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公安調査庁の「内外情勢の回顧と展望」が読み応えある。:読書録「公安調査庁」

・公安調査庁 情報コミュニティーの新たな地殻変動
著者:手嶋龍一、佐藤優
出版:中公新書ラクレ(Kindle版)

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読んで一番面白かったのは、紹介されている公安調査庁の「内外情勢の回顧と展望」。
HPで毎年報告されてるようなんですが、これが実に興味深かったw。
これは「おすすめ」。
もっとも公安調査庁が「思う方向」に誘導されちゃうリスクもありますがね。


本書自体は折に触れて出版されている手嶋/佐藤の対談本。
相変わらずお互いを褒め合うスタイルに辟易とするんですがw、なんか読んじゃうんですよね〜。
本書では「コロナ禍」を契機としつつ、国際的な諜報組織のあり方が変化してきている(単なる情報収集ではなく、政策決定への関与を深めている)状況を、「公安調査庁」と言う、あまり知られてない組織(僕も知りませんでした)を中心に語ってくれています。
戦前から戦後に至る、日本における「諜報組織」の歴史を概覧する感じですかね?
「ゾルゲ」から「金正男」まで。
その中心となるのが「陸軍中野学校の末裔」たる「公安調査庁」!…ってのはエンタメに寄りすぎな見方ですがw。


しかしこう言う本を読んでると、日本が国際情勢の中で「対米追随」で思考停止してて良かった時代は遠く過ぎ去りつつあるんだなぁ…と。
その流れの中で、「国民が幸福な生活を送るためには、何を実現しなければいけないのか」と言うことが、「理想」や「正義」とは少しズレたところで問われるようになってるんじゃないかなぁ。
「インテリジェンス」
って、まあ、その「ズレ」そのものみたいなもんだし。


「今」のリアリズムを考える上においては、割と面白いシリーズじゃないでしょうか?
「オススメ」って言う意味じゃ、「内外情勢の回顧と展望」の方が「オススメ」ですw。
(読み応えあり過ぎますが)


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