塊のお肉、食べますか?

「塊肉が欲しいから」と我が家のお肉を買って くださる方もいますが、断然スライス肉が人気 です。
セネガルに住んでいた時は、市場のお肉屋さん の店頭にぶら下がっている骨付きの大きなお肉 の塊の欲しい部分を指さし、「ココを 1kg」と 1 週間分のお肉を注文していました。お肉屋さ んが切って紙に包んでくれた塊肉を家に持って 帰って、筋や脂の入り方を見たり、実際に切っ た感触で、脂や筋の多いところ、硬 いところ、切 ったときに分厚くなってしまったものは煮込み 料理に、柔らかくて薄くスライスできたものは サッと焼いて食べる用に・・・などと献立を考え ながら保存の用意するのが当たり前な暮らしの まま日本に戻ってきました。
塊のお肉は丸ごと煮込んだり焼いておけば、食 べたい時に好みの厚さにスライスするだけで食 べられます。普段、スーパーではあまり出会わ ないので、ただ「塊のお肉」なだけでイベント感 がありますが、スライスのお肉の方がやっぱり 「すぐに調理できる」ので人気なようです。
お肉のほとんどは筋肉。良く動かす硬い部分も あれば、柔らかい部分もあります。筋肉に垂直 にカットすれば、食べたときに歯切れが良く食 べやすい。そうそう、鶏のムネ肉を想像してみ てください。胸肉は木の葉のような形、中心線 から放射線状に筋繊維が伸びています。柔らか く食べたかったら、筋繊維に垂直に包丁で切り ます。でも、繊維を短く分断することは肉汁も 流れ出やすくなります。逆に繊維に沿って切る と、繊維を噛みきるときに旨みが口の中に広が る。。。そんな意味のことが、世界中から取り寄 せた食材を販売しているお店のカタログに書か れていました。
我が家に屠畜場から戻ってくるお肉は、部位ご との大きな塊のお肉です。大きさが大きいだけ で、やはり鶏の胸肉のように、同じ1つの部位 でも場所によって筋繊維の太さや柔らかさ、脂 の付き具合、筋の入り方、お肉の色はグラデー ションがあります。目でも包丁から伝わる手ご たえでも変化を感じます。私が見て触れている のは大きなお肉の塊のはずなのに、山の稜線、 緑のグラデーションを見ているような美しさに 引き込まれます。
お肉の筋。調理方法で、筋が気になる場合とそ うでない場合、召し上がられる方の体調などで も異なるかと思います。煮込めば筋も美味しい。 ご注文の際に「脂少な目で」「筋付いていてもい いよ」など一言教えていただければ、ご希望に 添えるように心掛けます。 

2017年3月