2022年上半期に読んだ本ランキング
2022年もついに8月、しかもあっという間に下旬ですね。
皆さま、暑い夏をいかがお過ごしでしょうか?
私はもっぱらインドア人間なので、部屋にこもって読書にふける日々でございます。
ということで、今日は
『2022年上半期に出会った本の中で、読んでよかった小説ランキング』
を発表します!
私が2022年上半期に読んだ本の中で、「これは最高!」「とにかくすごいから読んでほしい!」「面白すぎてやばい」と、語彙力を失うぐらいに感動した本たちを、ランキング形式でぎゅぎゅっと厳選してお伝えします。
私が2022年1月~6月に読んだ本が対象なので、新刊であるとか、文庫だとか、そういうのも縛りはなく、全部ごちゃまぜです。
(本当は7月中に記事をあげたかったのですが、てんやわんやでこのようなタイミングになってしまいました。。。)
まずランキングを発表する前に、私の好きな作風・傾向をお伝えしますね。
・重め、しんどいのが好き
(残酷な展開、バットエンド、メリバも大歓迎)
→基本ずっしり重たい話が好きです。あと、エロやグロにも耐性があるので、そういった描写のある本も読みます。
・じっくり心理描写が描かれているものが好き
→例えばミステリーとかだと、どんな奇抜なトリックが仕掛けられているのか、よりも、登場人物たちの心情を細かく丁寧に描いてくれるような作品のほうが好きです。
では、そんな私の独断と偏見によるランキングはこちら!!
おぉ~! 思っていたよりも、ジャンルとかテーマがバラけてる気がします。読書家としては嬉しい傾向です。ただ、明るいお話がまじで少ない~~(笑)すみませんね、根暗人間なもので。
実は、今年は初めてBL(ボーイズラブ)小説にチャレンジした年なので、BL本も何作かランクインしてますね。(BL作品は☆)
また今年は、本屋大賞ノミネートの10作のうち、8作を読了したので本屋大賞ノミネート作もランクインしてます。(本屋大賞ノミネート作には◎)
では、10位からひとつずつ紹介していきます~。
10位 灰の月(木原音瀬)☆
これは本当にね……メンタルをぶち壊された作品です。苦笑
もう読んだ次の日とかね、ダメージで「あぁ、あぁ……」と、変なうめき声をもらすゾンビ状態になってました。2022年、わたくしすずちんの『トラウマ本』に認定いたします。笑
本作のジャンルはBL。はっきりいって全く初心者向けじゃないので取扱要注意。しっかりと闇耐性があって、BLをある程度履修した、上級者向けの作品といっていいでしょう。
本作からイメージするキーワードを挙げてみると
執着、依存、嫌悪、血、抗争、快楽、愛のない性行為、痛み
……このあたりでしょうか。もうすでにだいぶヤバめな作品の匂いがしますね。笑
そんな今作なのですが、私なりに考えて、こんなキャッチコピーをつけてみました!
裏社会で生きる、とある二人の男性の恋愛模様を描いた作品なのですが、「これ、恋愛モノって言っていいの?」ってぐらい、愛はないし、ひたすらしんどいし、なのにズブズブとお互いがお互いの沼にはまっていってしまうんですよね。もう痛々しすぎて見てられないよ……。
後半のあるシーンがあまりにも残酷でキツすぎて、そのシーンを読んだ瞬間、「嘘やろ……」と天を仰ぎ、思わず本をぱたんと閉めてしまいました。長いこと読書を嗜んでいる人間ですが、こんなふうに展開がきつすぎて本を閉じた経験はこれが初めてでした。笑
本当に精神をえぐられました。読み終わった後、二日ぐらい寝込みました。まじです。
ぜひ、我こそは闇の腐女子! という方は挑戦してみてはいかが?笑
9位 君の顔では泣けない(君嶋彼方)
ランキングを作ろうと思ったときから、必ずランクインさせようと思っていた作品です。
それぐらい面白かったし、考えさせられたし、魅力的だった。今年の元日に一気読みした思い出深い作品です。
この作品は「男女入れ替わり」をテーマにした物語です。詳しいあらすじや感想に関しては、こちらの記事で紹介しています。
8位 姑獲鳥の夏(京極夏彦)
きました! 大御所作家・京極作品!
