「螺旋」から降りることはできるのか?:読書録「エレベーター」
・エレベーター
著者:ジェイソン・レナルズ 訳:青木千鶴
出版:早川書房
「螺旋」の概念を教えてくれたのは井上雄彦の「バカボンド」だったと思います。
「剣」を極める中で宮本武蔵が囚われた「殺しの螺旋」。
そこに囚われ続けるもの、降りるもの。
折に触れ、そのアナロジーが頭に浮かぶことがあります。
本書はアメリカの黒人少年が「ストリート」の<掟>に囚われ、その「螺旋」に取り込まれるのか、そこから降りて行くのか、わずか1分余りの「物語」を描いた作品です。
<掟
#1 涙
泣くな。
何があろうと、
けっして泣いてはならない。
#2 密告
密告はするな。
何があろうと、
けっして密告してはならない。
#3 復讐
愛する誰かが
殺されたなら、
殺したやつを
見つけだし、
かならずそいつを
殺さなければならない。>
ラップやポエトリーリーディングを思わせる斬新なスタイル。
このスタイルだからこそ語れるものがある。
伝わるものがある。
(原書で読むと、もっとかもしれません)
そして「決断の行方」は…。
好きです、こういうの。
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