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思い出「夏の朝日」

【宿題と夏休み】

10歳の夏休み。

予定通り、山盛りの宿題が出た。

俺は、夏休みの宿題なんて、毎年ギリギリになって急いで終わらす。

毎日計画を立ててやる事なんて1度も無かった。

この頃の俺は、勉強する意味が解らずやる気も全然起きない。

勉強した事を実践や趣味に生かす機会が無く、勉強が無意味に感じていた。

夏休みは、宿題に加え、更に野外活動の宿題もあった。

それは、朝のラジオ体操、プール授業の参加、絵日記だった。

夏休みなのに、なんか休んだ気がしない程やる事がある。

この事を毎日やらないといけないと思うと、うんざりする。

だから俺は、考えるのを辞めて全く無計画のまま夏休みを過ごしていた。

この夏休みの過ごし方は、小学5年生の10歳になっても変わらない。

だらしない子供だ。

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【余計な事、余計な行動】

ある日の朝のラジオ体操。

ラジオ体操は、毎朝6時30分から近くのグラウンドで始まる。

それは、ラジオのラジオ体操の放送が朝6時30分に始まるからだ。

そして、地区係員のボランティアの人がラジオを持ってきて始まる。

この日もラジオ体操に参加する為、朝6時に起き、支度して向かった。

そうしたら、いつもは朝6時15分には来ているはずの係員がいない。

実は、ラジオ体操が終わたら係員にハンコを押して貰い参加した事になる。

その係員が居ないと参加したハンコを押して貰えない。

そうなると、不参加になってしまう。

でも俺は、係員が居ない事を言い訳に、今日は体操無しだと決めつけた。

そして家に戻って行った。

その事を父親に話したら、携帯テレビを持って行ってやると言い出した。

今日は、ラジオ体操無しで嬉しかったのに、やめてくれ!と思った。

そして余計な事を言ったと後悔した。

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【Let's dancing ! No,3 !】

そして6時45分。

俺と父親が到着した時、まだ残っている子供たちが居た。

でも、ラジオ体操の放送は終わったから、もう体操は無理だと思った。

でも、父親が携帯テレビをつけるとラジオ体操第3が始まるところだった。

そして、父親がラジオ体操をして行こう!と叫ぶと、皆体操をし始めた。

ラジオ体操第3なんて誰もやった事が無く、全員変な踊りを踊ってる。

ラジオ体操第3自体、不気味な動きをする体操だった。

みんな初めての体操で、更に輪をかけ不気味な動きをしてる。

そして、転ぶわ倒れるわで大騒ぎだ。

ここで奇声を発しても、全く違和感がない光景だった。

そして、ラジオ体操が終わり、参加の証明を貰わなければならなかった。

でも、いつもの参加印のハンコなんてない。

しかし父親は、こしゃくにもシャチハタを持って来ていた。

まさか、この俺の名前の鈴木印を押すのか?と思ったらその通りだった。

父親は、皆に参加印を押すから集まってこ~い!と叫びみんなを集めた。

そして、次々に鈴木印が押されていく。

俺は、学校が始まったら相当みんなに突っ込まれるだろうなと覚悟した。

その父親の行動が、恥ずかしくてたまらなかった。

次の日聞いた話だが、前日係員は寝坊したそうだ。


【小さくて大きな思い出】

俺の夏休みは、毎年どこも出かける事が無かった。

父親と母親は、仕事に行き、出かける暇もなくお金もない。

俺が友達と遊ぶ為、電話をするとよく友達に出かけるからと断られていた。

母親は、それをしょっちゅう聞いていたようだった。

夏休みも終わりに近づき、俺は結局どこにも出かけられないでいた。

そうしたら、今月分の仕事が終わったと言う事で、外食に出かけた。

普段外食なんて、滅多にできない。

俺は、凄く嬉しかった。

どこにも出かけられないから、外食にでもと連れってってくれたようだ。

しかも、3日連続で滅多に行けない外食に出かけた。

俺は、このあり得ない事態に少し困惑したが、凄く嬉しい。

ただ、外食しに行くだけでも十分だった。

これがこの年の、夏休み唯一の大きな出来事になった。

これが全然華やかじゃない、夏休み唯一の小さな思い出になった。

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