ミステリのトリックは強烈。そして何より私が今作に惹かれた最大の理由は、個性的なキャラクターたちです。
特に探偵役である京極堂がまじで好きすぎました(笑)
『姑獲鳥の夏』に関しては、こちらの記事でまとめてます。
7位 ラブセメタリー(木原音瀬)
もう尊敬の念というか……「生きててくれて、小説を書いてくれてありがとう!!!!」って心から感謝したくなるくらい大大大っっっ好きな、木原音瀬先生の作品。
10位で紹介した『灰の月』も含め、今回のランキング10冊中、3冊が木原先生の作品です。
『小児性愛』というかなりセンシティブでヘヴィーなテーマを扱った今作。
読んでいる最中「うわぁ……やべぇ、やべぇ……うわぁ……」しか言えませんでした。笑
しかも、読み終わってからもその余韻から全く抜け出せず、「あぁ……」と、呆然とし、ふと、『ラブセメタリー』のことを思い出させられ、考えさせられる瞬間が多々あり、『ラブセメタリー』に背後霊のように取り憑かれてしまった私です。
特にラストシーンが衝撃的というか、驚愕というか……もう、ね……(苦笑)
全く予期していなかった物語の締めくくり。死角から容赦なくぶん殴って、強烈なインパクトを残していくのが、天才・木原なんです。
残酷で、エグくて、しんどい。だけど魅了されてしまう。
それが木原先生の真骨頂であり、読者である私たちの胸にどこまでも深く深く突き刺さってきます。
6位 正欲(朝井リョウ)◎
『読む前の自分には戻れない』という強烈なキャッチコピーがつくほどの話題作。
これは、私が読んだ本屋大賞ノミネート8作の中で、一番読むのに時間がかかりました。
なぜなら、朝井リョウ先生の紡ぐ文章ひとつひとつ、登場人物の心理描写、台詞ひとつひとつに、怒りや悲しみ、痛み、諦めのような負の感情が乗っかっているから。
毒を塗った刃で胸元を何度も切られるような……そんな、心に「うっ」とくるような感覚。
この作品で取り上げているテーマが「多様性」であり、もっと突っ込んで言えば「性的嗜好」のお話。
普段私たちが目を背けているものを真正面から突きつけて「ほら、これ、あんたたちが普段毛嫌いして、汚いと思ってるものだよ。ねぇ、このことをさ、あんたは、どう思うわけ?」と、迫られているような……。
自分の幼稚さ、未熟さ、視野・思考の狭さが読み進めていくごとにどんどんあぶりだされていき、読み終わった後、自分がどれだけ偏った価値観で、世界や世間、そして他人を見つめていたのかを、まざまざと突き付けられました。
こちらの作品、本屋大賞では4位だったのですが、私が書店員ならば間違いなく1位に推していました。それぐらい強烈で、驚愕で、己の持つもの全てを揺さぶってくる傑作なんです。
また、もし『正欲』を読んでる人がいたら、絶対、7位の『ラブセメタリー』もセットで読んでほしいです。
「性的嗜好」を取り扱っているという点で近い部分があり、また『正欲』でも『ラブセメタリー』でも「小児性愛」が重要なキーワードになってくるので。
『正欲』でぶん殴られた人は、『ラブセメタリー』にも殴られてしまうべき。笑
5位 スモールワールズ(一穂ミチ)◎
発売当初からかなり話題になってた今作。タイミングを逃しまくり、本屋大賞ノミネートになった段階でようやく手に取りました。
『家族』や『人間関係』についての短編集が五作、収録されています。タイトル通り、スモールワールズ=小さな世界の中の、人々のありふれた日常が描かれています。
これ、読んだ人の中で「どの作品が好きだった?」と話題になりやすいんです。
なぜかというと、一作ごとに、全く毛色が違うから。
ゾクッと背筋が凍るものもあれば、爽やかな読後感のものもあり、胸をぎゅっと締め付けられるような切ないお話もあり。本当に「これ全部同じ作者さんが書いたものなの?」と疑いたくなるくらい、一作一作のカラーが全く違うんです。
ちなみに私は五編目に収録されている『式日』が一番好きです。
「あぁ、なんか現実ってこうだよね……」と、なんとも言えぬ切ない独特の余韻、物語の締めくくり方に虜になってしまい、読み終わった後、本を片手に三十分ぐらいぼうっとしてしまいました。
4位 『美しい彼』シリーズ(凪良ゆう)☆
ランクインした10作品の中で、唯一の明るい作品です(笑)
こちら、超超人気のBL作品なのですが、実は読んだことなかったのです。
そして読んで思った。
「やっぱBLって最高ー!! おもろーい!!」って。笑
ドキドキきゅんきゅんあり、恋愛における切なさもちょっぴりありつつ、最後は「あーもう最高ですね」と、ニマニマしてしまう、BLのよさをぎゅぎゅっと詰め込んだ王道恋愛ストーリー。
「BLって興味あるけど何から読めばいいかな……?」っていう初心者さんはこの作品から入るのはかなりおすすめです。
ちなみに去年、実写ドラマ化して元々あった人気と知名度がさらに爆発しました。ドラマも最高に面白くてきゅんきゅんできるのでぜひ!!!
