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春の日に、花束を持って会いに行く。

山形の春はすこし遅れてやってくる。わたしの住む土地では、ふきのとうが顔を出して、梅が咲いたらだいたい4月。それから桜が咲くまで2週間ほど。

冬の間、厚く空を覆っていた雲は薄くなり、気づけば青空が見える。やっと地上に光が届いたと思ったら、草木が目にも止まらぬ速さで成長していく。

太陽が顔を出した日。
少しも逃さぬようにと、頭から足の先まで全身に光を浴びた。
透けるような淡い黄緑が冬の終わりを告げる。
梅の花が咲いて、待ちに待った春が来た。

世界が色彩を取り戻し、陽の気に包まれている!
まるで全ての命を祝福しているかのように眩しい。

それなのに、私ときたら……。ひどい花粉症でよく眠れず、朝晩の寒暖差で自律神経は乱れ、黄砂で目と頬が赤くなっている。世界の美しさとの対比で、よりいっそう自分がへにゃちょこに感じられた。

そんな状況の人が、わたしの他にもいるだろうなと考える。みんな本当に偉いなあ。春は生きているだけで偉いんだって。

がちごちに冷えた冬に生まれた身体と空気の界面が、ぬるい風に溶けていく。
鎧を脱いで守備力がゼロになったような感じだ。
このまま曖昧に溶けていくのを想像すると、すこし和らぐ。

新年度。気圧のジェットコースターに揺さぶられながらも、新しいことに挑戦している人も沢山いるはず。とくに環境の変化がなかったわたしは、チャレンジする人を応援したいし、ときには支えになれたらいいなとへなちょこながらに思った。

それから、いつも頑張るあの人に、花束を持って会いに行こう。

黄色いチューリップは元気をくれる。
おはよう世界。すっかり冬眠から覚めたみたい。
日に日に膨らむ桜の蕾。
枝垂れ桜は、下向きの蕾がタッセルのよう。
ゆきもやっとお外で遊べるようになったね。
ロケハンのため早朝の海へ。
こんなに静かで優しい時間が存在しているのかと新鮮だ。
愛猫のはるちゃん。
近所で出会ったキジトラは、はるちゃんより大きかった。
桜が咲いて、人々が浮き足立つ。
わたしにとって桜は、「がんばれ」って応援してくれるような花。
車の運転が好きだから、田舎に住んでよかった。
黄色い花をつい菜の花と呼んでしまうけど、白菜や大根、かぶの花も混ざっているんだよね。
お花見へ。
勝手に「先生」と名付け、毎年会いに行く桜。なんとも貫禄がある。
桜の季節は一瞬だった。

今月、山形移住4周年を迎えた。この4年間、数えきれないほど大変なことがあったけれど、それでも楽しくやってこれたのはここで出会えた方々のおかげだ。それから、もふもふの友人たちと、そこらじゅうに広がる美しい景色のおかげ。 

「ぼくを忘れるな!」と聞こえた気がしたので。
あきくんいつもありがとう。

いまは、これまで取り組んできたことを丁寧に撚り、耐久性を上げていきたい。継続はきっと何よりの力なり。そんな気持ちで、5年目のスタートを切った。

甘い香りの白木蓮。
上ばかり見ていないで 足元にも気をつけて
たくさんの小さくてかわいいものたちが光っている。
 春こそゆとりが大事です。
どうか皆さま、お身体に気をつけて。この美しい季節を生きていきましょう。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!