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【小説】放課後 #半笑いのポッキーゲーム ロングバージョン【1833文字】

高校時代の私達は今日も放課後
『漫画研究部』の部室で
ダラダラと各自
妄想と想像を垂れ流してあっていた。

部員は女子だけ。
下ネタなども交えながら
女同士気兼ねなく
笑いながら話すのは楽しい。

各々好きなお菓子を持ち寄り
全員が集まると
机にはお菓子の山ができていた。

部長が来ると
今日のメインテーマである
文化祭に出品する作品についての
話し合いが始まった。

部長を中心に
漫画担当、小説担当と役割を決めて
ページ数、締め切りを確認すると
再び、雑談が始まった。

しばらくたつと
3年生中心の会話に
1年や2年は先に帰る事を告げて
教室から出て行った。

部屋には私達
3年生だけが数人残った。

最後の文化祭
仲の良い仲間たち
弾む会話
大好きなお菓子をつまみつつ
私達は青春を満喫している。
文化系の青春も楽しいものだ。

夏休みも終わり、
日が落ちるのが早くなった。
教室も、太陽の強い日差しから
優しいオレンジ色に変わっていく。

弾む会話、そのうちに
一人、また一人と帰り始めた。
部長が、企画書をまとめて
持ち帰ると、教室には
私ともう一人だけになった。

そろそろ帰えろうか?
と私が口する前に
目の前に座る彼女が、
「リア充って、
ポッキーゲームするんでしょ?」
と問いかけてきた。

確かにさっきみんなで、
陽キャって何して遊んでいるのか?
なんて話題にして、あれこれ
話していた。

私達、陰キャにはわからない
世界があるねーなんて、笑いながら
陽キャが持ち帰り忘れていた雑誌を広げ
あれやこれやと盛り上がっていた。

私は軽い口調で
「陰キャの私達が、
ポッキーゲームとかしちゃう?」
と笑いながら言うと
ポッキーの箱に手を伸ばし1本取り出して
そのまま食べ始めた。
食べ終わる前に、

「やってみようか」
と、まさかの返事が返ってきた。

ポッキーを食べる手が一瞬止まる。

少女漫画だったら、
ポッキーゲームを口実に
キスする展開だろうなぁ、
なんて漫画脳で考える。

私もポッキーゲームに興味がある。

漫画のネタにもなるし
女子同士だし
軽い気持ちでやってみるのも
面白いかもしれない。

「お!?やってみようか!」
結構乗り切りで答えると
再びポッキーの箱から1本出し、
どちらから咥えるのが
正しいのだろう?
と考えて、取り出す際に掴んだ
チョコのついてない部分を
自分の口に含む。

半笑いのポッキーゲームを
始めようと、ポッキーを咥えたまま

「ん!」
と言いつつ彼女の方に
ポッキーを向ける。
結構、唇だけで支えるの
大変なんだなぁなんて
思いつつ、彼女を見ると、

窓際に座る彼女の頬が
オレンジ色の教室で
少し赤くなっているようにみえた。

身を乗り出し、
彼女の顔へポッキーを近づける。
嫌なら嫌だと自己主張する彼女なら、
冗談だったら
「冗談だよー。」と返してくれるだろう。

一人で、唇を突き出してる自分を
想像すると、早くギブアップと
笑いながら言う彼女に期待している。

プルプル震え始めた
ポッキーの端を彼女は口に含む。
そのままお互いで食べ始めるのが
ポッキーゲームらしい。

チョコのない部分から、
チョコ味がする所まで食べ始める私。
ギリギリまで食べすすめてもいいし
途中で折れるのもネタになる。
チョコの部分を口にした彼女は
ポッキーの端を咥えたまま、
私だけが食べ進める。

あと数cmポッキーが
残った所でポッキーは折れる。
私がかじってしまったから。

彼女の唇に残った数cmのポッキー。

彼女は、残ったポッキーを
口内に含むと、そのまま
私の唇に彼女の唇が重なる。

口を空けた状態の彼女の
口内から、舌先で私の唇を割り
チョコレートの香りが漂ってくる。

私も口を開くと
チョコ味がなくなるまで
数cmのポッキーがお互いの
口内を行き交う。
味のなくなったポッキーが砕けるまで、
唇は繋がったままだった。

お互いの口内、唾液と舌で
だんだんと形を崩していくポッキー。
お互いの舌の上でキュッと
小さく音を響かせ
粉々になったポッキーは
唾液と混ざりあい
原型を留めていないだろう。

ゴクッと、音をたてて飲み込んだのは
どっちだっただろう。

校庭でのサッカー部の声が
静かな教室にやけに響いて聞こえる。

クチュリと、小さな水音が
お互いの口内を行き交う。

もうチョコレートの味は
完全にしなくなっていた。

彼女の首に腕を絡ませたのは私だった。
角度を変え、口内に残った
破片を探すように舌先てなぞっていく。

もうどちらの口の中には
ポッキーは残っていないのに
お互い舌で口内をなぞり合った。



#半笑いのポッキーゲーム

たまにね、、、書きたくなるんですよ。
でも、全年齢対象にしたいので
この程度で(笑)

今回のお題に胸がときめいてしまいました。

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