3位 残月記(小田雅久仁)◎
本屋大賞ノミネート作の中で、かなり異質な雰囲気を放っていた今作。
ノミネートの10作が発表された段階で、読書家の間では「完全ノーマークだった」という声が多数。
終始ダークでシリアスな雰囲気が漂っており、紡がれる文章も重厚感たっぷり。決してさらさらーっと気軽に読めるタイプの本ではありません。
月にまつわる小説が三編収録されており、一番最初の作品を読んだ時点で私は、「あー、この本、自分には合わないかも……」と、正直、思っておりました。
ただ、一番最後の三篇目に収録されている作品の評判が高かったので、「よし、その作品はとりあえず読んでみよう」と重い腰を上げて読みました。
そしたら……もう圧倒、圧倒、圧倒。
読み終わった後は、もうその世界に飲み込まれすぎて、全く抜け出せない。頭だけでなく、身体全体が物語の中に飲み込まれて、身体じゅうに様々な感情が渦巻いて、壮大なスケールに細胞全部が感動して。
すごい。こんな読書体験したことない――と、心の底から震え上がりました。
緻密に設計された世界観の中で繰り広げられる、血と汗が縦横無尽に飛び交う肉体バトル、ディストピア的な管理社会・独裁政権……その中で、ひっそりとそびえたつ、とある男女の切ない恋愛関係。
あーこれは素晴らしい作品に出会ってしまった。これはすごい、すごすぎる。
と、本気で感動しました。
本屋大賞にノミネートされなかったら絶対に出会えてなかった今作。この作品に投票してくれた書店員さんに心の底からありがとう、と言いたくなりました。
そして。
例年だったら、この残月記がダントツ1位なんですけどね……
今年は1位と2位の作品が、私の中で『殿堂入り』してしまうぐらいの素晴らしい作品だったので、紹介していきます!
※※※『殿堂入り』作品は、十年に一度、出会えるか出会えないかぐらいの稀有な作品です※※※
2位 魔道祖師(墨香銅臭)☆
中国発のファンタジー小説。メディアミックスにより、日本を含めた世界中で大ヒットしまくっている作品。
この作品を読みながら
「こ、こんなに面白いBLがこの世に存在するのか……!!!」
と、何度も何度もこちらの予想を超えてくる面白さに、とにかく圧倒されまくり&驚愕しまくりでした。
今作は確かにBL小説ではあるのですが、作中でたびたび起きる奇怪な事件の謎を主人公たちが追っていく、という部分が話の本筋になっており、男性同士の恋愛的な絡みは、いわゆる枝葉の要素になっています。
しかも、全四巻でありながらBL展開が出てくるのは最終巻の四巻目だけ。なので「面白いファンタジー小説を読みたい」っていう人はまじで読まないと人生損しますよ。。。ほんとに!!!!!
……ちなみに『面白いファンタジー小説』と謳いつつ、私自身は普段ファンタジーをいっさい読まない人間でした。
ただ、この『魔道祖師』という素晴らしすぎる作品に出会ってしまったおかげで、「普段読まないジャンルだからといって敬遠してはだめだ!!! 勿体無い!!」「もっと自分が読む小説の幅を広げねば!!!」と、読書に対してかなり積極的な意欲をもたらしてくれました。
魔道祖師についての魅力はこちらの記事でも語っているので、是非参考にしてみてください。
1位 箱の中(木原音瀬)☆
「私はこの作品に出会うために、BLを好きになったのではないか」
そう、本気で思わされた。
後半のあるシーンを読んだときの、後頭部をガツンと殴られたような感覚は、一生、忘れることはできません。
『愛』とは何か? という普遍的なテーマを、これほどかというほど、残酷に、切なく、そしてどこまでも美しく描ききった作品を、私は見たことがありません。
BLだから、と敬遠してしまわないで。お願いだから。
よく、素晴らしい作品を評するときに「神作」なんて言葉が使われますが、私にとっての神作は、この『箱の中』だと、自信を持って言えます。
読書後の強烈な感動に飲み込まれながら書いた記事があります。あらすじや詳しい感想もこの記事に余すことなく書いているのでぜひ。
【最後に】
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
書けば書くほど、作品に対する熱や感情が高ぶってしまい、とても長い記事になってしまいました。笑
この記事を通して、知らなかった作品・作者・ジャンルに興味を持ってもらったり、あなたがこれから体験するであろう素晴らしい読書時間の後押しになれば嬉しいです~。
そして、7月以降に出会った面白い小説もまだまだたくさんあるので、このアカウントで随時紹介していければと思っております!
ではでは! すずちんでした〜。
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