結果、投機的なマーケットになっている

【メモ】
・株価は短期的に見ると、その時々の人気によって上下にぶれるが、長期的な趨勢は収益の増え方と一致する
→一部分の些末な動きに一喜一憂せずに、一定の時間軸の中でトレンドを評価する

・「先進国型のビジネモデル」→サービスも含めた総合力で顧客の課題を解決する

・いかに自分たちのビジネスをに高い参入障壁(真似されにくい仕組み)を作るかが肝要。

・株価が合理的なレベルよりも値下がりした場合
→バフェット曰く、「悲観は友達」。株の保有者から見れば下落はリスクであるが、これから買う側からすれば割安に買えるチャンス。投資後のリスクも小さくなったと考えることができる。

▼営業利益は課題解決の対価

・株式投資において最も重要なのは、「会社の利益」&その利益を守り増やしていくための「参入障壁の高さ」
→儲かる仕組みがあって、その仕組みが他社に崩されない参入障壁を持っているか

「利益」とは・・・
お客さんにとっての課題を発見し、解決すること得られる対価。利益が上がり続けるのは、人々の課題をどんどん発見し、解決している人。
→多くの人の課題を解決することは、より良い社会を作るための社会貢献的な側面もある

▼強靭な構造を持つ会社とは

・投資は構造的に強靭な会社に対して行うべきで、3つの要素に支えられている。
この3つが弱まらない限り、その株式を保有すべき

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1. 高い付加価値
→「本当に世の中にとって必要か?」ということ。
e.g.) ディズニー・・・映画や遊園地以外に、「大切な人に喜んでもらう」という顧客の課題を解決している。

2. 高い参入障壁
→「今更その人たちの向こうを張って勝負をしよう、と思わせない圧倒的な強さ」。
研究開発投資、設備投資、人材投資は参入障壁を高くするために行われる。
e.g.) コカ・コーラ・・・牙城を崩すには、大規模な生産設備と販売網の構築、ブランディングの莫大なコストが発生する。
→震災やコロナ等、経済全体がダメージを受ける場合は、一時的に利益が出なくなった場合も、参入障壁が蝕まれておらず相対的な優位性を維持していれば、競合が先に沈み、復活する。

3. 長期潮流
→「今これが増えている」「来年はこれが流行る」といった中短期的なブームな予想ではなく、普遍的で不可逆的(元には戻れない)なもの。例えば、人口動態や高齢化など、未来にことではあるが、予想ではなく事実として起こること。

人口増加(長期潮流)→長生きしたい(人の普遍的な欲求)→健康への需要増加
東京の人口増加(長期潮流)→少数世帯の増加→中食産業の発展
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・「高い付加価値」を持った会社が、「高い参入障壁」を確保すると、自分たちが得るべき利益をプロテクトし、利益を確保しやすくなる。
この段階に長期潮流が合わさることで、営業利益利益が出続ける仕組みができる。利益を増幅する仕組み。

・「高い参入障壁」も見つけて投資したら、それが色褪せていないかのチェックが重要。無くなっていたら、売るタイミング。
何を持って参入障壁が失われたかの分析が重要で、競争環境をチェックする。
e.g.) コカ・コーラ・・・長年の競争相手であるペプシ・コーラ以外の新規参入の競合がないため、シェア5割を安定して維持している。

▼株式投資で成功するコツ

・投資によりオーナーとなり、将来の利益の一部を得ようとしているので、大事なのは過去ではなく未来である。
その会社がどの程度利益を稼ぎ続けるかの将来の見通しが重要。
→過去の値動きで投資の判断をすることは、事業内容や利益の推移、参入障壁の有無の確認ができていないということ。

・利益が増え続けるのに必要な参入障壁を思案するなど、数値も用いた仮説構築が重要。
→会社の主力事業と長期潮流を掛け合わせて、仮説(問題)を提起してみる
*AIが浸透すると、様々な企業が頼らざるを得ない、一次データを持っている会社が強い(投資対象として魅力的)。

・株価指標の見方
PER・・・現在の株価が1株あたり純利益に対して、いくらまで買われているかを示す。
投資した元本の回収にかかる期間とも考えられ、「投資回収期間」と同義。
→将来的に、その1株あたり純利益を維持できるかが投資にあたり重要。株式利回りによって判断も可能。
→いくらPERが低くても、将来的に利益が増える構造でなければ長期投資には向かない

・PERと利率が一定の債権を比較する場合は、PERの将来性と債権の安定性を比較する。
e.g.) 利回り5%の株式か、利回り2%のアメリカ国債か・・・

・買うタイミングを分散させる
→パーフェクトなタイミングは誰にもわからない。ポジンションを取る、外すに関わらず、分散させる。

・長期的な競争力
→自己資本比率が高く、借入金の割が低い「財務レバレッジ」が低い会社は長期的な競争力を損ないにくい。

・高い参入障壁
→震災やコロナ等、経済全体がダメージを受ける場合は、一時的に利益が出なくなった場合も、参入障壁が蝕まれておらず相対的な優位性を維持していれば、競合が先に沈み、復活する。