見出し画像

パレットクラブ日記 第9回・前田ひさえ先生「映画のポスターを描く」

※パレットクラブスクール「イラストコース」(23期)の授業内容の備忘録です。これまでの授業内容はこちらから。

スクール第9回のお題は「映画のポスターを描く」。イラストレーターの前田ひさえ先生からの課題だ。好きな映画を選んで描いていいとのことで、自分の好きな映画を書き出してみた。

まずは映画選び

真っ先に思い浮かんだのは、黒澤明の『天国と地獄』。子どもの頃見て衝撃を受けた映画のひとつだ。いやでも、劇画調のポスターを描く腕前はないだろ。次。

2番目に浮かんだのは、スタンリー・キューブリックの『シャイニング』。ああ、また見たいなぁ……と定期的に思う映画のひとつだ。いやでも、ジャック・ニコルソンのインパクトを超えるポスターとか無理だろ。次。

……と考えてはみるが、いまいちピンとくる作品が思いつかない。
ひとつ思ったのは、好きな映画に画風を寄せるより、自分の画風にあった作品を選んだ方が良いのではないか?ということ。ほのぼの柔らかい感じのタイトルで、まず描いてみたのがこちら。

画像1

『犬と私の10の約束』。イラストのタッチからして、動物ものは路線としてアリかもと思う。でも描いてみたはいいけど、絵に必然性が感じられないし、そもそも私はこの映画を見ていない。というわけでボツ!

ここで夫からアドバイス。映画館へ行くことはあまりないが、夫が録画してくれた映画を週に1〜2本見ているので、最近見た中から選んだらどうだ?と言ってもらう。

直近で見たのは、高良健吾主演の『横道世之助』だった。主人公と周囲の人々が織りなす、少し寂しさもある人間ドラマだ。主人公の善良さを、子どもが描いたような大胆なタッチで表したら面白そう! ピンときた。チャレンジにはなるが、やってみたい!
墨書きで2〜30パターン顔を描き、あれこれ配置した中から最終的に落ち着いたのがこちら。

画像2

コピーは実際のポスターからお借りした。まぁまぁ、イメージ通りに仕上がったと思う。書き文字も良い感じに書けたので、これを提出することにした。

でもやっぱり…

1つ出来上がって安心はしたものの、せっかくなら自分の好きな映画でも描いてみたい。『シャイニング』は、ジャック・ニコルソンの表情は無理でも、映画のシンボルでもある双子の少女ならいけるんじゃないか? と思いたつ。描いてみたラフ画がこちら。

画像3

双子の少女の後ろに長方形を配置し、画面奥から手前にかけて空間が感じられるようにした。Illustrator でざっくりと描いたが、ブラシの粗いタッチに亡霊感があってなかなか悪くない。しかし、本作を見たことがないという夫に見せてみると「怖さは感じない」とのこと。うーん、これじゃ弱いか。


四六時中課題について考えていると、ふとした瞬間にアイデアが降りてくる。少女でホラーときたら、「人形」があるじゃないか!と思いついたのが買い物中の車の中。双子の少女を人形に見立てて描いたら、怖くなりそうだ。

画像4

点描で陰影をつけることでホラー感を出した。白い線で描くよりも濃い色の方が効果的に見えたので、配色を変更。メインカラーは少女たちのワンピースの色からとった。まぁまぁ、怖く仕上がったかな? 

今回はこれらの映画ポスターの他、これまで描いた作品で気に入っているものを2点持ってくるように、とのことだったので、最近描いたお年寄りのイラストも持っていくことにした。

前田ひさえ先生の講評

先生は、若くて綺麗な女性だった。あら素敵、と思ったのも束の間。1人目の講評からビシビシと指摘が飛ぶ。わ!厳しい先生だ!……ちょっと嬉しい。どうせなら、いろいろ言ってもらえた方がいいもんね。高まる期待!

いよいよ床山の番がやってきた。

画像5

画像6

現在、タッチの模索で迷子中であること、最近は「無理なく描ける絵」として主線が太めの人物画を描いているということをお伝えした。

先生からのコメントは以下の通り。

・器用。同じ人が描いているようには見えない。技術がある。
・いろいろ描くのは良いこと!
・『横道世之助』のようなダイナミックな感じでいくとしたら、それなりの鍛錬は必要。
・『シャイニング』は、色数を抑えてよく整理されている。このタッチも良い感じだけど需要はないかな…?
・シニアの絵……色の選び方が直感的な気がする。いろいろ描いて選択するといい。アイテムの置き方はこれでいいのか?人物を線画にして、背景は違う風にしているが、それがベストなのか?選ぶようにするといい。

わー、まさに!という感じ。映画ポスターの方はラフ段階からいろいろな選択を経て最終版に至っているが、シニアのイラストは、描きたいように描いて、描きっぱなし。試行錯誤の跡があまりない。見る人が見ると、やっぱりわかるものなんだなぁ。

先生は他の受講生にも、イラストを描くのは選択の連続だということをおっしゃっていた。描いたらそれでヨシとしないで、いくつかパターンを考える習慣、普段からつけておきたいと思う。
今回もためになるアドバイスがもらえて、ホクホクの床山です。


(おじいちゃんの絵、色変えパターン)

画像7


いただいたサポートで、少し美味しいおやつを買おうと思います。明日への活力です。