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酒仕込みの風景 出羽ノ雪にて

すずきまき

わたしの住まう山形県の庄内地方には18もの酒蔵があって、日々、日本酒を愉しんでいる。ここに越して来る前、日本酒は『今日はどこまでも酔っていいよ!』と覚悟を決めた日にしか飲まなかったのに、最近では日々の食卓のお供になっているほどで、日本酒との付き合い方も随分と変わったようだ。それもこれも、庄内の日本酒は驚くほど飲みやすいものが多く、美味しいからに他ならない。


先日、鶴岡市の大山地区にある、出羽ノ雪 渡會本店へ取材に伺った。朝の寒さを物語る湯気がとても美しく、どこかとても厳かな空気の中で行われる仕込みの工程は、どこか神事のようにも感じられた。


幼い頃から、どうして神棚にはお酒を置くんだろうと不思議に思っていた。お墓に供えるお酒は、故人が酒好きだったから好みに合わせて置いているものだと思っていた。だけどこの景色を見ると、お酒そのものがとても神聖なものだったのかもしれないと感じた。お酒を仕込む行為が祈りなのかもしれないと思いながらシャッターを切っていた。



発酵食品を作ることは精神的にとても意味のあることなのかもしれない。未来で美味しいものを飲みたいという前向きな行為だし、愛情をかけて育てた方がなんとなく美味しくなりそうだ。明日への希望と愛。これだけで生きる理由にもなりそうなふたつが揃っている。

仕込みをしない私はというと、新酒を飲むのを楽しみに今日も生きている。



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すずきまき

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